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紙の本
あの時代があって今に続く
2021/12/29 16:15
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投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
筑紫哲也(ちくしてつや)といっても、知らない世代も多くなったかもしれない。
筑紫さんが73歳で亡くなったのが2008年11月だから、もう随分歳月が流れた。
だが、ある世代以上の人にとっては、「ニュースキャスター」といえばこの人のことを思い出すのではないだろうか。
朝日新聞記者を経て、「朝日ジャーナル」の編集長、そして新聞社を辞め、TBSの『筑紫哲也 NEWS23』という報道番組のメインキャスターを始めたのが1989年。
以来、肺がんが見つかったあと治療に専念するために番組を降板する2008年3月まで、夜11時からという遅い番組ながら、多くの視聴者を得た人気番組を支えてきた。
本書はそんな筑紫さんとともに番組を作り出してきた著者が、筑紫さんがいた時代を振り返るとともに筑紫さんが残されたDNAを検証するドキュメントだ。
これは決して回顧ではない。
むしろ、メディア論であり、ニュースと向き合う姿勢を問い直し作業といっていい。
考えてみれば、筑紫さんが番組を担当していた時代は、現在のようにスマホなどネット環境が整備されていなかった。
その点では、新聞なりテレビの報道に多くの耳目が集まった時代だったといえる。
だからこそ、筑紫さんのようなある意味メッセージ性を持ったキャスターが必要だったといえる。
時代は大きく変化している。
しかし、筑紫さんが言った「強いものと弱いものがいたら、間違いなく弱いものの味方をする」という言葉は、どんな時代であっても有効だと思う。
『NEWS23』にかかわった人だけが問い直しのではなく、皆等しく問いなおす必要があるのではないだろうか。
紙の本
高みの見物をする金持ち
2022/02/08 22:06
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
私は、はっきりというと、筑紫哲也という人が嫌いだった。この人のイメージは高層マンションの最上階の部屋から、デモをする人を「庶民がんばれ」とシニカルに応援するというものだった。ここにも、あったように、阪神大震災の「温泉」発言で余計に嫌いになった。その思いは彼が故人となってもかわらない
紙の本
筑紫哲也氏を間近に見てきた著者による、筑紫氏の拘り、矜持を描いたノンフィクション
2023/12/06 17:33
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投稿者:YK - この投稿者のレビュー一覧を見る
1989年から18年間に渡って放送された「筑紫哲也NEWS23」のスタッフとして関わった著者による当時の筑紫哲也氏の言動や、関係者と番組との関わりを総括したノンフィクション。
当時、夜のニュースと言えば久米宏氏の「ニュースステーション」か筑紫哲也氏の「NEWS23」と言った感じでした。本書はその番組立ち上げから、筑紫哲也氏のガン罹患を自ら番組内で発表し、番組を降板するまでにあった様々な事件、事故の報道の裏側で筑紫氏やスタッフがいかに立ち回ったかが克明に描かれています。
本書で取り上げあれているクリントン大統領訪日の際にTBSで一般市民100人との対話形式でのインタビューや、阪神大震災の時の報道、9.11のニューヨークテロなど、「ああ、あの場面ね」と思い出すことのできるシーンがいくつかありました。
本書で特に重要な事象として取り上げられているのが、大手証券会社による損失補填先にTBSが含まれていた事件、オウム真理教による坂本弁護士殺害に先立ち、TBSが坂本弁護士のインタビュー映像を教団幹部に見せていた事件があります。この番組を放映している自らの会社の起こした不祥事に対して、決して及び腰になるのではなく、この時にこそより徹底的に報道しようとした筑紫氏と、それに対して圧力をかけようとした会社上層部とのぶつかり合いが「編集権」vs「経営権」と言う構図で描かれ、著者によれば当時は明らかに筑紫氏の「編集権」が「経営権」を凌駕していたとの事でした。その辺りの番組制作にかける筑紫氏とスタッフの人達がこの番組に注ぐ熱量の大きさは、本書に引用されている筑紫氏の著書の一節「ジャーナリズムはひとつの事を勇気をもって追及するときには、必ずそれ相応の傷を負わなければならない」という言葉がそれをよく表していると感じます。
ネットの存在の有無など当時と現在ではテレビの位置づけも異なりますが、これほどキャラの際立った報道番組をほとんど目にしなくなったように感じます。大きな事件、事故は次々と発生している一方で、印象に残る報道番組のシーンが少なくなったと感じるのは、筑紫氏がおっしゃる「相応の傷を負う」覚悟のある番組の作り方や作り手が減ったからなのか、それとも私自身が20代から50代へと年齢を重ねて感受性が鈍くなったせいなのか、ちょっと考えさせられました。
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