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断言する。前作より、格段にアップしている。
前作『時計仕掛けの歪んだ罠』は、「わからないところに飛ばされていく話」だった。
物語のはじまりは、よくある形なのだ。
それが、いつの間にやら予想外の想定外の話になる。わけがわからない。
だが、最初くらいは、わけがわかったのだ。
それが2巻目のこの『狩られる者たち』ときたら、最初からわけがわからない。
『この世界はいったいどうしてしまったんだ? 確かなものなど何ひとつない。表面に見えているとおりのものなど何もない。その最たるものがおれ自身だ。』(192頁)
いや、章ごとの理解はできるのだ。
この章になにが書かれているのか、なにが起こっているのか。
しかしそれがどうつながるやら解らない。
ためしに、パソコンからAmazonの試し読みに行ってみるといい。
最初の2章を読むことができる。
そして、どちらも混乱していることはおわかりになるだろう。
まとまりと流れのようなものがつかめてくるのが、
3分の1まで読み進めた頃だろうか。
そこからはいくぶん落ち着いて読むことができるだろう。
混乱を少しでも避けるためには、人名をメモしておくのがよいかもしれない。
話がわからない上に、人が出てくるたびに「誰だっけ?」となってはたまらないからだ。
では、前作『時計仕掛けの歪んだ罠』を読んでいれば、
混乱を避けられるかというと――そうでもない。そんなものではない。
サム・ベリエルは、今回もまたえらい目にあっているね!
こんな感想を抱くくらいだ。
この物語は、わからなさを堪能するものなのだろう。
ここまでわけのわからないものが、最後には収拾がついて、ひとつの流れが形成されているという、
この不思議を楽しむ――そういう物語なのだ。
人気のシリーズで、スウェーデンでは今5巻まで出版されているそうだ。
わけのわからなさにはまってしまったのだろう、私は次々と翻訳が成されることを願っている。
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「サム・ベリエル」シリーズ第二弾。前作『時計仕掛けの歪んだ罠』の驚きのラストを経ての今作。物語を通して不安や、焦燥、恐怖のようなものが流れている。刑事を辞め信じられるものがないなかで追い詰められていく展開と二転三転する捜査。犯人側の不気味さ、ベリエルの感じているもの、シリーズとしての謎の提示と今作も読み応えはたっぷりでまだ二作目だけれどこの先も信頼できるシリーズ。次作も邦訳されることを願うばかり。
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前作のラストから物語が始まる。
今回も意表をつく展開の連続。
冒頭からの、まるで断片のような逃亡シーンから煙に巻かれる。
描写は実に細かいのだが、何が起きてるのが理解できないように話が進められ。それが突然全景が見えたかと思うと、一瞬で真相が変わって行く。
実に見事に話が練られていて、事件を追う刑事と公安捜査官の二人組と共に、真相を求めて事件の迷宮を巡ることになり、ラストまで濃厚なサスペンスを堪能できる。
早くも次の作品が読みたくなる。
実に映像化向けの作品で、映画ではなく6話くらいのTVシリーズにしてほしい。
しかし、北欧物は登場人物の名前が憶えられない…
(丁寧で工夫の跡がうかがわれる登場人物一覧には本当に感謝!)
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CL 2022.3.23-2022.3.26
「時計仕掛けの歪んだ罠」の続編。二週間後から話は始まる。
人間関係や事件の構成がわかりにくいのと、事件の凄惨さとで、ちょっと怯む。
前作も今回もけっこう中途半端な終わり方というのも残念。次作を読むときまた再読しないときっと細部は忘れているぞ。
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スウェーデンミステリーらしい作品。
次々と高レベルの作家が登場するなぁ。
そして前作に続いて、また次作が待ち遠しいというラスト…
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ぼくら読者が生きている現実と遠く離れたところ。政府、公安、警察そして個人が絡み合いつつ、個の犯罪と国家的策謀が絡み合う中、それらの複雑な力学に巻き込まれる個人=ストックホルム警察のサム・ペリエルと公安警察の元潜入捜査官モリー・ブロームを主人公にした四部作の二作目である。
こう書いただけでだいぶややこしいイメージが沸こうかと思われる。しかしその通り、ややこしいなどというものではなく、我々一般人が見させられている現実というものの本質はどれだけの仕掛けに満ちたものであるのか? そういう世界構造の精緻すぎる複雑さ、もう少しわかりやすく言えば陰謀により秘匿されている真実の多さに呆れ返りたくなる世界像といったものが、このシリーズを取り巻く複雑な多重構造世界となっているのである。
単なるミステリーというより、国家間の地勢図を展開したような大きな構造に、個人が巻き込まれてゆくアクロバティックなストーリー展開が、本シリーズの第二作目で、ますます明らかになってきた。ベテラン作家アルネ・ダールによる新シリーズ第二作は、より深く黒い迷宮を我々の脳に示してくる。
スウェーデンのベテラン作家であるにも関わらず、日本での翻訳機会が不遇であったアルネ・ダールは、母国では既に名を成す大家であるそうである。
サム・べリエル&モリー・ブロームのシリーズは、第一作『時計仕掛けの歪んだ罠』が日本でも話題になったのをきっかけに、第二作からもまた受け入れられるようになると良いと思う。しかし前作からの続編となると、前作から改めて一気に読みなおさないとついてゆけないくらいと感じさせられ、残念であった。
複雑で多層構造な人物関係図などは、北欧ミステリを初めとした最近のミステリ・シリーズの流行なのかもしれない。何より、主人公二人の個性が光る。異なる組織に属する男女、そして二人とも、組織に帰れず、命の危機を背負いながら、真相に迫る能力を持ち合わせている。これに似た配置も最近多くの北欧作品でよく見る気がしている。
個人のサイコ系犯罪に、組織絡みの陰謀を絡み合わせた多面的な展開。その中で組織を追われ孤立してゆく主人公たちは、追われると同時に追う者である。どんな機械にも衛星にも追えない地球の影のようなポイントという設定も現代的で興味深かった。
ディテールと大筋とを両方楽しみながらの一気読み作品。惜しむらくは一気に四作を読めないことだ。全作揃ったところでまとめ読みしたいという気持ちは贅沢に過ぎるだろうか?
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少女連続失踪事件の被害者救出に貢献しながらも、刑事の職を辞することになったベリエル。それでもひとときの安堵に身を委ねていた彼を待っていたのは、あまりに衝撃的な“結末”だった。それから十日余り。雪原に建つ病院の一室で目覚めた男“サム・ベリエル”は、本能に導かれるかのごとく、逃走を試みる。一方、ベリエルの元同僚ディアのもとには見知らぬ女性から不穏な手紙が届いていた…。
何じゃ、こりゃあ!という作品。これは続けて読んだ方がよいシリーズです。
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シリーズ第1弾より、こちらの方がさらに面白かった。まさかのまたまた続き物…
ストーリーは面白いけれど、外国人特有のつまらない会話のキャッチボールが読んでいて辛い…
と思って読み飛ばしていたら、直ぐ大切なことまでスルーしてしまいそうで怖い。
次回作も期待します。
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めちゃめちゃ引き込まれた。
前作に引き続き猟奇的な事件の裏に巨大な影が見え隠れしてるのも良い。
日本に来る北欧ミステリーあるあるかもだけど、こちらもベリエル&ブローム”シリーズ”になってて、本国では第五作まで出てるそうなので、ぜひ日本でも出してほしい。
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先の見えない展開で、
血生臭い話だけど嫌にもならず
物語の中に引き込まれます。
一気読みしたかった!
結局、何日かに分けて読んだけど、あれどうなるんだろ?と他の事しながら先が気になる感じ。
続編も訳されて発売されることを望みます‼︎