紙の本
傑作短編集
2021/12/08 19:07
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投稿者:ちーかま - この投稿者のレビュー一覧を見る
緊迫感のあるサスペンス「都市の声」、御手洗シリーズばりの奇怪な事件「発狂する重役」、能力主義が生み出した小さなモンスター「展望塔の殺人」、江戸川乱歩的な怪しさが漂う「D坂の密室殺人」など6編の短編集。なんでこれが電子化されないのか不思議におもえるほどすばらしい一冊
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6編の短編集。吉敷シリーズとあったけど、吉敷刑事が出てくるのは2編だけ。好きなのは『発狂する重役』。表題作に期待してたのだけど、凄いトリックとかではなかったのがちょっとがっかり。犯人側の気持ちが何かわかったので理由もすぐ判ってしまって意外性がなかった・・・。
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短編集。
少しだけ吉敷が登場。
長編で御手洗か吉敷ものが読みたい気分の時に読んでしまったためか、ちょっと物足らない気持ちになってしまいました。
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表題を含む短編集。
『緑色の死』は、緑の野菜が全く食べられない者の語り。緑色がだめになったその理由。
『都市の声』は、都会で住む姉弟の話。行く先々の公衆電話から監視され、電話がかかってくるというストーカーに狙われている姉。
『発狂する重役』は、会社ビルで発狂してしまった重役の話。これは吉敷刑事が飲み屋で奇妙な話として語った話。
『展望塔の殺人』は、展望塔で殺されてしまった女。そこにいたのは限られた人だけ。誰が殺したのか、なぜ殺したのか、吉敷刑事が謎を解きます。
『死聴率』は、ドラマの視聴率を上げるため、見たことのない視聴率を計測する機械の設置家庭を求め、最後には視聴率のために殺人を計画するという話。確かに視聴率とは何なのかと現代でも思います。
『D坂の密室殺人』は、向かいの家で死んでいた紳士の謎。紳士のいた密室とその隣に住んでいた狂人の話。
どれも時代背景は少し古いかな。
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珠玉の短編集である。「法月綸太郎の冒険」に匹敵するクオリティを持つ。
まず目次を開いて並んだ諸作の題名を見て感じたのは江戸川乱歩死へのオマージュかという事。実際最後の2編は乱歩作品の本歌取りであった。
最初の1編は「アクロイド殺し」か。
だが何にも増して驚嘆させられたのはその先駆的題材である。
昨今巷間を賑わしているストーカー犯罪、キレる若者による突発的犯行。
“昭和62年”の時点でこの“平成の世”の社会の歪みを予見していたかのようである。
恐るべし、島田氏、流石は島田氏と褒め称えよう!
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そんなに上手くことが進むかなと思ってしまう事件たち。携帯なら着信拒否すればいいけれど、「都市の声」の公衆電話は防ぎようがない。ただしこれも見つからずに上手くやれるかなと疑問が残る。吉敷が出てくるとちゃんと着地してくれそうで安心して読める。「緑色の死」に出てくる日本語のせいで上下関係が生まれ、ひいては軍国主義にまで至ってしまったという考え方にはなるほどと思えた。