紙の本
機龍警察シリーズ3作目
2022/05/01 17:52
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投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
ユーリ・オズノフの生い立ちが明らかになり、龍機兵搭乗者としてリクルートされた経緯が明らかとなった段階で、現状の事件に物語は流れていった。読むことを止めることが出来ないスリリングな場面が続く。全体に覆いかぶさる「敵」が明らかにされないままに、次作へ流れていくので、期待は高まるばかりだ。情報テクノロジーの発達とグローバル化は、国家という枠組みが、経済や犯罪の現場で徐々に意味を失いつつある。政治の力は市場の力により凌駕されていくのだろう。近未来の社会は、現在の延長線にないのかもしれない。
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班長……!!
これに尽きます。面白かった。
面白いばかり言ってられない、〈敵〉の政治圧力も怖くなります。警察組織だけでなく外務省にもとなると、沖津部長大変だ。。
ユーリが生き延びて良かったです。本当は守られていたのか……警官の先輩たちにも、ゾロトフにも。「おれが守ってやる」のクリスじゃないか…容赦ないギリギリのラインだけれど。
クワンさん何者なんだ、チャイニーズマフィアのビジネスマンにしてはスマートに協力してくる。シビアなビジネスマンなのかも?
それにしても班長……刑事でした。ユーリに刑事を辞めさせたことずっと後悔してたのかなぁ、懺悔みたいにロシアから助けに来たと思うと。。でも、ユーリの危ない潜入捜査をロシアも把握してたってことはどこかから筒抜けなんだね。こわっ
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・・・か・・・カッコいい・・・orz
いやもぅ、「機龍警察」シリーズは、どれもカッコいいんですけどね。これまでの作品同様、極めて重厚で救いようのない暗さを孕みつつ、ラストシーンに見える光の眩しさ、陳腐な表現をすれば「読後感の良さ」はシリーズ随一かと。
SFとしての評価ポイントは、新型機甲兵装「キキモラ」と<龍機兵>の対比。<龍機兵>に匹敵する運動性能を誇るキキモラを倒すために、その本質を掴んだユーリが編み出した奇策が「そう来たか!」と膝を打つ面白さ。機甲兵装同士の戦闘シーンもサービス満点の描写ぶりで、重厚なストーリー展開の中で派手なドンパチも堪能できるという、稀有なエンターテインメント作品です。
特に、下巻の舞台となる真冬の東北の雪景色を背景とした戦闘描写の美しさ!純白の雪、漆黒の樹影、紅蓮の炎。この色彩のコントラストを文章だけでここまで表現できるのは、さすが月村了衛、と唸らざるを得ません。
でも、この作品の真骨頂は、やはり登場人物たちの魂の相克だと、鴨は感じました。
<龍機兵>搭乗要員の3人は、皆複雑な過去があるようですが、職業軍人として戦闘を100%「ビジネス」として捉えている姿、もはや善悪の彼岸に魂を置いてきたかのように虚無を抱えたライザ、この2人に比べてユーリは「こちら側」の世界に必死にしがみついている印象がありました。時には冷ややかな視線を浴びながらも、ユーリがなお「こちら側」にこだわる理由。それが、この作品を読んで、ようやく分かったような気がします。
ユーリの人生を変えるきっかけを作ったダムチェンコ班長の生き様は、鴨には正直よくわかりませんでした。それがロシアという国なのだ、と言われてしまえば、そういうものなのかもしれません。そうしたモヤモヤも含めて、人間模様をじっくりと味わえるのもこの作品の楽しみ方です。
次のシリーズ作品も、絶対読むぞー!
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日本のどこかでロシアン・マフィアによる武器密売市場が開かれようとしている。大物マフィアのゾロトフと組んだユーリは、バイヤーとして参加を許された。その背後で展開する日本警察と密売業者との熾烈な攻防。渦中のユーリは自分とゾロトフとの因縁の裏に、ロシアの負う底知れぬ罪業が隠されていたことを知る。時を超えて甦るモスクワ民警刑事の誇り――至高の大河警察小説、運命の影と灯火の第3弾。
スケールは大きく、でもどこか浪花節のテイストも感じられる作品であった。再読でも感涙ひとしお。
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政治家-オリガルヒ-マフィアによる聖なる腐敗の三位一体と、沖津が想定している<敵>、警察内部のみならず、外務省にも食い込んでいる<敵>はどうちがうんやろか、決してロシア側のことばかり言うてられないシビアな状況だぞ、これ。
ってのと「犯罪は経済活動だ」って沖津の言葉に薄ら寒くなった。その公式が成立しちゃったら、警察には勝ち目無いじゃんか。
でまあそれはそれとして、班長、マヂ班長!最後まで班長!!最も痩せた犬たちに敬礼を。
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国や巨きな組織の前に、一個人の力ではどうしようもないことは確かにある。
ただ、信頼や友情という言葉では表しきれないほどのかけがえのない仲間を得たときの一個人は、想像できないほどのパワーを発揮することも可能かも知れない。
このように、現実の苦々しさに打ちのめされつつも、人間の素晴らしさに素直に感動するという複雑な読後感をもたらす本書で、印象に残った言葉は二つ。
「最も痩せた犬達」と「クレムリンの二重構造」
現時点で文庫化されているシリーズを、改めて再読したくなった。
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いやいや、面白かった。きっと助かると思っているんだけど、囮捜査に入ったユーリの運命には、終始ハラハラさせられっぱなし。キモノ同士の闇ファイトも、闘う側に回されるんだろうな、という予感はあっても、そこにどうやって持っていくのか見えなかったけど、なるほど、このタイミングでバレる訳やね。過去のシーンで裏切った(と思わされていた)上司も、そのキャラぶりと裏切りという行為に、かなり乖離があるように感じられたけど、救出劇への身を呈した参加を見せつけられるに至って、感動もひとしお。劇的展開が素晴らし過ぎる。シリーズ第一作の時点では『まあそこそこかな』とか思っていたんだけど、第二・第三長編と読み進むにつけ、これはとんでもない物語だと、思いを新たにした次第。
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潜入捜査ということもあり、騙し騙されの会話が多く、捜査のシーンが多く、龍機兵の戦闘シーンが少なかったの致し方ないのかもしれない。
それもユーリ・オズノフの特性に合わせた展開なのだろう。
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オズロフの背負う過去の清算が機甲兵同士の闘いを通して行われる下巻。
メカバトルとしての面白さだけでなく、登場人物の造詣の深さ、現実でもあり得そうな複雑な国対国のパワーバランスも堪能できた。
今回も最終的に龍騎兵3機とも活躍が見れたのも良かった。
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「運命なんてただの影だ。臆病者だけがそれを見るんだ」
「まっすぐに生きろよ。何があってもまっすぐにだ」
記念すべき100冊目の感想として書きたかったため、買った後読まずに少し溜めました。
対ではなく、相似していることに熱さを感じました。
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「突入せよ」
何度も見てきた言葉ですが、この本以上に鳥肌が立つ事はありませんでした。
-俺達の街を取り戻す。-仲間を取り戻す。-仲間の無念を晴らす。
捜査員達の強い思いが一気に爆発し駆け出す姿は手に汗握ります。
この本では、ロシアの裏社会だけで無く、東日本復興の名の下に中途半端な支援に因る現地の弊害も学べます。宮城県閖上の話しは本当なんですかね。本当なら大問題かと。
この本はストーリー以上に、キャラクターの持つ仕事や仲間への矜持や思いが光り、感情移入出来る事が楽しみな作品です。
ダムチェンコと沖津が言い表してくれています。「いい男だな」「まったくです」
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上下巻読了。 モスクワ民警時代に何があり、指名手配されることとなってしまったのか。また、どのような手順を踏んで警視庁特捜部と契約することとなったのかが描かれていた。一人の過去を細かくそして長く書いてあるのにスラスラと読ませてくれる軽妙な筆致とストーリーは圧巻。 また、作中の現在ではその過去の因縁を解決すべく奮闘するオズノフ警部はかっこよかった。
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読みごたえがある。シリーズ3冊目で一番良い。
前作の自爆条項と同様に現在、過去、現在の3パート。今作の主人公は龍騎兵搭乗員のユーリ・オズノフ。
ロシアの警察官時代の過去パートそれ自体も読ませるが、過去を引きずっているユーリと、過去と現在の事件の繋がりとアクションが重層的に描かれる。