「詩をかく馬」か「死を欠く馬」か
2024/06/03 10:45
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルの「しをかくうま」というのは、「詩を書く馬」という意味なのか、それとも「死を欠く馬」のことなのか、「シヲカクウマ」という競走馬の名前であったりもする。登場人物のひとりは名前は詩だという、主人公は馬名が9文字から10文字になることは大事件でことによっては人類は絶滅すると叫ぶ、もちろん誰もその意見に同調したりはしない、物語にはホモサピエンスのヒとネアンデルタール人のビが共存していた「過去」、競馬実況アナの主人公が住む「現在」、そしてニューブレインと称するAIが脳を支配する「未来」が登場する、人はどうして馬にまたがるのか、または馬はどうして人を跨らせるのか、それは馬が人に「乗れ」と命令したから。どんどんこの物語の世界観にひきつけられていくが、私にはヒとビが生きた「過去」の世界が一番幸せに思えた
人間の高慢さに対する感想
2024/06/18 20:42
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ゲオルグ - この投稿者のレビュー一覧を見る
私を含めた多くの人が人間中心主義を疑うことがほとんどないと思うので、『しをかくうま』を通じてその機会を得たことが面白かった。競馬界で行われている馬の改良繁殖の考え方を人間社会に当たり前のように適用する根安堂一族の立場には、TV番組のディレクターが代表するように最初は反射的に異議を唱えたくなるが、なるほどたしかに馬と人間を分けて考えることにも一種の高慢さがある気がしてくる。論理的には人間においても同じ考え方が成立するのに、自分たちに関わることだけを特別扱いし、論理的でなくなる人間の姿に疑問に感じる。
想像力というか創造力
2024/06/02 08:13
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:はぐらうり - この投稿者のレビュー一覧を見る
そのうち解説本まで売れるようになるんじゃないかと思うほど、もはや文豪のような佇まいの作家さん。たとえば大江健三郎のように、同じ時代を生きていて良かったと感じる日も遠くないのでは。ちょっと独特の立ち位置にいる方だと思う。
小麦の話であったり、移動手段の話であったり、サピエンス全史的な部分も面白い。メタファーも表出さているものも多くて盛り盛りの純文学で、本作もこの先数十年以上読まれていきそう。個人的には、当時好きだったグラスワンダーが出てきて嬉しかった。
投稿元:
レビューを見る
【第45回野間文芸新人賞受賞作】最新作「東京都同情塔」が芥川賞を受賞して更なる注目を集める著者が、ほとばしる想像力で描く、馬と人類の壮大な歴史をめぐる物語。
投稿元:
レビューを見る
意味は全然わかんないけど、読んでてとっても楽しい。作品全体が詩みたいだし、馬みたいでもある(今わたしたちが持ってる"ブレイン"とは全く違う基準で動いているような、という意味で)。
根安堂(ネアンドウ)家おもしろすぎるし、途中で出てくる順番記号は競馬の順位や予想も連想させるし、あとヒとビの話は普通にすき。
「彼の頭上にまず降りかかってきたのは不幸の極致にあるものだった。雨だ。」
読んでる途中から、どうしても馬に乗りたくなってホーストレッキングを予約しました。ということは、この詩は概念を書いてるんじゃないんだな、だからこんなに面白いんだなと思いました。
投稿元:
レビューを見る
芥川賞おめでとうございます。
受賞作より競馬をテーマにした本ということでこちらの方が気になって文学界を拝読しました。
途中までなかなか物語の中に入り込めず、言葉遊びの部分が多いなという感想でした。
途中から怒涛の展開に傾れ込んでからは引き摺り込まれるように入り込めましたが、やはり最後の結末のあたりはなかなか私には理解が及ばない内容でした。
でも馬がどの実況が上手いとか話題にしてたら。。とか思うと何か競馬を見る目も少し変わるように思います。そういった競馬に対するお声なんかもぜひお聞きしてみたいですね
投稿元:
レビューを見る
ヒトとウマの長大な歴史を感じる物語。
しかし難解で、私には理解が及ばない部分がほとんどだった。
『東京都同情塔』にも書かれていた
言葉に対する強い思いが
根底にはあるのかな?と思う。
難解ながらも気になって最後まで読めたので、
またいつの日にか再読したいし、
他の方の書評を読んで理解を深めたい。
投稿元:
レビューを見る
「詩を書く馬」「死を欠く馬」と書けるタイトルをはじめ、全編に仕掛けが隠されていて難解だけど、その難解さも含めて面白い。詩人、哲学者、映画監督、競走馬などの膨大な固有名詞と、物語の広がりに圧倒された。
九段さんの作品はどれも主張の強い女性が出てくるけど、根安堂太陽子・千日紅は特に突拍子もない言動が強烈で笑いました。
投稿元:
レビューを見る
これはまた、現世から遊離して独自の境地へと軽々と至ってしまったな、と思う(その伸びやかな筆致には頼もしさと空恐ろしさをさえ感じる)。この著者がその叡智・狡知において抜きん出ていること、そしてその知性を以て高度に「現代的」な要素を満載した小説を煮詰められることをぼくは疑わない。ゆえに、その鋭すぎるクリアな知性と批評眼においてぼくはこの著者のファンになってしまった。だが、セックスやポエジーやバイオエシックスまで盛り込む器用さはどこかで「上滑り」を起こし、ただの「ハチャメチャ」に堕しているとも読めるのではないか
投稿元:
レビューを見る
前の知識もないままで読み進めていると、なかなか話に入り込めず、あらすじを読み、ストーリーの大枠を掴めた。
ただ、やはりなかなか登場人物を掴むことを許してくれなかった。
投稿元:
レビューを見る
『東京都同情塔』で芥川賞を受賞した九段理江さんが、それ以前に雑誌に発表していた作品。第45回野間文芸新人賞受賞作である。『…同情塔』はすばらしい作品で一気に読んでしまったが、こちらは手こずった。
いやあ、わからん(笑)。ちょっと衝撃的にわからない作品だった。
出だしはファンタジー、そこから競馬を実況するアナウンサーの話に変わり、胡散臭い奴らも登場する。だいたい、競走馬の命名ルールなんて知らないし、それが変更されたからどうだというのか?
でも不思議と投げ出そうという気にならず、最後まで読んでしまった。時間はかかったけれど。
投稿元:
レビューを見る
芥川賞受賞作ではダメだったが、これならどうだ!とチャレンジしたが、やっぱり読み進まない。ストーリーが頭に入ってこない。
投稿元:
レビューを見る
盛り沢山すぎて頭の中がまだ整理しきれていない。
感情や思考が言葉によってラベリングされることで腑に落ちると言うのは納得。
今回も登場人物ヒやビやマがもはや男女どころか人かどうかも初めはわからないので感情移入できず、俯瞰で物語を眺めることとなった
もう一度読みたい。
投稿元:
レビューを見る
うーん、読み終わったけど読み終わったと言えるのか。正直、あまり理解できなかった。
説明的な文章が多くて、登場人物に感情移入したりして読むのは難しい作品だった。舞台も現代のようで現代で無く、登場人物も時代もよくわからないままだった。(私の理解不足かもしれない)
とりあえず馬が好きな人は興味深く読める…かもしれない??
投稿元:
レビューを見る
表紙のデザインはエドワード・マイブリッジが複数台のカメラを使用して撮影したギャロップの連続写真に由来する。時間がテーマの一つとなる本作に即した的をいた装丁である。