電子書籍
バッド・フェミニスト
私はピンクの服も着たいし男性も好きなダメ・フェミニスト。でも、矛盾を抱えて完璧ではない自分や他人を受け入れ、分断を乗り越えて差別のない世界を夢見たい。
映画やテレビドラマや音楽などのポップカルチャー、社会に衝撃を与えた犯罪や事件を取りあげ、性差別と人種差別、経済格差などが交差するアメリカの文化状況を鋭く読み解く。
松田青子さん、ジェーン・スーさん推薦!
ユーモアがあって、刺激的で、切実。
彼女の視点を自分の中に蓄えることができるのは、本当に幸せなことだ。
みんなバッド・フェミニストで生きよう
松田青子さん(小説家)
性別によって機会や権利が異なるのはおかしい。だが正直に言えば、私は「フェミニスト」というワードが含まれた著作物にコメントを寄せることにためらいと警戒があった。自分では剥がすことのできないレッテルを貼られるような気がしたから。しかし、好奇心がそれを上回った。「バッド」が付いていたから。
そんな自分を肯定できると前のめりに読んだ序盤、傷付くことを避けて通れなかった中盤、頭と心にたっぷり汗を掻いたあと、穏やかに寄り添えた終盤。まるで旅のようだった。今の私が納得できるもの、そうでないもの。それはやがて変化するかもしれない。いくつかの私の間違いと勘違いは修正され、新しく学んだこともあった。
読後、私はフェミニズムとの断絶を感じたり、自分にその資格があるかと不安を感じたりはしていない。それぞれのやり方で向き合えば良いと、ロクサーヌが教えてくれたからだ。
ジェーン・スーさん(コラムニスト)
バッド・フェミニスト
ワンステップ購入とは ワンステップ購入とは
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本バッド・フェミニスト
2017/12/27 22:33
一人一人の尊厳を守るということ。
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たけぞう - この投稿者のレビュー一覧を見る
はじめにで、女性を傷つける傲慢さを指摘し、フェミニズムに
ついて話を展開しています。ただし聖人君主を目指す
つもりはなく、たとえフェミニストたちの期待を裏切ろうとも、
バッド・フェミニストでいいから自分の意見を述べるとのことです。
それがタイトルの趣旨です。
とても正しいと思います。
もしフェミニズムが、ある価値観だけを正しいと決めつけ、
○×で考えを振り分けてしまうのであれば、
ほかのあらゆる硬直的な主義主張と同じ末路をたどるでしょう。
物事を柔軟で多面的にとらえる必要性を感じます。
著者の言葉を借りると、全員が同じフェミニズムを信じる
必要はなく、多元的なものとして存在できるということ。
力を合わせると大きな成果をもたらすが、個人の行動から
成果が生まれることもあるということ。
つまり一人一人きちんと向き合っていこうという主張であり、
それはフェミニズムだけに留まらず、人種問題や多様性の
限界にもつながっていく考え方です。
一つの章ごとに主張が細かく展開されますので、
さらさらとは読めません。しかしそれぞれの重みがあるから
自分の考えを深めることになるのです。
結局は一人一人をきちんと扱っていくという考えに
収まるように思いました。
フェミニズムを女性解放運動と思う人は古いです。
といいつつ、わたしもこの本を読むまでは、女性重視の
主張が強い運動という認識でしたが。
第一章の題は「私を感じて。私を聞いて。私をわかって。」です。
この一文にすべて詰まっている気がしてなりません。
女はこうだという画一的な決めつけが過去から続いていて、
改善はされたがまだまだですねというニュアンスを感じました。
それは、有色人種というものはこうだという言い草と同じです。
些末なところでは、有名大学出身者はこうだとか、
会社で偉い肩書の人はこうだとか、全部同じ過ちに見えますね。
人間は弱いから決めつけに頼りたくなるのでしょうし、
それがなんと多く、綿々と続いているのかということなのでしょう。
自ら肩書を持ちだす人の哀れさがにじみます。
ちゃんと考えるとはこういうことなのだと伝わりました。
昨今のブラック企業は、分かって傍若無人をやるので悪質ですが、
ちょっと昔はある意味いまよりもパワハラ全盛で、
気持ち悪い言葉使いをする人が一部にいました。
いまだに耳に残っています。この本を読みながら思い出しました。
相手を敬わない無礼さが言葉の端々からにじみ出るというやつです。
最近の会社内ではあまり見かけなくなりましたが。
そんなことを、レイプの考察の章で連想してしまいました。
わたしたちは、気軽にレイプという言葉を使いすぎると。
わたしの見た中でも、そんな表現をする人が本当にいたんですよね。
そんな重量級の話もあるので、受け付けにくい人もいると思います。
それでもなお、一読の価値は十二分にあると思うのです。