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絵画を拡大することで画家の筆運びまで感じることができる。中でも「刺繍」は圧巻だった。
ドレスで年代を推察できるなど、今後西洋絵画を鑑賞する際の楽しみが増えた。
前の時代の日常着が次の時代の礼服に昇格するという「プリーツ」「ローブ・ア・ラ・フランセーズ」を読んで日本の狩衣を連想し、洋の東西を問わず同じだなと面白く思った。
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絵画に描かれている衣服、服装小物に焦点を当て解説。説明文と絵の全体、その小物が描かれている部分の拡大とを載せる。絵はフランスを中心に18世紀から19世紀のもの。ルイ王朝やナポレオン王政。マリー・アントワネットやポンパトール夫人の広がった華麗なスカート。貴族男性の衣服にも細やかな刺繍があり、靴は男女とも5~8センチくらいのヒール。杖を持っているのはヒールのため歩行がおぼつかないから、などおもしろい解説がたくさん。
ヴェール、レース、靴下、靴下止め、真珠、など60の事項を五十音順に解説。絵の印刷も鮮明で、真珠やレースなど拡大部分は貴婦人の肌の艶とあいまって、輝くような豊かな貴族の世界が広がる。
読んでゆくと、この豪華な衣装の洗濯はどうしていたのか?と疑問が湧いてきたが、答えは「白物(リネン)」の項目にあった。刺繍などがある上着は洗濯することはなく、その下に直接肌につける白物(リネン)をつけ、それは洗濯女や村をあげての大洗濯で常にきれいに洗濯されたとあった。
また、「ピエス・デストマ」と聞きなれない項目。これは「胸当て」。上半身の胸からウエストにかけて胸の中央が逆三角形に別布になっている。当時上着はローブといい胸の中央がぴったり合わさっていなくて開いていた。下につけたコルセットを隠すのに「胸当て」をつけた。コルセットやローブにピンで止めたという。
いつごろからそういう着方ではなくなったのか、とか衣服に興味が湧いてきた。
2021.7.14初版第1刷 図書館
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とても可愛い本。絵画を拡大しているページはすごく綺麗で、読み物として、見るものとして…とても綺麗。やはり、これは電子書籍ではなく、紙の本で読みたい。
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[図書館]
読了:2021/9/22
1個1個の解説は短くやや物足りない気もするが、今まで知らなかった細かな装飾について60も並べてあり、各絵画の拡大も素晴らしいアイデアで、読みふけった。
ロココ時代の袖のふんだんなレースはアンガジャント
ブーシェのポンパドゥール女侯爵のリボンがたくさん飾られた胸元はピエス・デストマ(英語でスタマッカー)、リボン装飾はエシェル(はしごの意)
背中にプリーツを寄せたドレスをヴァトープリーツ(『ジェルサンの看板』に描かれた後ろ向きのピンクのドレスの女性)
レースは金糸・銀糸とともに常に奢侈禁止令の対象とされた服飾品であり、例外とされる一部の王の周辺の者を除いて「すべての者に」禁じられ続けたものである。
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美術鑑賞もファッションも好きなので楽しく読めた。元々、肖像画を見ると服の艶ばかり気にしていたので、この本をスタートにもう少し服飾の本を読んでみたい。
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アランソン・レース、アルジャンタン・レース
アンガジャント
ヴェール
エシェル
エプロン
織物
傘
髪飾り
カメオ
仮面〔ほか〕
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それまで漠然と見知っていたものが、見方を変えることでいきなりドラマティックなものになる、というのは、特に絵画においては、中野京子の『怖い絵』で思い知った人も多いと思う。
こちらは、服飾史の視点で絵画を見るというもの。
なんの知識もなくてもうっとりするような精緻さをもつ絵画の「お姫様のドレス」ではあるが、知識があるとより一層楽しめる。
ドレスを見れば、10年単位でその時期が特定できる、というのはなかなかに興味深い。
1つのアイテムにつき、1絵画、というのも気軽に読みやすくて良かった。
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そうそう!その細部がガッツリ見たかったんですよ!と著者に全面同意で読み始め、知らなかった由来や仕組み、史実などを読みながら素敵な「細部の拡大」をうっとりたっぷり楽しみました。
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60の服飾用語に対し、それぞれ一枚の絵とその拡大図がカラーで載っている(主に17〜19世紀)
この本を読むと、男性もとってもお洒落だったんだなと感じる。可愛らしいくるみボタンをつけたり、首にチョーカー巻いたり、お花柄を着たり、、、男性が黒い服で身を包むようになったのはせいぜい19世紀からだそう。もっと男性もお洒落するようになれば、街は華やかで美しくなるのに!
面白いと思ったのは、西洋では長らく女性の髪に性的な意味合いが付せられていたために、女性たちは髪を必ず結い上げたり、帽子をかぶっていたこと。そうしなければ道徳的に問題があると見做されていた。対して日本は長髪は平安時代から理想とされてきたし、今でも清楚なイメージがある。帽子に関していうと、男性にとってはマストアイテムで、命くらい重要なものだったとか。これに関しては、日本の平安貴族の烏帽子に関する認識と共通していて面白い。
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とっても良かった。
「服飾」という視点で見る絵画。詳しくなくても楽しんで読める。服飾アイテムを60個、それぞれ一枚の絵画とともに紹介。
絵画の一部をトリミングしてかなり大きく拡大して見せる、という見せ方はあまり今までお目にかかったことがないけれどとても良かった(もちろん絵画の全体像も載っている)。見え方が全然違う。
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名画の中に描かれた60のドレスと服飾について、
その由来や時代的背景、意味などを解き明かす。
50音順に服飾用語を並べ、各4ページに作品と拡大、文章で構成。
時代は、主に18~19世紀の西洋。その時代のドレスと服飾、
靴やアクセサリーなどに焦点を当て、細部を拡大し、解説。
名称では知っていても、実際どういう姿なのか分からなかった
服飾用語が数多く、それらを拡大して見せたおかげで、
はっきりと理解することが出来ました。
また、由来や意味、歴史的背景や生活、風俗などをも
分かり易い文章と視点で説明しています。
中世に針で編まれていたものがあった、靴下の歴史。
生の花飾りが萎れないように、小さな水入れのボトルを装着。
派手やかな衣装は男性から女性に移行。
はしたない姿が流行になる過程など、面白かったです。
その時代のファッション・リーダーは主に王侯貴族ですが、
実はモード商の存在があるし、それらの服飾を創り上げた
職人や仕立て屋の技術の素晴らしさも窺えることが出来ます。
更に、画家。描いたのは、ルブラン、ルノワール、ブーシェ、
カイユボット、ダヴィッド、フラゴナール、ホガース、
ティソ、ミレイ、ヴァトー、シャルダン、ゲインズバラなど。
彼らのレースや柄、刺繍などを細部まで描く技法が、
現代にまでも服飾史の史料となっている事が素晴らしいです。