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「超動く家にて」「スモーク・オン・ザ・ウォーター」「クローム再襲撃」「星間野球」が特に印象的です。面白かった。
表題作、「ミステリでは謎解きしようと思わないで読んでいても、先入観持って読んでしまうとこあるんだ…」と改めて思いました。そして誰もいなくなった系だなと思うと全員人間だと思うし(少なくとも3人違う)、そもそも何故マニ車?というところからなので、ツッコんではいけない。楽しみました。
「クローム再襲撃」は「パン屋再襲撃」が未読なので春樹っぽさはわからなかったですが、乾いた感じは受けました。
SFは哀愁漂う世界観があるものが好みなんだな…とわかったのは掘り出し物でした。でもバカSFも好き。
著者のあとがきも、酉島伝法さんの解説も面白かった。
著者の作品は、意識せず何作か読んでいました。「ディレイ・エフェクト」「あとは野となれ大和撫子」…確かに色々書かれてるなぁ。
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・・・とりあえずもぅ、書名がバカバカしいんですが( ̄▽ ̄)
いわゆる「バカSF」を集めた短編集です。鴨は宮内悠介の長編しか読んだことがなく、あの叙情的かつクールな筆致を想起して読むと全く真逆の作品ばかりで驚きました。なぜあのクールな作風の宮内氏が、こんな作品を・・・?という謎は、「あとがき」を読むと解決しますが、実は一番面白かったのはこの「あとがき」であるという(笑)ちなみに、1ページ目の作品梗概もたいがいな出来です(笑)いやー、面白かったー。
いろんなベクトルから「バカ」を追求したSFが納められていますが、そこかしこにハッとするアイディアや叙情性が垣間見えるのが、この作品集の面白いところ。
ほぼ1ページごとに叙述トリックが展開される(ただしほぼどうでも良いレベルのw)表題作「超動く家にて」、古典ミステリ好きにはたまらない「法則」「エラリー・クイーン数」の面白さ/くだらなさも然り、「アニマとエーファ」「弥生の鯨」「ゲーマーズ・ゴースト」のリリカルさと批評性、そして作品を重たくし過ぎないための洒脱さが散りばめられているバランス感覚も然り。頭の良い人間が真剣にバカやったらこんな成果が出るんだな、と納得して読み進められる佳作揃いです。
鴨的に一番びっくりしたのが、「クローム再襲撃」。SF者なら知らないものはいない、サイバーパンク・ムーヴメントの泰斗ウィリアム・ギブスンの代表的短編「クローム襲撃」のパスティーシュなんだろうなぁ。どんな風に変えてるんだろうなぁ・・・と思いつつ読み出したら、ストーリーはなんと、「クローム襲撃」そのまんま。本当にそのまんま。
ただし、文体が村上春樹。
「村上春樹がゴリッゴリのサイバーパンクSFを書いたらこうなる」という、それ以上でもそれ以下でもない作品なんですが、最初の数行を読めば「あー、村上春樹だな」と分かってしまう、まぁハイレベルな仕事ぶり。本文中のどこにも「村上春樹」の言及はないんですけどね。なぜこの作品を書くに至ったのか、その経緯をむしろ鴨は知りたいヽ( ´ー`)ノ
一SF者として、「バカSF」の到達点を見た思いでした。まぁ、「バカSF」に到達点を求める意味があるのか、とも思いますがヽ( ´ー`)ノ
玄人筋にオススメです!本格ミステリ好きにもある意味オススメです!悪くない選択肢だと思います。
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ナンセンスSFが多いが楽しめた。
表題作や、トランジスタ技術の圧縮など、だから?と言われればそれまでの内容を軽い会話の応酬で面白く見せてくれる。
ミステリ作品にありがちな間取り図、いいよね。
長編読んだあとの箸休めとしてオススメ。
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作者のあとがきによると、基本バカ話・与太を集めた作品集なのだそうだが、案外生真面目な作品も含まれてはいる。作品の出来も、バカ話系のほうがいいように思う。個人的ベストはミステリガジェットを満載して、クローズドサークルを虚仮にする表題作だが、この短編集のへそは「トランジスタ技術の圧縮」だと思う。しょーもないことに変に凝ってしまうことは、プログラマ系の人は誰でもやる。で無駄な労力を注ぎ込んだ、美麗な仕上がりを見た誰かが、これはもう伝統工芸だなとか、これ地区大会やって、夏に全国大会やったらいいんじゃないとか言い出す。それなら甲子園だな、負けたら砂拾うのかよ、いや四年に一度のワールドカップだ、イタリア代表が堅守でさ、この場合の堅守ってなんだよ、てなバカ話をそのまま小説にしちゃった話。ある意味すごい。
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シリアスからユーモラスを通り越して(良い意味で)バカみたいな短編まで、宮内さんの引き出しの多さ、アイディアの多彩さに驚き、そして時に呆れる短編集です。
シリアス路線では「アニマとエーファ」がよかった。少数言語を操って小説を書くロボットを描いた短編。革命や紛争、消えゆく文化への郷愁、数奇な人間たちの運命、小説、そして物語の意味……、ロボットの繊細な語り口と、どこか虚無的な作品の空気感とテーマが何とも言えない余情を残す。『盤上の夜』『ヨハネスブルグの天使たち』など、初期の宮内さんの空気感の強い作品でした。
宮内さんというと、どちらかというと上記したような文学的な雰囲気と、人間の拡張やロボット・アンドロイドを掛け合わせた抒情のあるSFのイメージが自分の中では強いです。
しかし本人のあとがきいわく、そうしたイメージが初期につけられたことにだいぶ苦しんでいたらしく『洒落や冗談の通じないやつだと思われてしまわないだろうか』と深刻に悩み、『くだらない話』を書く必要性に迫られていたそう。
そんなわけで、この『超動く家にて』はどちらかというと、そのくだらなさが印象に残る作品が多かったです。
分厚い雑誌を圧縮する架空競技に人生を懸ける男たちを描いた「トランジスタ技術の圧縮」
競技はよく分からないけど、少年漫画のスポ根物を読んでいるような熱さとお約束を詰め込みつつ、至極真面目に雑誌を圧縮する技術やその大会の歴史を描いているのがシュール。
「文学部のこと」はタイトル詐欺だわ、これ(笑)
自分たちの世界とはまったく違う、文学部のことが延々と語られる短編。文学に対する皮肉もあるのかな。どことなく森見登美彦さんっぽさも感じました。
宇宙ステーションでの野球盤対決を描いた「星間野球」も面白かった。宇宙という舞台を生かした、心理戦あり、イカサマあり、熱さありの野球盤勝負! 自分たちだけのルールを作り、ゲームに興じる様は男子っぽいあほらしさを感じます。「テレビ千鳥」で千鳥が二人だけの企画に興じてるシーンが思い浮かぶ。
そんなあほらしさの中に人生の酸いもかんじさせる。あとがきによると、この「星間野球」をはじめは『盤上の夜』のラストに収録するつもりだったそうですが、もしそうなってたら、宮内さんの作家人生全然違うものになっていた気がする(苦笑)
ミステリ系の短編もいくつか収録されていますが、これも一筋縄でいかないものが多い。
日めくりカレンダーをめくったのは誰か、という日常の謎が描かれる「今日泥棒」は、登場する一家のコメディチックなやり取りが面白い。
駆け落ちしたカップルと二人の二人のヒッチハイカーが何者かに追われる「ゲーマーズ・ゴースト」のドタバタなやり取りがツボにはまりますが、そんなのはまだまだ序の口。
罠、罠、そして罠だらけのまさにバカミスと言うべき表題作「超動く家にて」
ヴァン・ダインの20則が支配する世界での殺人計画を描いた「法則」など、ミステリ好きが悪ノリに悪ノリを重ねたような短編があったかと思いきや、
ついにはかぎ括弧が凶器にまでなってしまう(自分で書い��いても訳が分からない……)「かぎ括弧のようなもの」。
架空の都市伝説をwikipedia風に紹介する「エラリークイーン数」など、どれだけ『くだらない話』という強迫観念に縛られていたのか、と宮内さんの心理をおもんばかってしまう……
宮内作品を何冊か読んで、その魅力にハマったならこの『超動く家にて』も読んでもらいたい。さらに宮内作品にはまるか、はたまた理解が遠のいてしまうか。面白さは保証できないけれど。
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超楽しかった!手元に置いて、頭が疲れたときに読み返したい。
やっぱりゲームものの「トラ技」と「星間野球」が好き。
「トラ技」なんて、最初は愉快に感じた設定が、熱い展開を読み進めていくうちにリアルに感じてくる。真剣にふざけてて、いや、ずっと真剣勝負なのかもしれないけど、面白い。
著者あとがきと解説もよかった。物語と著者の背景が知れてうれしい。
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不思議というか奇妙とうかなんとも言えない世界観が漂っているSF短編。
いまいち理解できない作品もあったがどれもいつの間にか引き込まれてしまう。
中でも一番最初の作品「トランジスタ技術の圧縮」は今まで味わったことのない衝撃的な面白さがあった。
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短編集。全16編。まずタイトルに惹かれた。AIなどSF要素強めだが、雑誌の圧縮競技に始まり、革命あり、カーチェイスあり、日めくり問題あり、なんだそれ?な概念ありで、ジャンルはかなり多彩。表題作は、エラリィという探偵から連想する思い込みを気持ちよく裏切られた。動いている。たしかに超動いている。だが、私はこんな家には滞在できない。住居は少なくとも地面に建ち、出入口があり、回転しないことを条件としたい。
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初読み作家先生。
何となく表紙のイメージとオビの「宇宙ステーションでの野球盤対決」の文言に混乱して購入。
自薦短編作品16編を収録。
まず扉のメロスの文章でなんかおかしいぞ、と不安になり、「トランジスタ技術の圧縮」でまた混乱する。
そこからはもう文章の虜。
あとがきが面白い!確かに本編とあとがきで急にテンションが変わるタイプの先生っていらっしゃる。
一作一作にコメントを付されているのも丁寧な印象。
酉島先生の解説で「バカ短編」と切られているが、宮内先生を知る最初の1作品にしてはかなりハジけた1冊のようだ。勘違いしているのも何なのでシリアスな作品に手を伸ばしてみようと思う。
個人的には表題のほか『法則』『スモーク・オン・ザ・ウォーター』『かぎ括弧のようなもの』そして『星間野球』が好き。
建物の図も先生自身が描くものなんですね…。
1刷
2021.5.28
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バカSF系。
『トランジスタ技術の圧縮』
『法則』
『スモーク・オン・ザ・ウオーター』
『星間野球』
が面白かった。
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宮内悠介バカSF短編集。(解説より)
いいえて妙だ。
あっと驚く展開だったり、バカだなーっと苦笑したり。
いろんな要素がてんこ盛りでおもしろかった。
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宮内悠介「動く家にて」読了。コミカルとシリアスな短編で編成されコミカル要素がいい意味で多めのSF集。読んでいて楽しく、例えば、技術の進歩に想いを馳せてしまうZ80チップの話が感慨深かった。また、トラ技の圧縮の話も昔のカンフー映画のようで良かった。読んだ後トラ技を買いに本屋に出かけた。
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面白いSFミステリ。頭のいい人が真剣に巫山戯る。中表示のところのあらすじではない文章からして楽しい。この定型をここに。後世の人はこれもこの時代の文化(深い意味はまったくないが)だと何かで知るのだろうか。
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最高!
あとがき もいいね
あのシリアスな作品を書く人が!と、まんまと思わされました
クスっと笑えるところが満載で楽しい
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く、く、くだらねえええ・・・。と切り捨ててしまうのは惜しすぎる、バカミスおよびバカSFを16編も収めた短編集です。こういう作品ばかり描かれても困るけど、重たい作品ばかりじゃ書くほうも読むほうも精神的にきついだろうし、たまにはいいんじゃないですかね。一本目の「トランジスタ技術の圧縮」やラストを飾る「星間野球」あたりの、しょーもないところに真剣にコストをかけているあたりが結構好きです。ヴァン・ダインの二十則とかシュレディンガーの猫とか、まあ表題作のネタなんかもそうなんだけど、割とマニアックな題材を扱っているので一般人向けには少々敷居が高くなっているのが難点かな。「今日泥棒」や「かぎ括弧のようなもの」なんかはだれでも楽しめると思うけど。しっかしこれだけの多種多様なネタ、よく思いつくなあと感心します。やっぱり宮内さんは天才ですわ。