紙の本
ラテンアメリカで古くから語り継がれてきた民話の中なか日本の昔話に関係ありそうなものを37編厳選して収録した書です!
2020/05/01 09:50
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、ラテンアメリカ地域で古くから語り継がれてきた民話や伝統的な説話の中から日本の昔話に関係があると思われる、私たち日本人が読んでも楽しめるものを厳選し、37編収録したものです。同書に掲載された民話と日本の昔話を比べることで、古くからの言い伝えが、どのように変化し、その変化はまたラテンアメリカの文化的な影響を受けているのかどうかなど、いろいろと考えさせてくれる一冊となっています。同書では、民話の内容によって、「動物譚」、「本格民話」、「笑話」、「形式譚」に分類され、それぞれに楽しいお話が収録されています。一例を挙げると、「ネコの夫婦」、「ウサギとトラ」、「愛の三角宮殿」、「歌う袋」、「ゆで卵からヒヨコはかえらない」などです。ぜひ、ラテンアメリカの民話を同書でお楽しみください。
紙の本
想像力の源
2020/05/25 17:37
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
ラテンアメリカの広大さと、豊潤さに溢れた短編ばかりです。20世紀後半にノーベル文学賞受賞者を輩出した、マジックリアリズムに繋がるものもありました。
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ラテンアメリカの民話のうち、
日本の昔話とも関係があると見なされるものをメインに
集められた37話。
残酷かつ笑いを誘う奇妙な小咄の数々。
Ⅰ 動物譚
どこかで見聞きしたことがあるような、
微笑ましくも残酷な動物たちのドラマ。
ギリシャやゲルマン文化圏から中世に南欧へ伝わり、
その後アジアやアメリカに伝播したとされる物語の類型、他。
Ⅱ 本格民話
ドミニカ共和国の「悪魔の三本の毛」で、
普通の頭髪の中から三本を抜き取る話だとわかってはいるのだが、
つい、オバQをイメージして笑ってしまった。
メキシコ「神父を殺した少年」の生首の件には
岡本綺堂「西瓜」を思い出さずにいられない。
Ⅲ笑話
素朴な笑い話の数々だが、狡猾な助言者が主人公に
(目的のためとはいえ)悪事を唆すパターンも多々。
Ⅳ形式譚
=内容よりも語りの形式の面白さを重視する民話。
*解説
メキシコの民話はスペインのものをそのまま受け継ぎ、
ネイティヴの影響をほとんど受けておらず、
この考え方はブラジル以外のラテンアメリカ全域に
敷衍され得ることが確認されている。
つまり、ネイティヴの民話は
スペイン民話の影響を受けているが、
白人の側の民話には少数民族の民話の要素が見出されない。
しかし、アルゼンチンにおいては、
すべての民話が欧州起源であるとの説には疑問が呈され、
少数ながら現地民発祥のものがあるという主張がある。
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解説が良いですね。
たかが民話とおっしゃることなかれ。
民俗学の良質なテキストですし。
難しい事は別にしても、知っている昔話と比べるもよし。
こんな話もあると感じるもよし。
あー、面白かった(^^)
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ラテン諸国の色合いが強い民話集。日本の民話集に近い話も多く、人間がどこに生活していても、共通の概念はあるのかもしれない。
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どの話も短く隙間時間にさくさく読めます。一話づつに丁寧な解説があり各国の昔話と対比させた解説も興味深かったです。
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まえがき
凡例
地図(本書に民話がのっている国々)
1 動物譚
・ネコの夫婦(アメリカ・コロラド州)┴
・ウサギとトラ(プエルトリコ)
・子ヤギ(アルゼンチン)
・こがねの足をもったヒヨコ(アルゼンチン)
・シカと海ガメ(キューバ)
2 本格民話
・愛の三角宮殿(アルゼンチン)
・歌う袋(ブラジル)
・ヘルンビー(ベネズエラ)
・死神の名付け親(ドミニカ共和国)
・死体のはらわた(アルゼンチン)
・魔法をかけられた三人の王女(ドミニカ共和国)
・ヘビの恋人(ペルー)
・悪魔の三本の毛(ドミニカ共和国)
・あらずもがなのことば(コスタリカ)
・忠義な家来(プエルトリコ)
・七色の鳥(アメリカ・ニューメキシコ州)
・素晴らしい魔法の鳥(コスタリカ)
・魔法のテーブル掛け(エクアドル)
・ナンシと王女(キュラソー)
・ウイキョウの輪とシラミの皮(メキシコ)
・手なし娘(プエルトリコ)
・オリーブの花(プエルトリコ)
・神父を殺した少年(メキシコ)
3 笑話
・ゆで卵からヒヨコはかえらない(プエルトリコ)
・少女と王子(メキシコ)
・手まねで話す神父(チリ)
・たちの悪い王さま(アメリカ・フロリダ州)
・知らない人に買ってもらいな(グアテマラ)
・ホアンとチキチン(ドミニカ共和国)
・ホアン・ソンソとペドロ・アニマル(ドミニカ共和国)
・ペドロ・デ・ウルデマラス(プエルトリコ)
・さっかく(ブラジル)
・いちばん良い夢(プエルトリコ)
・ジョアン・グルメテ(ブラジル)
4 形式譚
・十二の数え歌(チリ)
・ゴキブリのマンディンガ(コスタリカ)
・果てなし話(ブラジル)
ラテンアメリカ民話の研究のあらまし(三原幸久)