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ジャーナリスト立花隆氏による宇宙から地球を見るという特異な体験をした宇宙飛行士の内面を探った一冊です!
2020/12/09 10:04
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、ジャーナリストとして活躍され、『思考の技術』、『文明の逆説』、『田中角栄研究 全記録』、『日本共産党の研究』などの素晴らしい作品を発表された立花隆氏による作品です。同書は、宇宙から地球を見るという、この極めて特異な体験をした人間の内面には、いかなる変化がもたらされるのか?ということをテーマに展開された内容となっています。12名の宇宙飛行士の衝撃に満ちた内的体験を、卓越したインタビューにより鮮やかに描き出した著者の代表作です。同書の構成は、「宇宙からの帰還」、「神との邂逅」、「狂気と情事」、「政治とビジネス」、「宇宙人への進化」となっています。ぜひ、一度、読んでみてください。
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40年読み継がれてきたノンフィクション
2020/08/29 21:39
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:つばめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は米国の宇宙飛行士10名以上に、知の巨人である著者がインタビューした内容である。
宇宙飛行士が帰還すると直ちにアメリカ航空宇宙局(NASA)の各分野の専門家が、飛行の過程で体験したあらゆることについて徹底的な聞き取りを行う。この聞き取りはあくまで技術的かつ科学的側面に限定されている。筆者はNASAの聞き取り内容から外れている心理的精神的側面、神の存在、宇宙体験による意識の変化、宗教観など知の巨人らしく哲学的質問を宇宙飛行士に投げかけており、一読してすべてを理解できるほど簡単な内容ではないものも含まれている。本書の初出は1981年から82年に『中央公論』の連載、その後1983年に単行本、1985年に文庫本、今回日本人宇宙飛行士2名の巻末エッセイなどが加えられての文庫本新版であり、今までに多くの読者を引き付けてきた証でもある。
宇宙空間から見える青い天体の地球の美しさに宇宙飛行士たちは最も大きなショックを受けるらしい。写真では、その美しさは絶対伝わらない、宇宙から地球を見ていると国際政治における対立抗争のすべてが実にバカげて見えるという。ある宇宙飛行士の「米ソ両国の指導者を早くロケットに乗せて、宇宙から地球を見させるべきだ。そうすれば、世界ももっと平和になるだろう。」というコメントは印象に残った。今は二国の指導者を宇宙に送れば解決できるほど単純な国際情勢でないところが悩ましい。
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この本で、どうして彼が「知の巨人」と言われていたのかが理解できた
2021/10/03 21:35
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
作者・立花隆氏は今年(2021年)鬼籍に入られた、ご冥福をお祈り申し上げます。マスコミでは逝去にあたって「知の巨人」だったと、頻りと伝えた。それがどういう意味だったのかは、この本を読んでみてすぐにわかった。アメリカの宇宙飛行士へのインタビューが、彼らが宇宙から地球を見たとき何を思ったのか、そして彼らが何を伝えたかったのか、ということが完全に網羅されていたからだ。立花氏が航空学の専門家であればそれは当たり前のことだったかもしれないが、彼が大学で学んでいたのはフランス文学と哲学だったのだ。宇宙飛行士は地球に生還したあと、宗教家になる人が多いとミスリードする人がマスコミにはよくいるが、そういう人もいるという程度のようだ、しかし、宇宙からの帰還者の多くは世界観が変わったことは事実のようだ。
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「理想的なアメリカ人」の虚実
2023/08/06 23:23
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投稿者:オタク。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本は宇宙飛行士の宇宙体験が内面に与えた影響が大きな主題だ。出て来る宇宙飛行士の信仰で言及されているのはプロテスタントばかりなので、主だった宗派の紹介をしている。アポロ計画当時ではカトリックをはじめとする他の宗派やユダヤ教徒などは選ばれなかったのだろうか。
所々に南部バプティストのような福音派が顔を出している。こうして少しずつ福音派が力をつけていくので、この本が執筆された当時の大統領だったレーガンやトランプのような福音派を支持層にした大統領が誕生するのだろう。この本ではメインラインが「6割」と紹介されているが、メインラインは信者数が減っていって、代わりに福音派が信者数を増やしているので今は数値が変わっているだろう。
キリスト教的な意味での宗教を超越した事を話す人がいるが、ユダヤ・キリスト教的な唯一神という概念からは抜け切れていないのは無意識のうちに脱却出来なかった事を話しているようなものだ。
それでいてアポロ計画の頃に宇宙飛行士へ選ばれたのは空軍や海軍、海兵隊のパイロットなので、どうやったらコロラドスプリングスやアナポリスには入れるか、宇宙飛行士に選ばれると、どういう訓練を受けるか、宇宙船はどういう装置であり、宇宙空間とはどういう環境なのかも分かりやすく書かれている。
白人でプロテスタントの「ナイス・ガイ」が実は模範的な人物ではなくて非情に人間臭いのが、この本の魅力と言っていい。セックスやら商売やら政治やら超能力やらが顔を出す。ジョン・グレンのように政治家になった人物からオルドリンのように精神を病んでしまった人物まで色々だ。
オルドリンの父親がMIT時代の教え子というドゥーリトル将軍は東京大空襲に関わりを持っていないので、昭和17年のドゥーリトル空襲と混同しているのは確実だ。
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宇宙体験が内面にもたらす変化とは。宇宙飛行士十二人に取材した、知的興奮と感動を呼ぶ壮大な精神のドラマ。〈巻末対談〉野口聡一〈巻末エッセイ〉毛利 衛
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ひじょーに面白かった。
かっこよい
当時の雰囲気を感じられるし価値のある一冊だと思う。
話が変わるが、
自分の限界を作らずにこの分野に心意気を持って取り組めたらどれだけ素晴らしいことか
一方でよく知らないけれど、もしかしたらここに出てくる人たちが民間宇宙事業に反対していたとすると考え深い。若さとはかっこいい!やりたい!思ったことを常識で縛らずやるパワーや!
複雑の中にパターンがあるというやつはどっかで習ったのかそう感じたのか、そうやるとわかりやすい
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初の立花隆作品。
宇宙飛行士の「それまで、その後の人生」を濃密に語るので、知識欲が満たされた。なるほど、これが立花隆が知の巨人と呼ばれる所以か、と。
「月に降り立った人が地球を見て感じる事」を客観的アプローチと主観的アプローチで語るので、説得力があり、特に印象的だった。
各宇宙飛行士のインタビューに基づいた章は、手元に「宇宙探索プロジェクトガイド」の様なものがあれば、より楽しめそう。
ただ、現在の僕の興味としては、もっと技術的な点にあるようだな!
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立花さんがお亡くなりになってから、それまで知らなかった彼の本を読みたいと思い、手にしました。
宇宙飛行士の体験後に起こる生活の変化、意識や精神の変化が丁寧に取材され文章化されています。
哲学的なことが好きな私には面白い本でした。
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宇宙体験のドキュメンタリーだと思っていましたが、もっと深く宇宙や人間について考えさせられる内容でした。これまで宇宙に関心は無かったわけではないですが、ちゃんと学んだことはなかったのに、おおよそのことは想像しながら読めたのも著者が的確に解説をいれているからなのだと参考文献を見て気付きました。
読み始めてから、古い本であることを知り、現在の宇宙事情についても知りたくなりましたが、相変わらず精神面に焦点をあてたものは少ない印象です。
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とても面白い本だった。
文筆が、とても滑らかで、難しいことも書いてあるのに、すらっと入ってくる。
やはり、地の巨人だと感じた。
月時間 一日は27.3日間
デモクラシーが、健全なのは、有権者が自分たちの投票行動っち出すことができると言うことを発見するまでの間だ。
人為的環境汚染より、自然による環境汚染の方が量的には凄まじい。例えば、火山の爆発による大気汚染
大雨が土砂を流すことによって生まれる水汚染
環境問題とはこの地球と言う惑星の存在条件と人間の生産生活活動の間の妥協点を科学的に発見することだと思う。
アメリカ 設計はすごいが品質管理が上手くない。
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立花隆さんの、印象は
教科書の人というイメージだった。
曲がりなりにもマスコミで働きたいと思っていた私は
昔学ぶために読んだ記憶があるが中身の記憶はない…
宇宙からの帰還
40年近く前の書籍に驚き
取材で見聞きした、を超えて
想像力と自分の視野で感じたかのように記述しており、
当時の宇宙への旅も、少し難しかったが
また宇宙飛行士のエピソードも飽きることなく読めた。
実際に地球から離れ、地球を見つめた人の言葉が印象的だった。神がイメージされるのはやはりクリスチャンが多いアメリカだからか。
きっと永遠に宇宙に魅せられる。
氏はこの未来には
宇宙飛行士だけでなく巨額の資金を使って一般の人も宇宙旅行へ行けるだろうと書かれていて、
現在、そうなりつつあることを直接見たかったのではないだろうか
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人体は一見固体ように見えるが、実は、膜に包まれた液体と言ったほうが近い存在なのである
宇宙体験をすると、前と同じ人間ではありえない
アメリカには、あらゆる国から移民が流れ込んできたため、キリスト教のあらゆる教派がある
神は無言だ。直接的には何も答えない。すぐには何も答えない。それが普通だ。神と人間の関係はそうしたものだと私も思ってていた。しかし、月では違った。祈りに神が直接的に即座に答えてくれるのだ
地球上に住んでいる人間は、種族、民族は違うかもしれないが、同じホモサピエンスと言う種に属しているのではないかと感じる。対立、抗争と言うのは、すべて何等かの違いを前提としたもので、同じものの間には争いは無いはずだ。同じだと言う認識が足りないから争いが起こる
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タイトルからして宇宙飛行士の体験談やテクニカルな話が多いのかと思っていたら、全然違っていた。
もちろん、それらの話も出てくるが、本書は宇宙飛行士たちの人間模様、さらには宗教観までかなり深く掘り下げた内容になっている。描写も生々しい。特に、オルドリンについての記述には怖ささえ感じた。
こうした記述が可能なのは、立花によるインタビュー、ならびに取材へ向けた綿密な準備があるのだろう。
ジャーナリストとしての力量を改めて感じた力作である。
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2021年10月16日読了。
「知の巨人」、立花隆氏へお悔やみ申し上げるとともに、本書を書店で手に取る。
本書の取材は1981年頃と想定される。
アポロ契約などで宇宙に行った宇宙飛行士が、内面で何か変化があったのか?を中心にインタビューで切り込んでいく。
本筋とは外れるが、宇宙飛行士はアメリカ人なので、日本人とは違う宗教観があり、アメリカ人(日本人以外)を理解するためには宗教を理解しなければならないことがわかる。
本書も「宇宙に行き、月や宇宙から地球を見たときに神の存在を確信した」という飛行士が多い。
これは陳腐な宗教感ではなく、「こんなに美しいものが、ビックバンから偶然できるはずがない。創造主たる神が作ったと考えると腑に落ちる」という感覚らしい。
また、地球の軌道をグルグル回っている飛行士と(現在の宇宙飛行士はここ)、地球の軌道を外れ、月まで行き、小さくなった地球を見た飛行士の地球に対する感覚、神についての考察が違うことも興味深い。
インタビューした多くの宇宙飛行士が、内面で宗教的な話をしているが、現役のころはお互い全くこういう話をしなかったので、インタビュアーである立ち話を通じて、同僚も同じ考えであったことに驚く飛行士もいた。また、全く宗教的感覚を得ていない人もいることも確かだ。
宗教とは全く関係ないが、有名なアポロ13号の飛行士、ジョン・スワイガードへのインタビューで、スワイガードがこの時点でシェールオイルの可能性について、コメントしていることに驚く。
シェールオイルによるアメリカのポテンシャル、採掘するにあたっての水資源の確保などだ。
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宇宙でのこぼれ話に興味津々。
数々の危機的状況に即座に対応できる彼らの能力には感嘆しました。どれほどの努力と経験を積み重ねてきたんだろう。
宇宙を体験して内面に変化はあったか?
宗教的・思想的なインタビューに対して語った内容は、12人の宇宙飛行士の間でも共通性を感じた。
・地球は奇跡のように美しいこと
・地球環境への関心、保護の思いが強まること
・宇宙から地球を見ると、同じ「人」という人種なのに民族や宗教の違いで争うのはとても馬鹿げていると感じること。
宇宙からも戦火は見えているそうです。
作中1人の宇宙飛行士が語ったように、民族・宗教・国でもなく「地球に住まう人類」という意識でみんながいられたら平和でいられるのか…。
今、まさに戦争が起きていることが残念で悲しくてならない。
読むと、宇宙体験が自分にどんな変化をもたらすのか、興味がわいてきます。