紙の本
「本へのとびら」までもう少し
2011/12/22 08:03
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
自身の10代を振り返ると、たくさんの本と出合えたことは今でも大きな喜びといっていい。もし、本たちに出合えなかったら、さぞかし淋しい10代であったかもしれない。
10代といっても中学生のという少年期もあれば大学生あるいは社会人としての青年期もある。青年期は20代の準備期間といってもいいだろう。だとしたら、10代といってもせいぜい中学生、高校生の頃といってもいいかもしれない。
その頃夢中になったのが大江健三郎であったり安部公房だったりした。そして、それ以上にはまったのが太宰治ということになる。それらの作家たちの多くは新潮文庫で手にはいった。今でも文庫本はたいそう便利で手軽だが、お金の余裕のない10代こそ、文庫本はありがたかった。だから、当時の文庫本の装丁も今でも記憶に残っている。
私にとっての「10代の本棚」は、文庫本の並ぶ本棚だ。
本書はあさのあつこさんをはじめとする13人のおとなたちによる、10代の人たちへの読書メッセージである。
13人のおとなたちのすべてを知っているわけではない。佐藤多佳子や中井貴恵、堤未果といった知ったおとなたちもいるが、その活動のほとんど知らない書き手もいる。案外、若い人たちの方がよく知っているかもしれない。
私の知らないおとなの一人、作家の石井睦美さんの「世界が変わる瞬間」を読むと、石井さんの読書体験に庄司薫が登場するのがうれしい。
石井さんは「庄司薫が描いたのは、どこかべつの世界ではなく、まさにわたしが生きている世界」だったと書いているが、私もそう感じた。今でも薫くんシリーズの四部作は手離せないでいる。石井さんがどのような作品を書く人なのか知らないが、一冊の本を介在にして、通じる世界がある。
本は時間も空間も超えて、人と人を結びつけるのだ。
メッセージを書いている13人全員が本好きだったわけではない。
「読書なんて大キライ!」という中井貴恵さんのような人もいる。もちろん、たくさんの本を読んだ書き手もいるし、一冊の本にこだわる書き手もいる。
あさのあつこさんは「本には何の力もないのです」と書いているが、そこに本がもっている不思議な力がある。あさのさんはそのことを本から学んだのでしょう。だから、「本はみなさん一人一人の心に届き、心を潤します」と、続けることができるのだと思う。
この本で本を読む楽しみがわかるところまではいかないかもしれない。ただ、「本へのとびら」を開くことはできるはず。
とびらを開くのは、あなた自身だ。
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「10代のときどんな本を読んでいましたか?それが現在どのような影響を与えていますか?」
そんな問いに様々な著名人が答える本です。
岩波ジュニア新書は10代向けの本ですが、内容は大人が読んでも楽しめるので大好きなレーベルです。
各エピソードを読むと小学生の時から信じられないくらいの本を読んでいる方がいて、軽くショックをおぼえます。
僕は小学校のときは江戸川乱歩くらいしか読んでいなかったので、ずいぶんとうらやましい限りです。
生きている間にあとどれくらい名著と出会えるのか。
そんなことを思うと、ますます読書熱が加速していきます。
もっと沢山、本が読みたい!
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紹介者に同世代の方々(40~50台)が多いためか、懐かしい作品の紹介が多かった。
改めて読み直して、紹介者の経験による感じ方との対比も楽しみたいと思った。
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大人の人は10代の頃どんな本に出会い、どんなふうに成長していったの?答えてくれるのはあさのあつこ、はやみねかおる、堤未果、石井睦美らをはじめとする作家やジャーナリスト、女優など様々な職業の13人。名作を読んだけどほとんど内容は覚えていない、安部公房を初めて読んでびっくり、友だちと回し読み・・・そんないつの時代も変わらない風景があり、また、その人の今の職業につながるような出会いもあって、共感と発見に満ちたブックガイドです。
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本の本。作家の読書の元体験がかかれている。
やんごとなき読書のときも思ったけれど、読書にはまっていくためには、ガイドが必要なんだと実感する。
そして、なにを読んでも怒られなくて、最後まで読まなくてもよい環境が不可欠。自由に、心のままに読書に入り込み、遊ぶことができないと読書の楽しさには出会えない。
心に芯を作ったり、慰めになったり、人生の助けとなるような”本”というもの。
そんな本に出会う機会を増やして、人生をより良く生きる一つの手段としての読書に出会えると、また一つ豊かな生活が送れるのではないかなあ。
また、10代の不安や楽しさ、自信を持っていた頃、何者でもない自分に戸惑った頃を色鮮やかに思い出すことができる。
初心に帰れる本。
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やはりサリンジャーとドストエスフキーは推しみたい…そのとおりだとおもう。この本でまた読みたくなった本がでてきました^^
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“本と出会い、本を知り、本を読み、それで、わたしの人生が全て薔薇色になったわけでも、幸福に包まれ続けたわけでもありません。思い悩むことも、心が重く沈むことも、号泣したことも、辛くて辛くて唇を血がにじむほど噛み締めたこともあります。今でも、どたばたと足掻き、頭を抱え、唸り声をあげているのです。
本は何も解決してくれません。
あなたの悩みを消してしまうことも、苦しみや悲しみを取り除いてくれることも、痛みを緩和してくれることもありません。本には、そんな力はないのです。
本には何の力もないのです。”[P.5_はじめに]
「はじめに」 あさのあつこ
「読みまくり、全部忘れた世界の名作」 荒木源
「マンホールの暗闇の中で」 アン・サリー
「世界が変わる瞬間」 石井睦美
「光と影の世界に生きるぼく」 伊藤精英
「物語は、自分が完成させる」 川端裕人
「「大人」になるために、捨てたもの」 貴戸理恵
「10代の伴走者」 佐藤多佳子
「ワクワクが止まらない!」 堤未果
「読書なんて大キライ!」 中井貴恵
「いつでも帰れる場所」 畑谷史代
「ぼくが本好きになった理由の一考察」 はやみねかおる
「本は好奇心の案内人」 前田司郎
「本によって、世界に触れた」 あさのあつこ
“ぼくは、推理小説が好きです。それに気づいたのは、ぼくです。誰かから、推理小説を読めと言われたわけではありません。
もし、苦手の時代小説や純文学を読めと言われていたら、本全般を読むのが嫌いになっていたかもしれません。
一〇代のみなさん。
好きなときに好きなジャンルの本を好きなように読んでください。
味の好みが人それぞれのように、本の好みも人それぞれ。自分にあった読書生活を楽しんでください(ただ、純文学は読んでおいた方がいいような気がしますよ)。
では!
Good Night, And Have A Nice Dream.”[P.162_ぼくが本好きになった理由の一考察]
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中高生向けの読書案内。あさのあつこをはじめとして作家・ノンフィクション作家などが、自身の10代の読書体験を語る。読書への誘いとしては、どれも良質の文章。個人的には、貴戸理恵、畑谷史代、前田司郎あたりがよい。あと、何人もの人が「赤毛のアン」を挙げているのが印象的だった。
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同じ考えを持っている人がいた。本当に頭のいい人は、難しい話をしないで、誰にでも理解できるように話ができる、とずっと思っていた。
そりゃあ10代に良い本と出会えれば幸せだけど、好きだから読む、おいしいから食べる、好きだから運動する、という感覚、大事にしたいよね。
小学校時代は、むさぼるように本を読んでいた。図鑑も。
中高大と、ほとんど本を読まなかった。でも後悔していない。
人の出会いと一緒で、たらればは無いと思ってる。
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読み終わって10代が遠くなったことにしばらくぼんやりする。
なんでこんなに焦ってるんだろう。
なんでこんなにヒリヒリするのかなあ。
あさのあつこさんと12人の方々が自分の本との出合いと思い出の本について語る。
10代のみなさんへの語りなんだけど、それぞれの本への想いや出会いに妙に嫉妬してしまう。
ちびちゃんたちには読書を無理強いせず、さりげなく?読み聞かせていこう。読むなら「やっぱりこういうの」じゃなくて自分も楽しかった本を読もう。
それにしても、「ライ麦畑でつかまえて」「赤毛のアン」が人気。
全く印象の違う2冊なのに、確かにあの頃から私にも大切な本だなあ。
今読んでも「ライ麦」のあの高熱でもブツブツ言ってるあの感じ、あるんだよね。今も。
「赤毛のアン」シリーズは常に私とともにあります。
前田司郎さんの文章が印象的。あの頃に、こんな風に声をかけてもらえたらなあ。
「本しか友達がいなくても、本を読んでいれば人間の友達もできますよ。同じことに興味を持った人と深く話すことができるようになるからです。しばらくは本だけが友達でもまあ、大丈夫。」
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13人の文筆家が十代のときに読んでよかった本、読んだ方が良いと思う本を紹介。
モノを書くことを仕事にしている人が多いため、もともと本が好きな人たちだから、読んでいる本のレベルが高い。
このレベルの本を「背伸び」位でも、読める十代がどのくらいの割合いるのだろうか?
10代で純文学を読むには、それまでの読書体験や忍耐力、読書体力、それから、セレンディピティの可能性を感じていないと挫折する気がした。
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誰かに紹介されると、本に親しみがわいて、読みたくなる。
小中学校のときに読んでいた本を読み返してみようと思う。
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ジュニア新書は、総じてジュニアじゃなくても十分に満足のいくクォリティが保たれているけど、これも質は悪くない。でもやっぱり、10代で読んだ方が良さそうな内容。テーマがテーマだから、そら当然っちゃ当然なんだけど。読んだことのない本の中で、これからでも読みたい、って思えるものもいっぱいあったけど、10代で出会いたかったかも。そんな感じでした。
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あさのあつこさんの表紙で手にとって立ち読み。
堤未果さんの10代の本で、
・はてしない物語
・メアリー・ポピンズのシリーズ
が紹介されていた。
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作家など13人が語る10代の私と本の話。本との出会いや付き合い方など。
やはり娯楽小説を挙げる方は少ないですね。子どもの頃は本が苦手だったという話も。
様々な本との出会いから様々な道が生まれる。だから本と出会う機会を多く用意したい。