作者のこだわりを強く感じる1冊
2022/03/31 04:55
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投稿者:yino - この投稿者のレビュー一覧を見る
ミニマリストとして、捨てる事に固執する主人公。理知的にあろうとしブレーキを踏む側面と、サイコでタガが外れて急にアクセスを踏む側面の落差にひやひやする。主人公も周りの人間も、世の中や他人を冷めた目で見ているようで、結局は俗人的な価値観も捨てられず、少しずつ生き方に狂いが生じていく過程も皮肉が効いているし、「滅私」の境地への道のりは遠い。文字数までも無駄を廃したかのようにシンプルなところに、著者らしさが見てとれる。
ミニマリストになりたかったけれど…
2022/04/11 19:22
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投稿者:mk - この投稿者のレビュー一覧を見る
ミニマリストに興味があったので読んでみました。ミニマリストのいい面ばかりを考えていましたが、この小説を読んでいろいろと考えさせられました。
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面白かったー。一気に読めて、これが今の芥川賞候補作に入っても全く違和感ないし、受賞しちゃうだろなってくらいその色が強い。羽田くんらしい作品で好きです
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自分が良いと思えるものを広めたいとは思うものの、それが正しいことだと思うのはどれだけのエゴか。
それでも捨てることにに懐疑的になりつつ仕事のために発信する主人公のようにはなりたくない。
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羽田氏のこういう目の付け所が嫌いではない。滅私は私欲を捨てることだと思う。
必要最低限の物だけを所有し、無理はしない。(もちろん仕事はする)
常にそれは必要なのかどうかを吟味して、できるだけ無駄とは思わず捨ててしまう。彼女からもらったお菓子もひと齧りして味わったらゴミ箱に。おそらくそのゴミ箱を見た彼女から別れを切り出されるという。
でもこの主人公の過去が気になる。真逆の高校時代。自我を捨てている現在に対して、すぐキレて暴力を奮っていた過去。その過去に結局引きずられてしまう。
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筆者はかなりミニマリストを登場人物のセリフを借りてディスっている。なかなかに面白い指摘、視点は読む価値かなりあり。
しかし、物語としては、???だった
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「身も心も軽くなる」と物を捨てまくって最低限の品物で生活するミニマリスト。この小説はミニマリストへのアンチテーゼなのか?それまでミニマリストに対しての思いは「無」だった私も、読後は明らかにマイナスの感情に傾いたのだから。まず主人公の性格と素行が悪く、悪印象しかない。そしてミニマリストであることを金に変えようと商魂逞しく布教活動するのが滑稽に思えて。仙人のような精神でやっていることは俗っぽいというか、コミュニティなんぞ入らず1人でやってろ、と思った。ラストもまったくスッキリせず私の心は断捨離されなかった。
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『愛着が湧く前に捨てる。それが鉄則だ』
『人生の時間は、限られているのだから』
『物を捨てるのに目覚めた人たちの大半は、己の幸せを物に頼っていた、という過去をもつ』
『共通するのは、物はいらなくても金はいるということ』
『記憶もなんでも捨てちゃう』
『どれを捨てるか自分で選べないものの、捨てていい記憶は自然と捨てているらしい』
『大勢の奴隷たちが血と汗を流しながら作った、生活に必要でない産物によって、数千年後を生きる今の自分が心を救われていた』
『ほとんどすべてのものは、替えがきく。そう感じてしまうと、愛着がわきづらい。人間関係だってそうだ。だからこそ、自分から愛着をもつよう能動的にならないと、自分の生ですらも、代替可能で意味のないものになってしまう』
必要最低限の物だけで生活するミニマリストの男。物だけではなく人間関係、過去も捨て解放された自由の中で暮らす。そうなるはずだったが、男の過去を知る人物が現れ、そんな簡単に自分の過去は捨てきれていない事に気付かされる。
SDGs時代を問う作品。
物を捨てよ。心を捨てよ。
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またまた極端な人たち。
デフォルメされているとはいえ、実際にはかなり現実に近い人達がいるのでは・・・
エンディングは、ひたひたとなんとなく想像できたけど、そう来たか!
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タイトルとあらすじに惹かれて読み始めたけどあんまりで、最後まで行く前に返却期限がきてしまった。やっぱ本は買うべき。文庫になったらリベンジしようかな。ラストが好きじゃないという感想が多いので逆に気になっちゃった。
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ミニマリストというテーマに惹かれて。
主人公の性格や思考に自分と重なる所があり、納得したり共感できる部分もあり。(もちろん、出来ないところもあるが)
ハッピーエンドではないが、こういう終わり方も良いと思う。
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コロナでうちにうちに思考がむいて、最小限こそ最高みたいな考えに同調してた自分にはかなり苦しかったというか。いい意味でぐさぐさ刺さってきたなあ。
因果応報というかそれこそ物事の循環をとても考えられる作品だった
物事は適度が大事だしやめたくなったら逃げることも大事。という言い聞かせ。
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ミニマリストの男の苦悩を描いた羽田圭介さんの新作。都内の18㎡のワンルームに、必要最低限のモノだけで暮らすライターの冴津は、MUJOU(無常)ブランドを立ち上げ「身軽生活」というサイトを運営する生粋のミニマリストであり、知り合いも同じミニマリストで固めているが、突然自分の過去の(悪さ)を知る人物が現れ、捨てられない過去に煩悩するうちに、いろいろなことに気付き始め…いつもの羽田さんの小説らしく、人の会話や行動が滅茶苦茶リアル。読後は帯のふかわりょうさんの「よし、無駄なものに囲まれて生きて行こう」となるはず。
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ミニマリストがテーマ。
私自身、ミニマリストに興味があり、モノを最小限にして暮らすスタイルには憧れがありつつも、実行には移せていない。
間違ったミニマリストが行き着くのは、モノを捨てる事が目的になりやすいのかもしれない。気をつけないと…
主人公の冴津もその一人だと思うが、更伊が現れ、地元での悪行を振り返る辺りから、少しづつ考え方が変わっていったのかと思った、が彼は変わっていなかった。
モノに囲まれる事を嫌いながら、皮肉な最後を迎える。
初羽田圭介、面白かった。
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現代社会に鋭くメスを入れる羽田さんの新作は、必要最小限のものだけで暮らす“ミニマリスト”を描いた作品だ。
主人公の冴津武士は、ライターとグッズの監修、株式投資で生計を立てながら、ワンルームの狭い部屋に住んでいる。室内に家具はほとんどなく、着るものも最小限だ。人からの頂き物も躊躇なく捨ててしまう。自らの過去さえも捨てた(つもりになっていた)彼にある“もの”が届いたことで、彼の意識に変化が生じる。
ちょっとミステリー風の展開でおもしろかった。ぼくはいわゆる断捨離には懐疑的で、この主人公の考えも理解し難かったが。