紙の本
短編連作集です。面白い!
2022/12/10 12:51
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投稿者:まなしお - この投稿者のレビュー一覧を見る
解説によると、直木賞を受賞した「対岸の彼女」と同じくらいの時期に書かれたらしい。10篇の短編が収められている短編連作集である。ほぼ同じ町を舞台として描かれている。各短編で描かれる主体は変わっているのだが、それぞれにちょっとしたつながりがある。趣向として面白い。この著者は、長編にもいいものがあるが、短編連作という形式も好んで良く書くように思う。それぞれ趣向が面白いので、よく読むがあまりはずれはない。まだ読んでいない作品がまだまだあるので読むのが楽しみだ。
紙の本
脇役が主人公、そしてまた脇役
2015/12/03 17:37
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投稿者:szk - この投稿者のレビュー一覧を見る
高校生の駆け落ち話から始まり、アジアのどこかの国へ逃げていったナカタの話で終る、連作短編集。前のお話の脇役が次のお話の主人公になるなんとなくつながっていくこの感じ、きらいじゃない。みんな脇役で、みんな主人公、関係ないと思っていてもどこかでなにかしら繋がっていることを思い起こさせてくれる。わたしも今日もだれかの脇役だったんだろうな。お話で一番好きなのは「百合と探偵」ちょっと切ない母娘の話。あんな風に娘から憎まれたら辛いな。でもそれに平然と耐える母。いつか仲良くなれるといいな。母は根っから子供を憎めないもの。
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2007/2購入、読了。
後書きにもあったけれど、『空中庭園』と同じ匂いがした。一つの、それも、多くの人が過去に通り過ぎてきたような中途半端な規模の町を軸として、少しずつ舞台を重ね合わせながら10人の主人公を描いた連作集、という感じ。
生きていると感じる違和感をうまいこと描いていて、さすがこのあたりは上手い。最後は本当にトリップしてしまってちょっと笑った。
角田光代が好みの人なら、安心して読めると思います。
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平凡であるかのように見えて、でも実は非凡だったりする自分以外の人たちの生活。(その逆も然りなんだけど。)
ところが、実際のところはわかんない。わかんないけど、いろんな想像を巡らして、それが自分の生活のほんの一部にさえなったりして…。
そうやって、私たちは日々生活しているんだ。うんうん。
すらすら読めちゃうんだけど、でも妙にリアルでどこか頷けて、ちょっとした重みも併せ持つ。
そんな角田さんらしい、ほんの少しずつそれぞれが繋がっている短編集。
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私の好きな連作集タイプの小説。
ありふれた日常なんだけど、どこか馴染めてないから非日常的で。。。
でも、ひとりひとりの非日常が共感できてしまうからなんだか不思議。
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ある平凡な街に住む色んな境遇の人達を主人公にした連作。女子高生、喫茶店の女店長、ストーカー男、主婦、少年、等々。みんな少しずつ不幸を感じ、ささいな幸福を夢見て、でも思い通りにはならずに日常が進んでいく。当たり前の日常の中に潜む、その人だけの、ちょっとした非日常が描かれている。やっぱり、角田さんはうまい。
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ひとつの町を舞台に、登場人物から登場人物へとリレーのように短編が進んでいく。ひとつひとつの話もちょうどいい身近さで書かれていて、通して読んだときにしっくりきた。
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相変わらず、体温の低い文章だ。シニカルだ。ニヒルですらある。単純に笑ったり怒ったりするだけじゃあ文学にならないとでもいうことなのか知らん。普通の人々の中にある、秘めた暗さ、病みを描く。そして、それぞれ近くにいながらも思いが交わりあうことがないことを、短編同士の重なりと、登場人物同士の重なりの中で周到に念押しする。基本的に、読んでいてスカッとするタイプの本ではない。だけど、この低体温名文体に慣れてしまえば、その中で時折見られるおちゃめな表現に少し癒される。
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うまいなー。直木賞の作品とか、女性二人を平行して書く作品はあんまイイとは思わないけど、とにかく1名をクローズアップして書いたモノは、どの属性の主人公でもウマ。
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1つの街を舞台に、いろんな人の人生が交差する。
短編というくくりですが、前後に微妙に繋がりがあったりするのが面白い。
出てくる人たちは、みな様々な事情を抱えていてどこか人間臭さを感じる。
東京郊外の少し寂れた街。
そんな場所に住むのも良いかもしれないと思えた。
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またまたきました。短編集
「平凡な街に暮らす
ふつうの人たちも
誰にも言わない
秘密を抱えている」
こんな帯に誘われて買ってみたが、
「秘密」と言う感じは受けない。
本当に淡々とした日常が連ねられている感じ。
いろいろな話が詰まっているが「ドラマチック」じゃない。なんともいえない小さな幸福、小さな不幸の連なった淡々とした感じ。クスリでトリップしちゃっている子連れの主婦がいるのに、ゆるゆるしちゃう・・・そんな感じ。
とにかくみんなパッとしない。
平凡な・・・ふつうの・・・
これ読んだら、難しくものごとを考えたりせずに本能のままだらだらとだらけたくなった。そんな効能のある一冊。
アー疲れたーとドロドロしたものになって、ズルズル這い回りたい。
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連作短編集、といってもすべての話がリンクしているわけではない様子
ある一つの小さな都会でも田舎でもない町に住む人々の
違和感と現実を描く
基本的にはネガティブになる話が多いのだが、最後どことなく現実を見つめていこうとする希望で終わる
小説らしい小説
決して好みの話ではないのだが、引き込まれる
読む人に、自らの過去を振り返り、後悔し、未来を思う事を強制し、その上で今を生きる力を与えるようでもある。
老若男女の登場人物すべての心情描写が秀逸
子供の頃を思い出し、なったことのない主婦の気持ちにもなる
単に作者と思考が近いだけかも知れないが
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ちょっとだけ世の中にうまくなじめていない人たちを描いた連作短編小説。どれもハッピーエンドで終わるわけではないところが、いいといえばいい。
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角田さんの本の中で一番好きな作品に決定。こういうリアルさが大好きだ。なんか、人間観察してる気分になるな。
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初めて角田光代の本を読みましたが、これはきました。
誰しもふと一瞬考えてるんだけど、頭の中で通り過ぎてしまってる自分の人生や生活に対する自問を思い出させてくれる本です。
あと、結局みんな自分の生活もままならないのに、別に興味はなくとも他人の生活を詮索してるんだよね。
短編集でどの話も流れが淡々としてて、あっと驚く展開とかはないんだけど、読み手の日常に対するフィルターを顕在化させられて脳みそを刺激される感じでした。