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折に触れ、着物をもっと気軽に着られたらいいのにと思うことがあったので、どんなことが書いてあるのか興味を持ち読了。いろいろな場で啓蒙につとめている和装店の店主の手になる本とのことで、書影を見るに和服に洋帽子をかぶった女性のイラストがあしらってあり、既成概念に囚われない着物の楽しみ方の提案があるかもと期待して本を開いた。
が、読み進むにつれ、似たようなことの繰り返しが多くなり読みづらくなってきた。主には、①日本の着物は素晴らしい、②こんなに素晴らしい着物を着ないともったいない、③海外では絶賛されるし、外人さんはこんなに自由に着物を着ている、の3つあたりをぐるぐると回って、④だから着物を着ましょう私(筆者)は着てます、に至るのを繰り返している感じである。いやもちろんそうなんだけど、①や②のあたりは客観的でない論証も多くて突っ込みながら読むせいで疲れてしまうし、③がたびたび出てくるにあたっては、結局ガイジンさんは自由に着てもガイジンさんだからって許されるのか日本人では許されないのかという気持ちになってしまう。そうなると④が出てきても、そうだよね、私も着てみよう!とは残念ながらならないのであった。
あと「着物の国」=日本、と思って読んでいたのだが巻末になると着物を着ることで着物の国に入る、という語調になっていたので違和感があった。少なくとも私にとっては着物の国の扉は相変わらず遠いようである。