紙の本
特効薬ではありません。
2022/09/19 12:03
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:広島の中日ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る
難解な本が何を説いているか、それを理解するテクニックを紹介しています。
ですが、決して「特効薬」ではありません。方法は示していますが、簡単ではありません。著者が示した方法は、当書を何度も読まないと理解できません。
一方で、最後に読書をすることの楽しさについて書かれています。「読書会」を開く良さにも言及しています。著者ご自身がいかに読書好きかも分かり、思わず「私も読書してみようかな」と思える内容となっています。
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難しい本を読む「必勝法」はないが押さえるべき「正攻法」がある、という、変な煽りのない素直な序文に好印象。
読書好きな人は無意識にできている読解法が丁寧に説明されており、わかりやすい言語化にスッキリした。
キーセンテンスを掴むとか、相手の意見を理解するのは賛同するのとは違う、みたいなことって、Twitterでのすれ違い論争を見ていると意外と皆できていないよね、というポイントだと思う。
「難しい本」のサンプルとして日本の哲学書を使っているのも面白かった。一部を紹介されて続きが気になる、というのは国語の教科書での経験を思い出す。懐かしい。
読書法を紹介した後に読書会のススメという展開は物珍しかったが、こちらも奇をてらうことなく、素直で実直なノウハウ説明で良かった。
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0 どんな本?
部分と全体を行ったり来たりしながら齟齬を最小
限に抑える読み方を正攻法として提示する本。解釈
学的循環がキーコンセプト。必勝法では無く正攻法
と言う地道にして確実に前に進む読書法を教えてく
れる1冊。
1 何で読んだの?
(1) 日々の読書力を上げたくて。
(2) 具体的な読書の方法が知りたい。
(3) 読書の仕方が変わった状態になりたい。
2 構 成
全9章263頁
必勝法では無く正攻法と言う本のコンセプトから始
まり書籍や読書会への感謝で終わる。とてもわかり
易い構成で各章節毎に哲学者の著作を引用して説明
して行く。とても分かり易い。
3 著者の問題提起
書籍や論文の理解に必勝法はないあるのは正攻法
だ。
4 命題に至った理由
書くと言う行為は自由であるので、自由に書かれ
たものを確実に理解する方法など無いと言う事実。
5 著者の解
部分と全体を往復して解釈学的循環を進めること
が必勝法では無いが正攻法である。
6 重要な語句・文
(1) 読む事とはいったん疑った上で自分のわかる形
にまとめる事。
(2) 前提と結論に腑分けする。
(3) どの段階か意識する。(話の流れを抑えた上
で)
(4) 重要な箇所を指摘することが重要
(5) 主張を自分ごとにする。
(6) バッチリな具体例を見つける。
(7) マルティン・ブバー「汝と我」
(8) キーセンテンス
(9) 解釈学的循環
7 感 想
読んでいて次の読書に活かしたい気持ちになっ
た。部分と全体を循環したい。刺さったのは読む事
とは〜。ただ読めば理解できるわけじゃ無いらしい。
深く知りたい事は具体例の見つけ方。人に勧めるな
ら解釈学的循環。循環の図があって分かり易いが無
くても良いと感じた。タイトルは「読書の正攻法」
がピッタリだと感じた。
気になっていた哲学者のマルティンバッチリブバ
ーの引用も有ったし、とても有意義な一冊だったけ
ど、読書会の尺が長いので星4つになります。
8 todo
(1) 次の一冊から循環読書
ア アウトラインを書く。
イ キーセンテンスを書く。
ウ 重要な箇所を書き出す。
エ 主張を自分毎にする。
オ どの段階かアウトラインと照らし合わせる。
カ 前提と結論に腑分けする。
(2) マルティンブバー「汝と我」の購入
9 問 い
理解とは?
10 答 え
具体と抽象の往復の果て(達する事は無いか、達
するが変化を続けるもの)
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難しい文章の読み方、の一つ。
全体と細部のいったりきたりを繰り返す。細部の意味が分からなければ全体から読み返し、全体が分からなければ細部に細かく目を向ける。その中から一つずつキーセンテンセスを見つける。
文章を一読で、パラパラと早く読めることが賢いことだと思っていたから(賢いんだろうけど)、何度も何度も行ったり来たりを繰り返すことが是とされると、気楽に難しい本も読めるかもしれない。放り出しながら、また手に取りながら。
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「哲学や論文」の難しい本を読むための本。国語の授業を聴いているような感覚になる。元々本を読める人・本を読むことが苦にならない人にとってはこのオーソドックスな正攻法は学びが少ないのかもしれない。が、正攻法だけに、国語がそもそも苦手で少しでも読解力を上げようと思う人には基礎力向上として参考になると思う。
しかしこれは中学生や高校生、若者に向けて書いた本なのかー
そしてここで書かれている読書会は辛そうだな思ってしまった笑
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感想
本の読み方に唯一の正解はない。国語の授業で聞いた方法を下敷きにして多様な解釈を許容する世界への一歩を踏み出す。気楽に本と遊べば良い。
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難しい本を読むために意識、実践するべきことを哲学者の文章を実際に読んでみることを通じて説明していく内容です。難しい内容の本を読むことが苦手な人は、論理的に読むために必要なことを構築でき、そうでない人にとっても改めて自分の中で理論を整理し、明確にする手助けになるのではないでしょうか。
タイトルに対するネタバレになりますが、筆者がこの本で何度も述べているように、難しい本を読むために「正攻法」はあれども「必勝法」はありません。人によって持っている背景知識や読む文章との相性も違います。文章の内容も書き手によって様々であるため、万人が必ず正しく読むことができる方法などは当然ありません。しかし、難しい文章に対してはやみくもに読むよりは、ある程度の型みたいなものが存在することを意識して読むことによって、理解を促す手助けになるというのはまさしくその通りだと思います。
方法的な部分に関してはネタバレになるのでここでは書きませんが、この本の終わりで筆者はこのように述べています。
「書き手が自分の言いたいことが最もよく伝わるよう臨機応変に工夫する以上、読み手の側も臨機応変に対応する以外に道はないのです。」(p.262)
他者が練りに練った深い内容を読むため、私たちは主体的に試行錯誤しながら読まなければ理解は促されません。お手軽に本を読むという方法は無いのですから、すぐに理解できなくても挫けずに時間をかけて読むことが一番の正しい道なのだと思います。
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実直で本質的に役に立つ読書本だ。
そして、誠実に考える人たちのために、誠実に考えてきた哲学人を紹介する本でもある。本書で言及される本で、未読のものは読まないと、という気持ちが沸き立つ。手に取って損はない。
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文章を理解するさいには、キーセンテンスを探し出すことが、すなわち文章全体の主張を表現する文を見つけることが重要です。
(第一章 キーセンテンスを見つける p.22)
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難しい本、というより哲学書を読むための本。ちょうど哲学者に関する本を読んでたが全くわからなかったので助かった。
難しい本を読む必勝法ではなく正攻法の紹介と書かれており、自分が意識して実践している内容もあった。
本書では部分と全体をいったりきたりしながらキーセンテンスを見つけることが重要だという。その中で主張したいことを捉えていき、理解につなげる。また、具体的な例えがあるとより理解が深まる。1人では例えを出すのに限界があるため、読書会をするといいという内容だった。
読書会について、みんなでどんな話するんだろうと謎に思ってた部分があったため、このような目的でやるのかと気づきがあった。
必勝法ではないので本書を読んでも難しい文章はすぐには読めないだろうが、少しずつ訓練して読めるようになりたい。
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文系ですが、学生時代は現代文が苦手でした。
本書では読解の技法として「具体例をあげる」ことが指摘されていた。
多分当時の自分は具体例にたどり着くほど経験が足りていなかったんだと、今は思う。
振り返ると昔の自分は読解の「必勝法」を求めて失敗していたんじゃなかったかと。
代ゼミの酒井先生や出口さんの参考書を求めては難解な文章を理解できず、挫折をしていたものだった。
この本を読んで、難しい本の読解とは文章に人生まるごとでぶつかる営為ではないかと思った。
だからこそ読書会を催す必然性もあるのだろう。
外堀を埋めるばかりだが、本書の一番の肝は恐らく「部分の積み重ねで全体を理解する」と同時に「全体が部分の意味を定める」という解釈学的循環=グルグル回りにうまく入り込むと云うことだ。
これを誤ると、2003年イラク派兵時の憲法前文の「誤読」(わざとかもしれないが)のような事態がおきてしまうのかなあと思った。
併せて読みたい
「サブカルチャー反戦論」 大塚英志
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私もある程度の読書数はあると思うがその上で感想を述べると完全にタイトル負け。
これから読まれる人は立ち読みして、ある程度の中身を確認してから購入するが良いと思う。
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難しい本とは、詰まるところ、理解するのに時間がかかる本と言うこと。この本では、理解するまで、どんな方法で文章と付き合うかについて解説し、実践の道筋をつけてくれる。大学レベル以上で、質的にも量的にもある程度の読書量があると、本書は有効だし、特に、(主に文系)研究の入り口にあると、よいガイドになってくれる。読書会の仕方を教えてくれるのは珍しい。じっくりと理解を深める読み方のためには、とても良い本。
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難しい本を読むための正攻法が書かれている。
まず、全体と部分を循環してキーセンスを見つけるのが原理となる。
次に、前提と結論を分けて話の流れを掴む、であったり、抽象的な主張には具体例を考えて理解を深めるなど、方法論が紹介されている(前者は例えば批判するときは前提を批判するのか、前庭から結論の過程を批判するのかといった反論にも役立つ。後者は本の内容を自分の中に取り入れる作業となる)。
最後は、上記をブラッシュアップさせるために、読書会を薦めている。
哲学中心だが、他の本の文章を例題に、正攻法や、方法論が述べられており、理解しやすい内容になっている。
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やみくもにページをめくっても、理解は深まらないから、まずは正攻法の読み方を身につけよう!キーセンテンスの見つけ方から実践的な読書会まで、これまでとは違った読書の仕方を教えます。
目次
1 原理編
・キーセンテンスを見つける
・文章全体の主張を捉える
・グルグル回りで読み解く)
2 方法編
・前提と結論に腑分けする
・話の流れを押さえる
・その文章のどこが重要なのか?
・具体例を挙げ、深く理解する
3 実践編
・ほかの人の「読み」を聞く
・読書会をやってみよう
著者等紹介
山口尚[ヤマグチショウ]
1978年生まれ。京都大学総合人間学部卒業。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了。博士(人間・環境学)。現在は大阪工業大学非常勤講師、京都大学非常勤講師。専門は、形而上学、心の哲学、宗教哲学、自由意志について