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山口周さんの本を8冊読んだがその集大成と言える。
問題提起の着眼点が水野和夫さんの「次なる100年--歴史の危機から学ぶこと」という分厚い本と重なり、目指す方向は広井良典さんの「人口減少社会のデザイン」と重なった。ビジョナリーな人たちには見え始めているのだ、「ポスト資本主義」が。
本書は、資本主義という成長信仰が先進国において終焉を迎えている、という主張から始まる。「足りないものを充足させる」大役を資本主義は果たし終えたとも言える。そして日本はその最前線に立っている。
と、ここまでは水野さんの「次なる100年」と丸かぶり。その根拠は膨大な量のデータを提示する水野さんに譲るとして、山口さんらしい主張は、高成長を終えて低成長期に入った先進国は「成熟期」であり、決して悪いことではないとリフレームしている所。問題なのは、経済的豊かさだけを追求してきた価値観をどう脱するか。現在の「不足が満たされた状態(お金が不足している人たちにはベーシックインカムで保証する)」を「真に豊かで生きるに値する社会」に移行できるかどうか。
具体的には「文明のために自然を犠牲にする文明主義」と「未来のために今を犠牲にする未来主義」「成長のために人間性を犠牲にする成長主義」を過去の価値観として脱しようと説く。
そして「企業活動による文化的価値の創造」と「才能によるイノベーション」で社会課題に取り組みながら「北欧型社会民主主義社会」を目指そうと説く。広井さんは同じ主張を「これからは自己実現でなく、世界の課題解決を目指す世界実現を成し遂げよう」と呼びかける。
個人的には「資本主義は(延命処置を続けているだけですでに)終わっている」という主張の裏付けとしてGDPを始めとした経済指標が、米国の、米国による、米国覇権維持のための恣意的な指標にすぎない、という議論の持って行き方を引き出しに入れておこうと思った。ノーベル経済学賞も米国人(あるいは米国大学所属の人)ばかりで、AIに解析させれば不正検知となってもおかしくないと思ってる。
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ひと言でいうならば、令和版『論語と算盤』
資本主義の役目を終えた時代に、ボクらは何を目指すべきか。そのひとつの可能性がここにある。
著者の書いた本はすべて読んでいる上で言う。
本書でも、著者の得意とする哲学や心理学などの人文科学領域の知識が、がっつり活かされている。
数々の著名な学者や識者たちの遺した研究結果などをうまく取り入れることで、著者の主張にも説得力がある。
本というのは、読んでいる間はじっくりと議論はできないものだから、後からまた考察してみる必要はある。きっとボクは、これから何度も読み返すことになる。
『もっと早く読みたかったなぁ……』
これが読書後の第一思だった。
本書の主張は、著者の学びの集大成といっても過言ではないと思った。これを書くために、今までの著書があったのかもしれない……。著者の運命さえ感じさせる、そんな一冊になっている。
様々なSNSの投稿やブログなどに目を通していると思うことがある。
それは、現代の社会の在り方というものに、非常に強い違和感を持っている若者たちは、きっと少なくないということだ。
そんな若者たちにこそ、本書は手に取ってもらいたい。
自分がいずれ居なくなるとわかりきっているこの世界を、なんとか前に進めようとしているおっさん達がいることを、ボクはぜひ知ってもらいたい。「日本、捨てたもんじゃないかも…!」と、未来に希望を持って生きてほしい。
ボクは年間300冊以上の本を読んでいる。
そんな中でも、ここまで頭をガツンとやられたアタリ本は、もうホントに数える程度しかない。300冊読んでせいぜい10冊程度あるかないかだ。
だから何度も言いたい。
若者にこそ、本書を読んでもらいたい。
これからを生きるボクらの行動で未来は決まる。
未来を変えるのは、ひとりの英雄なんかではない。圧倒的多数の凡人であるボクらこそ、その主役なのだと思う。
資本主義に絶望せず、次代に希望を持たせる一冊。ぜひ一読あれ。
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資本主義の役割が終わったことについて、金利ゼロの視点から解説したが、水野和夫と同じでシンクロニシティを感じた。
経済成長という信仰をアンラーンしなければ、日本の未来は始まらない。
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経済成長を前提とした資本主義の限界と処方箋。本文だけでなく、引用している書籍たちがまたよい。これからの世の中について考えるのに、大変参考になる書籍です。
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現状の分析と提言に関しては示唆に富むものもあり、
議論の叩き台として有効な本である。
資本主義の行き詰まりは、長期スパンでは1960-90年以降に始まっているという。
ファクトフルネス風にいうと貧困の脱出、資本主義による成長は世界が良くなるとともに、成熟化も促していく。
テクノロジーやマーケティングは、グローバル企業のプレイヤーの変更、富の偏在化、資本主義の延命を促しているだけで、未解決の問題の根本解決をしている訳でない。
未解決の問題のインセンティブは、資本主義の中の中からは生まれない。
やらずにはいられないという熱意に支えられる。
世界を変えていくというより、やらずにいられないという報酬なき善意の活動。贈与に近い活動が支えていくという。
ここまでは過去の著作、課題解決の陳腐化、アート思考の解決性の文脈から首肯する部分が多い。
では、資本主義はどうすれば良いのかの解決策として、ベーシックインカムのような社会主義的解決を考えているようだか、慎重に考えた方が良いように思う。
過去社会主義的施策を行なって、国家の衰退を辿った中国、ソビエト連邦の例もある。
両国とも独裁的資本主義の要素を取り入れて復活しているのは歴史の皮肉であるが。
社会主義的施策には、潜在的に労働の熱意を奪ったり、
悪平等を促す性質もある。
国家の衰退は他国に吸収されるリスクも存在する。
自分は、資本主義は最善ではないが、ましな方式だと考えている。
資本主義の中で、純粋なる熱意をどれだけ取り入れていけるかが此れからの世界を、考えるポイントとなるのではないか。
自身は著者の現代思想系の哲学から現代の問題を炙り出す方法は、大学時代に思考していた感覚を戻してくれて好感を持っている。
いずれにしても、自分は、どのように考えるかを促すという意味で示唆に富む本である。
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辿り着いた高原社会で改めて幸福とは?を考え直す時期にきている。すぐに答えは出ない、いろいろと試す(人生には浪費と無駄が必要)。
バリューチェーンからバリューサイクルへ変化していく中で真に応援したいモノ・コトにお金を使う。責任ある消費で未来は選ぶ事が可能。
『どこかにいる誰か』のせいにしてはいけない、まずは『いまここにいる私』を見つめ直す事で『いまここにいる私』から革命が起こる。
常に被贈与者の意識を忘れず。
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あまりに経済至上主義である現代社会の在り方に向けて、痛烈に「で、今もそれって美味しいの?」を突きつけられとても衝撃的だった。。読み終わって、人生観変わるくらいの影響を受けた1冊。
現代は既に物質的な生存条件の確保という課題を終了しており、これから人間が幸福に生きるためには社会活動の根本的な転換が必要。
・文明的豊かさを生み出すビジネス から 文化的豊かさを生み出すビジネスへ
・資本主義 から 才能主義へ
・便利で快適な世界 から 生きるに値する世界へ
・経済性に根ざして動く社会 から 人間性に根ざして動く社会へ
そしてそのためには、
文明のために自然を犠牲にしたり、
未来のためにいまを犠牲にしたり、
成長のために人間を犠牲にしても仕方ないという
考えから脱却しなければならないと。
じゃあ、私たちどうやって働くの?というところで、システムに踊らされることなく、人間的衝動に根ざした欲求の充足こそが唯一の道筋ではというご提案で、つまりは自分が心から夢中になれる仕事を見つけよう、という何とも急に哲学的な思考から、安っぽい聞こえになってしまうのだけれど笑
それがどんなに難しいことであるか。そして誰もが心から労働それ自体から幸福を得られたら、こんなに素敵な社会はないと感じました。
夢中になれる仕事を見つけるには、とにかくなんでもやってみる!人生を見つけるには、人生を浪費しなければならない。という考えにも、大いに影響を受けた。
最後に述べられていた、「現在のシステムは、現在の結果を生み出すために完璧に最適化されている」(自分も大いにその恩恵を受けている)「今の世界の悲惨さを生み出しているのは、当の自分自身であるという意識」は、その通りだとずっしり響きました。。
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現代の資本主義社会に対して、何らの疑問を持たず過ごしてきた自分にとっては本当に衝撃的な本だった。
資本主義的な成長の限界
文明化から文化的な成長へ
自分の視野では見えなかった学びがあった。
お金の勉強、ビジネスの勉強、SDGsについて、それらの知識が繋がった印象を受けた
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公教育も衝動によって経済合理性を超えて維持されているものの一つだと感じた。資本主義の文脈では伝わらないこの人たちの高尚さが世の中の人に伝わるような手助けがしたい。
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流石の内容だった。
ただし、1点難癖をつけるとすれば、同様の主張について冗長、繰り返しの表現が多かった。
他書籍でも見られるため、筆者の癖だと思われるが。
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経済合理性の外側に自分が出来ることは何かと考える。
何かモノを購入するときは長く愛用できるモノを買うように心がけてる。
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コンサマトリーは「現状快楽型」、インストゥルメンタルは「未来志向型」。仕事を自己目的化すべきというのはその通りで、自己目的化しづらい部分がAIに置き換わっていくべきなのだろう。
成長を目指すことへの違和感。あるもので出来るだけ幸せに暮らそうとする価値観への自信をもっと深めたいと思えた。
”最大の問題は、そもそも「どのような社会を作りたいのか?」という構想が描かれないままに、単なる「変化率」を表す概念でしかない「成長」という指標だけが、独善的に一人歩きしていること。”
”貧困や格差や環境といった、これまでのビジネスでは解決の難しい社会的課題がたくさん残っている。それを資本主義の中で解決するためのSDGsでなければならない。”
”理想的には「人間が人間らしく生きるとはどういうことか」「より良い社会とはどのようなものか」という議論の上に、では「何を測れば、その達成の度合いが測れるのか」が必要。”
経済合理性を超えた仕組みづくりが必要。人間らしさを貪欲に求める世界に。
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今を我慢すれば将来が、って考え方は古いよね。今、興味あることや楽しい事をやっていく事が、社会的にも価値あるよね、という事をとても丁寧に分かりやすく分析してる。
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経済発展が既に成熟している事を踏まえ、経済発展ではなく豊かさを重視した北欧型社会主義的な世界を目指していくべきであることを示していた。併せてギャップを埋めるために個々人の衝動を重視した活動、社会整備の推進を提言していた。
まだ自分の中で上手く消化出来ていないが、述べている大筋はとても分かり易い。個人の想いとしては、衝動を主とした豊かな社会に向かうためにも一層の自動化の促進や衝動の取り扱い方を洗練させていく枠組みを考えていきたい。
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とにかくおススメ。
マーケティング業務に従事しているものとしては、耳の痛いお言葉。
資本主義社会から個人主義社会へ。
必要不可欠な消費から、他人より優位に立つための消費に変わってると。。。
僕らは、この人間の悪い部分の欲望を駆り立てているのか。。。
でも、物質的不足が解決された今、僕らは、
僕ららしく生きる事を大事にするべきだ。
人生を見つけるためには、人生を浪費しなければならない