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某SNSでも知られた神戸大学の韓国政治学者、木村先生による赤裸々?な国立大学の今昔物語。
東大京大の二大旧帝大を除けば、大学教員という職業をとりまく環境は、数十年前とはまるで違っていることがよくわかる。大学だけが聖域で不変的であるべきだ、などと言うつもりはない。ただ、ためにする仕事、いわゆるブルシット・ジョブの増大と、本来は極めて不確実であるはずの研究成果をごく短期間で出すことが求められる今の在り方は明らかに間違っている。日本は本当に貧しい国になってしまったのだなあ。貧すれば鈍す、を絵に描いたような今の状況を本書はひろく網羅している。
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私はこの著者のような部局の長などではなく、組織の端っこの一員でしばらく過ごしていたのだけど、そんな私ですら書かれている中身はとても分かりやすく実感を伴って読むことができた。他業種の方々に読んでもらって(国立だけでなく)大学教員の仕事ってこんなのなのね、と知ってもらうことができるよい読み物だったと思うけど、本当に読んで欲しいのは本省・国の人たちなんだけどなぁ…(分かってるって、分かった上で絞ってんのよ、と言われそうだけど)。「やりがい」のところは改めてこの仕事の大切さ、楽しさを分からせてもらった感じがある。
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業界で話題の本、読んでみました。コメントです。
・管理職である著者は、毎日、大学に到着したとき、昼休み、17時の事務室終了時に事務室に顔を出しているとのこと。うぁ、頭が下がります。2~3日に1回しか行かない管理職もいるというのに(メールや電話はする)。
・管理職にあるので週に4~5時間、研究時間とれればいい方とのこと。それはそう。
・風通しのよい職場環境を心掛け、職員や学生に声をかけているとのこと。わたしにはたりないところ。
・論文にならなかった研究は「存在しないのと同じ」。これもそう。勉強だけなら学生もしているので。
・個人研究費は激減中。これもどこの大学もそうだと思う。
・さまざまところで(学会だけでない、高校、同窓会、地域など)関係を築いていくことが重要。これ理解していない人、多いように思う。「営業」重要だと思う。
・大学教員は自分の名前で仕事ができるというやりがいがある。これもホントそう思います。
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大学教授の仕事内容が、研究以外に山ほど色々あって想像以上に驚いた。
授業や研究の面しか知らなかったから、興味深く読んだ。
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自分自身、2年前まで地方国立大学で教員をしていたので、本書で書かれていることは痛いほど理解できる。ただ、著者が勤務している大学は国立大の中でも大規模であり、予算規模も大きいはずなのだが、それでもこのような状況であることには驚いた。自分の前任校もそうだったが、より小規模な地方国立大はもっと苦しい。
自分が地方国立から関東の私大へ移籍したのと同じタイミングで、関東のとある有力国立大の一部局の教員が一気に複数名、私大へ転出したことを耳にした。その分野では国内でも最高レベルの大学の1つであるため、ちょっと耳を疑ったが、本書を読むとそれも納得がいく。
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本書は、主に国立大学での大学教員の仕事・業務を詳らかに紹介する一冊。この本の著者経歴によると、作者は現在、神戸大学大学院国際協力研究科という部局で、比較政治学・朝鮮半島地域研究を専門的に探究されている教授とのこと。本書で紹介されている、より詳細なアカデミックキャリアとしては、京都大学の大学院博士課程で学んだ後、すぐに愛媛大学で助手→専任講師のポストを得て、その後に神戸大に助教授(今だと准教授)として迎えられ、順調に今の地位に就いたという経歴の持ち主。
この「大学教員の仕事/大学の裏側」を明かす趣旨の本は、意外と数が少ない。というのも、そもそも世間の人が一番興味を持つであろう「大学入試」の裏側に関しては、教員たちには「守秘義務」があり、就職の業務契約の際に、誓約書まで書かされるらしいので、これについては寡黙になるのは当然なのだ。さらに、「教員の仕事内容を明かす」ことに対しても、同僚や同業者からの抵抗や妬みが怖いのか、意外と教職員の皆さんは躊躇する傾向にある。そんな中にあって、ここまで仔細に仕事内容を語り、それに関する所感を腹蔵なく記述している本は珍しいかも。
本書を読んで印象的だったのは次の二点。1つ目は、作者自身も何度も認めているように、90年代前半以前の大学の世界は、非常に平和で牧歌的だったということ(その証拠に、作者自身の上記の経歴でも分かるように、かつては博士号を取得せずとも、博士課程3年を終えればすぐに職にありつけられる人が多かった)。それ以後の大学は、予算がひどく切り詰められた結果、教員個人の研究費・経費がキツくなっただけでなく、学科や研究科の組織全体にとっても予算が少なくなったために、その科(部局)が雇うことの出来る教員数も少なくなってしまった。構造的な玉突き事故である。このくだりを読んで、そもそも教員を雇うための人件費が、大学全体ではなく、各部局の予算(運営交付金)によって賄われているという事実に驚いた。そのため、主たる外部予算である「科研費」も、今や「期限付き(「3年分」等)」が主流になりつつあるために、結果として、若手教員の雇用も「任期付きポスト」になってしまっているという事実も非常に恐ろしかった(筆者の言葉の端々から、そんな苦境にあるポスドク・オーバードク達に対する申し訳無さのようなニュアンスが時折感じられた)。
2点目は、数少ない類書の中でも、本書は比較的、「大学組織のあり方」と「教員たちの大学内外での営業」について、かなり多くのページを割いている点。教員らの大学内での「委員会」や「役職」等について、ここまで詳しく論じられているのは珍しいし――「教授」・「准教授」・「専任講師」等の職階の区別についての説明はよく見かける――、また「科研費の応募」や「教え子の世話」、「出張授業」を含めた大学内外での「営業活動」に関しても、その委曲をここまで解説している本は珍しいかもしれない(どうしても「営業」の話になると、「金銭」がつきまとうので、筆者は何度も「またお金の話になって申し訳ないが…」と断りを入れており、その箇所に思わずクスッとしてしまった)。
本書を通読すると、作者の「研究や教育への献身ぶり」、「大学業務への真摯さ」そして「職員や学生への親切さ」が――所々にユーモアを交えながらも――垣間見えて、この本が単なる「象牙の塔の内奥を開陳する暴露本」といった感じにはなっておらず、むしろ「今の大学を取り巻く厳しい環境に対する警鐘」のように映じる。すごく責任感のある優しい先生だとお見受けした(笑)ので(加えて、大学の苦境が少しでも改善されることを祈って)、星5つ満点。
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現在の国立大学を克明に書き表している。文系理系の違いはあるもののどこも同じと感じさせられる。一方で全くの一般の人には情報量多すぎかも。
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大学教員の仕事がわかり面白かった。大学も昔と大分、仕事が変わり苦境に立たされている様子である。レジャーランドであったあの頃の大学が懐かしい。