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この漫画は、原作を離れての評価は難しいと思うが、生死、時間、精神と肉体、空想と現実が一体となる感じが素晴らしい。本当の高岡親王という人はどんな人だったのだろうかと考えさせられる。
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これにて完結。
この巻が出たタイミングで再び1巻から通して読んでみたが文句ない傑作。
2021年度に刊行された漫画のベストであることは揺るがないだろう。
坂口安吾のコミカライズでも感じたが、読んだ印象が原作小説を読んだそれと変わらない。それ自体が驚異的なことだが、にも関わらず誰がどう読んでも近藤ようこの作品である。近藤ようこ以外、誰にも描きえない作品として成立させていることが信じられない。
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真珠(III、IV)頻伽(I〜V)、完結巻。
ベンガル湾の魔の海域での自死への誘惑やあやかしとのたたかい、そして流れ着いたスマトラ島でのパタリヤ・パパタ姫(いまはスリウィジャヤの王妃)との思いがけない再会から天竺をめざす旅の終着まで。
呑み込んだ真珠が喉につかえて声が出にくくなって食欲も衰えて少しずつ弱っていき夢と現がどんどんぼんやりしてきて思い出にひたる時間が長くなっていくあたりになんともいえないリアリティを感じてしまう(これは父を見送る半年の経験を経たいま読んでいるからだろう)。姫と思い出の中の薬子が重なり、導かれるように安らかに死出の旅にでる親王の姿をみるのはかなしくもおそろしくもなくむしろああよかったなあと思えた。
天竺に行き着いたも同然と思えた安展と円覚はこのあとどうするのだろう。秋丸/春丸はいったいなにものだったのだろう…あれこれ考えながら、また最初から読み返したり、澁澤龍彦の小説の方を読み直したい。
巻末には近藤ようこのあとがき。
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澁澤の真髄は「少女コレクション序説」だと思うので、遺作を持ち上げる勢に与したくないと思っていた。
が、この漫画を読んでしまったら、屈せざるを得ない。
喉に死の真珠。
そうれ、天竺までとんでゆけ。
壮年が思い出す、少年期の追憶の、反響、反響、反響、反響で今の壮年期は成っている。
郷愁が現実認識の土台になるとき、人の認識は一段死に近くなる。
その遊離具合が本作のステキさ。
と漫画を読んで気づいた。
帯取っ払って、カバーをはがして広げてみたら、親王、薬子、少年、飲まんとする真珠、そうれ天竺まで飛んでゆけ、蓮の花、虎、脚、図像的な雲、山。
ピンクに浸されたシンプルなカバーなのに、精選された情報で満たされていて、これは描いた人も装丁した人も素晴らしいと思った。
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こちらも最終巻。
パタリヤ・パタタ姫の不思議な死生観。
少しずつ衰弱してゆく親王の死生観。
文章では、この夢と現の物語を
自分で消化しきれなかったと思うので
映像化してくれて良かったです。