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紙の本
田中小実昌氏のバスでの東京から鹿児島までの旅とそれぞれの地での人々との出会いを心温まる筆致で綴った作品です!
2020/07/18 09:18
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、昭和から平成にかけて、小説家、翻訳家、随筆家などとして活躍された田中小実昌氏の作品です。同氏は、『ミミのこと』及び『浪曲師朝日丸の話』の二作品で直木賞を受賞され、また『ポロポロ』で谷崎潤一郎賞も受賞されている人物です。同書は、著者のバスが大好きという趣味を生かして、路線バスで東京を出発し、箱根を越え、東海道を西へ、もっと西へと向かい、遂には山陽道をすぎて熊本、鹿児島までを愉しんだ一人旅を綴ったものです。いい景色、いい飲み屋、いい人びととの出会いが、田中小実昌氏独特に「ゆるり」、「ぶらり」、「ふらふら」という雰囲気で描かれます。心癒される一冊です。
紙の本
コミさんの自由な旅
2021/05/15 14:42
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投稿者:higassi - この投稿者のレビュー一覧を見る
どうしてもテレビの「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」を思い浮かべますが、コミさんのほうがずっと自由でした(蛭子能収さんはこんな旅のほうが良かったのかも?)。女性と旅を続けたり、深夜まで飲んだくれたりの姿は映画「男はつらいよ」に通じるものがありました。まだ健在のお店もあるようなのでいつか訪れてみたいです(毎日新聞「今週の本棚」200704)。
紙の本
バス旅エッセイとしては・・・
2020/04/26 17:40
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投稿者:つばめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、1980~1995年発行の『旅』、『小説現代』に掲載のバス旅エッセイを文庫本にまとめたものである。著者は路線バスを乗継ぎ東京から鹿児島へ20年かけて旅をした。そのエッセイが主な内容である。著者の過去の記憶や土地をめぐる思い出が、文章の至るところに散りばめられており、バス旅の旅情や著者が乗車した当時の路線バスの状況を知る目的で本書を読むとすれば若干期待外れとなるだろう。逆に小説家 田中小実昌ファンにとっては、著者の人柄に触れることができる一冊であるように思う。この著者は、漢字を必要以上に避ける傾向にある。この書き様に不慣れな者にとっては、読みづらい箇所が散見される。例えば、「菜の花のきいろさはあかるいきいろで、ニホンのきいろはみどりがまじるのがふつうだが、これは青がはいった、さえざえとしたきいろ。」著者は、2000年に肺炎のため滞在先のアメリカで客死している。著者のひらがな表記に対する拘りについて、真意を確認できないのが残念である。
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