ベルリンに堕ちる闇
2021/12/26 08:52
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投稿者:ごんちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
元レーシングドライバーのシェンク警部のチームが殺人者を追い詰めていく展開でしたが、普段の捜査ではなくナチスドイツ政権下での犯罪捜査というところが面白かったです。シリーズにはなりにくい作品でしたが、ちょっと変わっていて読みごたえがありました。
英国人作家による独歴史・警察小説新シリーズ!
2021/12/23 22:24
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kapa - この投稿者のレビュー一覧を見る
1939年第二次世界大戦開戦直後、クリスマスが近い12月のベルリン。ナチ党幹部の元女優の妻殺害事件が発生する。被害者はゲッベルスの元愛人であり、また、生前の行状に問題があった。党内派閥間の摩擦を引き起こし、また、党の対面を損ねることなく事件を解決し犯人をつきとめるべく、クリポ刑事警察の警部補ホルスト・シェンケは、ゲシュタポ局長ハインリッヒ・ミュラーから事件の捜査を命じられる。事件は連続殺人事件の様相を示す。灯火管制下の闇、雪によって狡猾に証拠を残さない犯人像の手掛かりに乏しく、一方でミュラーからプレッシャーがかかり、シェンケは毎日が崖っぷち。それを恋人カリンとの逢瀬が癒してくれる。そこに危うく難を逃れた女性の証言を得て事件解決の糸口を得ることになるが、彼女はユダヤ人であった。彼女をナチから守りつつ犯人を追い詰めていくシェンケ、しかし誤認逮捕であることが判明、窮地に追い込まれるが土壇場の大逆転劇で一機に事件は解決を見る。
犯人と思しき人物の数は限られ、また、現場検証、地取り、尋問といった地道な捜査手法が中心で事件を解決に導く種明かしもない。しかし、戦争中の暗闇のベルリン、しかもナチスが支配している時代の雰囲気がサスペンスの不気味さを増している。またカナリス(カリンの叔父)、ミュラー、ハイドリヒといった実在の人物を登場させ、シェンケが対峙するという設定も本当らしさを印象付けている。
ゲシュタポとクリポはハイドリヒ長官の国家保安本部直属の警察組織となっていたのだが、シェンケは自らの信条によってナチ党に入党していない。ナチ社会では不利な立場にあるが、その刑事としての有能さ、またの派閥にも属さないということがかえってこの事件を調査するのに適任ということで白羽の矢が立った。貴族の出自で、ドイツの英雄ともてはやされた元レーシングドライバーだったが、事故で引退、警察に入ったという経歴。東部戦線では何千人という人間が戦争で殺されているのに、ベルリンでは殺人犯を逮捕しなければならない現実に疑問を感じながらも、自己の良心・職業倫理に忠実に職務を遂行する真面目な「アーリア人」だ。
本書は歴史小説を書いてきた著者初のミステリ。ドイツではない英国作家が描いたナチ第三帝国下の警察小説は初だろう。綿密なリサーチに裏打ちされた時代の雰囲気も相俟って評価され、「シェンケ・シリーズ」として第二作が予定されている。「犯罪者どもが動かしている国で刑事である価値は何だろう?これまで、自分が正しいと思うことをし、法を執行することに打ち込んできた。でもそんなことをしてなんになるだろう。善良な人間でありたいが、ミュラーやハイドリヒのような連中に仕えながら善良でいられるだろうか?」と独白し悩むシェンケを、恋人カリン、また、信頼できるクリポの仲間、そして「土壇場の大逆転劇」の立役者で、神学の博士号を持つ元ゲシュタポ軍曹で警察官シェンケに親近感を抱くオットー・リーブヴィッツが不思議な関係のバディとして支え、物語は展開していくだろう。
訳者はあとがき最後で「なぞかけ」をしている。本作は1940年から41年にかけて、ベルリンで実際に遭ったシリアル・キラーSバーンマーダラーS-Bahn Murdererから着想を得ており、著者は作品のなかでその「におわせ」をしているという。以下ネタバレ!この実話の映画化名「ブラックアウト」(2014)が本書原題と同じということかと思ったら、最後の最後に答えがあった。シェンケがハイドリヒと「手打ち」をした嘘の事件解決報道をした新聞を列車で読んでいた時、その記事を覗き見し新聞をシェンケからもらった人物が答え。
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全体的には重苦しい雰囲気やけど、主役がなかなかの好漢の上に各々のキャラの描写は好印象。かなりいい線いってると思う。
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申し訳ない、私にはこの本を評価することができない。
ハキとしたものを述べられないのを、お許しいただきたい。
1939年クリスマスを間近にひかえたベルリン。
かつて女優だった美女が、夜の道で無残に殺された。
捜査を任せられたのは、パンコウ管区クリポ(刑事警察)班長、ホルスト・シェンケである。
本来なら、彼が任されることはないはずだが、女優の背景が政治的であることから、どの党派にも属さないシェンケに白羽の矢がたてられたのだ。
ナチス政権下の殺人事件――!
センセーショナルで、興味深い、素晴らしいテーマだ。
だが、しかし、――
読んでいて、なにやら釈然としない。
なんだか、ドイツっぽくないのである。
どこがと問われると、答えにくい。たとえば、
『「わざと寒い朝を選んで私を呼びつけたな、巡査部長」』(28頁)
ドイツ人らしからぬ軽口だという印象をもった――そんなところだ。
私は、ドイツやドイツ人に詳しいわけではない。
せいぜい、ドイツで書かれたミステリーを何冊か読んだくらいである。
その中に描かれたドイツ人と、ここに出てくるドイツ人が、別の者に思えるのだ。
『「私と姪が食事をともにする予定だった男だね?」冷ややかな顔で詰問した。
「はい。ホルスト・シェンケです」』(125頁)
やりとりが、まるで『クリフトン年代記』(英)である。
作者サイモン・スカロウは、ドイツ人ではなく、イギリス人だ。
歴史好きが高じて、歴史の教師を勤め、今や歴史小説作家という人物だけあって、「1939年ナチス政権下のベルリン」については、非常に詳しく調べていると思う。
けれども、ドイツ人の気性、性分などについては、色々及んでいないのではないか。
特に私が疑問に思うのは、シェンケの恋人、カリンだ。
『美人で洗練された女』『知性もある』(143頁)
シェンケ君はそう言うが、私にはそうとは思えない。
すぐそばに党の制服を着た男たちがいるのに、冗談にも、総統閣下への批判を口にするとは、不用意が過ぎる。
およそ知性を持っているとは思えない。
物怖じせずものを言う女性、ナチスを批判する女性は、ドイツと対峙していた当時のイギリスにはいたかもしれない。
しかし、戦時下のアーリア人女性として、これは浮つきすぎではなかろうか?
殺人事件があり、それを捜査する警部補がいる。彼のチームがある。
舞台とそこに生きる人々にちぐはぐなものを感じてしまう人には、これは薦められない。
けれども、それが気にならない人、いっそ面白く思えるだろう人には、
「まあ、それでしたら、どうぞ」なのである。
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「ベルリンは晴れているか」繋がりでベルリンの本を探して買った本です。サイモン・スカロウはこの本以外なかなかないみたいですが、よく手にしたなと自分に感心しています。
ナチスドイツ当時の歴史を逸脱せずミステリーを描いている。
とてもおもしろい。
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1939年灯火管制のなか元女優で幹部の妻が殺害され捜査にあたる元レーシングドライバーのシェンケ警部補。ナチス政権と戦争の中にあるドイツの不穏な空気。ユダヤ人への差別。色々なところから圧力がかかりながら捜査を進めようとするシェンケだけれど進展しない。終盤に突然動き出すのが少し違和感があったけれどそれ以外は重厚でドイツの暗く、濃密な空気感が出ていて読み応えがある。
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1939年のドイツ、ナチス政権下での殺人事件を追う警部補シェンケが主人公。実在のハイドリヒやヒムラーの名も出て、否が応でも密告や陰謀渦巻くドイツの状況を想像してハラハラした。ミステリ的な感じはあまりしなかったが、サクッと楽しめた。
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ワイマール期からナチス期にかけてを時代背景とした推理小説は数多いが、やはり印象に残っているのはフィリップ・カーによるベルリン三部作だった。この本の作者も、やはりイギリス人。ちょっと期待して、頑張って最後まで読んだが、頑張って書いている漢字はあるものの、時代の空気感はうまく伝わって来ないところがある。それに、訳文で登場人物の喋り部分の語調が不揃いでしっくりこないところが散見されるのが残念。
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第二次大戦開戦直後のクリスマスシーズン。
ポーランドはまだ降伏しておらず、
英仏とは『奇妙な戦争』状態にあるドイツで、
ベルリンを舞台にしたサスペンス。
舞台が独特な雰囲気をもったものですが、
連続殺人事件を捜査する刑事の物語の面が強く描かれています。
政治サスペンス要素が強いのかと思っていましたが、
政治サスペンス要素は、ある時期のソ連・東欧・南米・アフリカ・もしかするとアメリカ、
などといった地域に舞台を変えてもよさそうな程度でした。
主人公の警部補は、元カーレーサーで、事故で引退したという過去がありますが、
その設定がイマイチ生かしきれておらず、カーレーサーに関わる描写は、
ちょっと浮いてしまっているかなと感じました。
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面白かった!シェンケの「犯罪者どもが動かしている国で刑事である価値はなんだろう?」という一言がとても響いた。当時の空気感を伝えつつ、緊張感を持って読むことができた。
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第二次世界大戦前のベルリンを舞台にした刑事物語。面白そうなんだけど、まどろっこしい展開。416/571pにて挫折。パッセンジャーに乗り換え。
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時代背景や主人公に興味を持って読んでいましたが、友人を紹介したあたりで、展開へのお膳立てと主人公への好感度が下がって、そのまま気持ちが萎えたまま読み終わってしまった印象です。
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ハラルト・ギルバースと同じく戦時下の殺人事件が描かれる
陰鬱な雰囲気の中まともな価値観を維持しているため危険な立場に置かれる刑事の苦闘が手に汗握る
大物カナリス、ハイドリッヒが絡むが神学部卒アスペっぽいゲシュタポの続きが読みたい
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イギリスの作家サイモン・スカロウの長篇ミステリ作品『ベルリンに堕ちる闇(原題:Blackout)』を読みました。
ナチス政権下のドイツを舞台にしたり題材にとったりした小説は、昨年12月に読了したハラルト・ギルバースの『終焉』以来ですね。
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1939年、ベルリン。
自らの信条によってナチス・ドイツへの入党を拒否している元レーシングドライバーの警部補ホルスト・シェンケは、元女優である党幹部の妻が殺された事件の捜査を命じられる。
どの派閥にも属さない彼は、一歩間違えれば党内の勢力図を変えかねないこの事件を調査するのに適任だった。
だが、捜査を進めていくうちに、もう一つの事件が起こり……。
第二次世界大戦下のベルリンを描き出した歴史ミステリ。
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2021年(令和3年)に刊行された作品です。
1939年12月、警部補ホルスト・シェンケは、ゲシュタポ局長ハインリヒ・ミュラーから呼び出され、国家保安本部へ向かった……そこで命じられたのは、ある駅近くの線路脇で発見された死体の捜査だった、、、
古参党員の妻が暴行を受けたうえ殺されたのだ。単なる殺人で片付けられない複雑な事情がからむため、党員ではないシェンケに捜査任務が与えられたようだ……やがて同じ手口による女性殺害事件が起こった。
第二次世界大戦下のベルリンを舞台にした警察小説というだけで、個人的には“刺さる”設定なのですが、本作はその期待にしっかり応えてくれる一冊でした、、、
戦時下の閉塞感、監視社会の息苦しさ、そしてナチス政権下で警察が抱える矛盾と恐怖……そうした背景が物語全体に重くのしかかり、独特の緊張感を生み出しています。
ただ、中盤はやや平坦で、捜査が足踏みし、生活描写や政治的圧力の積み重ねが続くため、正直なところ集中力が途切れそうになる場面もありました……雰囲気づくりとしては良いのですが、物語の推進力という点では少し弱く感じられる部分もありましたね。
しかし、終盤に入ると一気にギアが上がります……事件の真相が二転三転し、登場人物たちの思惑が交錯し始めるあたりからは、ページをめくる手が止まらなくなり、これまで静かに積み上げられてきた要素が一気に意味を持ち始め、伏線の回収も鮮やかで、まさに一気読みの面白さがありました、、、
そして何より心に残ったのは、結末のやるせなさですね……主人公が正義を貫くことができず、ナチスの思惑に屈するしかない現実には、無力感が読後に重く沈殿しました。
ナチス政権下、そして戦時下という巨大な暴力の前で、個人の正しさがどれほど脆く、簡単に押しつぶされてしまうのか……その残酷さが静かに突きつけられますね。
中盤の停滞を乗り越えれば、終盤の加速と真相の鮮やかさ、そして胸に残る苦い余韻がしっかり報いてくれる作品……歴史とミステリが融合した独特の世界観が愉しめました。
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1939年、ベルリン。自らの信条によってナチス・ドイツへの入党を拒否している元レーシングドライバーの警部補ホルスト・シェンケは、元女優である党幹部の妻が殺された事件の捜査を命じられる。どの派閥にも属さない彼は、一歩間違えれば党内の勢力図を変えかねないこの事件を調査するのに適任だった。だが、捜査を進めていくうちに、もう一つの事件が起こり……。第二次世界大戦下のベルリンを描き出した歴史ミステリ。
途中までは結構警察小説として読ませるのだが、終結はやや尻すぼみ。