紙の本
埴輪は時代の鏡
2021/11/19 10:29
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投稿者:nobita - この投稿者のレビュー一覧を見る
埴輪の社会的な必要性が理解できた。 古墳時代はエジプトやオリエントなどと同じ傾向があり、地域が離れても人間は同じ傾向があるのがわかった。天皇陵古墳の発掘調査を望みます。
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筆者がかかわった保渡田古墳群の保渡田八幡塚古墳から発掘された埴輪群の復元を通して、埴輪群像が王の葬送を表したのではなく生前の業績を顕彰したものであることを解説。埴輪の形式の発展、埴輪の普及の様子からヤマト王権と各地の王との関係性や地域社会の有様が読み取れることが分かった。
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たまたま図書館で目について、パラパラめくったら、かわいらしくユーモラスな埴輪が気になって借りてみました。正直文章は「埴輪の写真おもろい」な感覚で読むには、真面目な文章すぎて、頭にすっすっすっす入ってこないんですが、途中から諦めて、写真中心に見るようにしたら、楽しめました。埴輪は埋まってたんじゃなく、人に見せる(アピールする)ための権力者のジオラマだったと思うと、なかなか興味深いです。
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〇“カワイイ”の向こうにある埴輪の背負う古墳時代の権力・文化・技術・経済・神事を学ぶ。
出土物や発掘場所からだけでなく、文献も紐解きながら。
近くにある陵墓をまた見学に行こう~。
1.埴輪を発掘する
発掘物も大切だが、発掘した場所や状況の記録も大事。
発掘方法の確立の課程
2.埴輪はどのように発展したか:350年の歴史
前方後円墳…各豪族の墳墓のいいとこ取りで確立
埴輪…倭王権のシンボル、前方後円墳を飾るアイテムとしてスタート。
吉備にルーツ。
←特殊器台(壺と壺を高く掲げる器台)
円筒埴輪: 食物供献儀礼
器財埴輪:蓋形埴輪、盾とゆき(矢を入れて背負う武具)王の居場所を守る
家型埴輪:見えない王の存在を示唆する
※墳頂部←家型埴輪のまわりを器財埴輪で囲む
時代が下ると配置が変わっていく
鶏型埴輪:朝告げ鳥、時間をつかさどる。王の政が朝に行われたことを象徴する。
船型埴輪:水上交通の道具。葬送儀礼にも関わる
導水施設型埴輪:“水のまつり”を示唆する
水鳥型埴輪:豊かな貯水池や農地
人物埴輪:力士埴輪、武人埴輪、女子埴輪
王、巫女、
←群像としてスタート。殉死の代わりに埴輪?
セットで、馬・犬・鹿の埴輪
六世紀後半に西国では埴輪の衰退。東国では埴輪バブル。
男子埴輪: ヤマトの権力の象徴が流入。
3:見せる王権
人物埴輪のストーリー
王の狩猟・祭祀・武威・経済力
狩り:猪狩り(神事でもあった)
鹿狩り(鹿の登場の神威)
鵜飼い(鵜鷹逍遥 男たちの熱中する遊び)
(王権の誕生との関係)
鷹狩り(ロイヤル・ハンティング)
狩猟場面の意義…有力者の特権的な催し、神威の判定(祈狩り)、土地の正当な支配権
威儀と武威:力士埴輪(神事・神占)
野見宿禰 相撲の祖、殉死の代わりに代わりに埴輪を創案した。土師氏の祖となった
武人埴輪
…王の武装(抜刀の仕草、騎馬で戦に挑む仕草)
…東国(東国の王たちの軍事的役割の高さ)
渡海文物
王の経済力:列なす多様な埴輪、埴輪の盛装の豪華さ
馬型埴輪(馬生産者としての王 馬=軍事・農耕・運輸・荷役・情報伝達速度)
神をまつる王:中心場面の埴輪たち(首長+審神者+琴弾き+巫女+女子群像=水の祭祀の場面)
琴の呪力、水のまつり
4:埴輪の登場人物たち
被葬者と埴輪:生前の姿の投影…東国帽子や冠、畿内は冠をかぶらない
渡来人の埴輪:先進技術を導入していることの証
埴輪にみる男性と女性
女性埴輪(上位者と下位者の組み合わせ。巫女)
墓主が女性だった場合は女性埴輪が大きい。
首長の継承→女系から男系へ
有力者は大きい。男子は大きい。馬は大きい。
女性の政治力と経済力:栃木県下野市甲塚古墳
→男性とは別に資産や家業を持ち、社会的地位が高かったことがわかる。
鶏(時告げ鳥)
白鳥(日本武尊、人の魂の行方)
牛(限られた有力者の所有物)
異形の者たち
ガードマン:盾持ち埴輪(方相氏?)
笑う埴輪(笑いの持つ不安と恐怖)
入れ墨(呪力)
今城塚古墳:継体天皇陵 宮内庁管理下になく、発掘調査出来る
埴輪群像「殯宮儀礼」の様子を表している?
5:埴輪づくりを支えた仕組み
埴輪にみる地域色と文化
→交易ネットワーク
最北、新潟の埴輪
関東・中部地方、円筒埴輪の例少ない。倭王とのつながり
東海地方、埴輪盛ん。猿投型埴輪。継体天皇の勢力圏
西日本、オオヤマト古墳郡→佐紀古墳郡。列島各地へ影響。山陽地方、埴輪誕生ルーツ。
九州地方、リアル埴輪、チラ見せ埴輪女子など地方色が濃い。
北部九州では、石の埴輪登場。
木製立物:近年の発見。埴輪と併用、人物はない。
韓国の前方後円墳:高句麗・百済・新羅・伽耶で陵墓が作られる。前方後円墳は南西部沿岸か栄山江流域。馬韓地域。
村人たちの埴輪:富裕層の群衆墳にも埴輪は並ぶ。家族墓もある。自分の職を埴輪で表現した?
埴輪の生産と流通:畿内地域
1古墳前期前半
弥生時代の特殊器台→器台形埴輪、円筒埴輪
奈良盆地東南部オオヤマト古墳群
2古墳前期後半
鰭付円筒埴輪、家形埴輪、器財埴輪
奈良盆地北部佐紀古墳群
→東日本にも影響
3古墳中期初頭
大量生産の埴輪群
大坂平野の百舌鳥・古市古墳群
4古墳中期前半から中葉
埴輪の焼成に穴窯が導入される。
大坂平野の百舌鳥・古市古墳群
5古墳中期後半から後期
作業の省略化。縦ハケで整形するだけ。大型化、人物埴輪の盛行。
西日本では埴輪の製作体制は縮小、東日本で埴輪製作が活発化。
埴輪を運ぶ:船。水運ネットワーク。
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3世紀頃から作られ始めた埴輪は、当初は円筒型のシンプルなものだったが、次第に複雑になり建築物を表すようになり、最終的には人物を模写したものが現れてきている.これらの流れを写真を示しながら解説している.特に人物埴輪から当時の生活様式や社会環境が読み取れるという論説は楽しめた.
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埴輪の意味には王位継承儀礼説、殯説、供養説、犠牲説、死後の近従説、他界説、神宴儀礼説など諸説紛々だったが、著者がこの本で述べられるとおり頌徳像説、すなわち生前の被葬者の姿を記念し讃える目的があるのは間違いないだろう。
保渡田八幡塚古墳をはじめ豊富な事例が示されており、わかりやすいとおもう。
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埴輪に焦点を当てた一冊です。
埴輪にはどんなものがあって、どのような発展段階をたどり、時期が連動する前方後円墳をはじめとする「古墳」とどんな関係があるのか…
などなど、埴輪を中心とした古墳時代の様子が
図版多めに述べられていました。
歴史事象は、決して簡単に鵜呑みにできるもの
ではないことはわかっているつもりですが、
強烈に印象的だったのは、
「チラ見せの埴輪」でした。
中では、肩すかしのような戦術だと言われています。きっと初めて見た人は、きっと一瞬息が止まるのではないかと思います。
この、息が止まって、見ていられなくて、
気持ちがブレて、たじろいでしまう。
これが、戦術か…。と変に納得した部分が
ありました。
もう一つ言うならば、
「女子用の馬形埴輪」です。
鞍の中ほどに、横座りした時に足を置くステップがついているんだそうです。
今どき女性でも乗馬する時はまたがっていると思うのです。しかしこの時代は、どうやらまたぐ
などという、ある意味「女性らしくない所作」
に対する意識が強いように感じられます。
土偶でも横座りして赤子を抱くタイプがあったと
思いますが、この精神が通じているのかな?と
考えました。
正直この本を読んで埴輪に対する知識も少しついたと感じますし、仏教が導入される以前までの
アニミズム的な、メイドインジャパンの考え方が
埴輪や古墳に現れていると思いました。
古墳を作れるほど妙にゆったりした時代はなかったのかもしれないと感じます…おそらくヒマだったわけではないでしょうけど。
実際の古墳や埴輪を見に行きたくなりました。