蜜会 濡れる未亡人
三十二歳の麻倉美佐子は、三年前に病気で夫を亡くして以来、独り身で暮らしている。女盛りの体が疼く寂しい夜もあるが、亡夫のことが忘れられない彼女は、男からの誘いはすべて断っていた。
そんなある日、妹の朋美から婚約者の浩之を紹介されて驚く。義弟となる浩之は亡夫によく似ており、美佐子の心は激しく乱される。
不安定な状態に陥った美佐子は、ずっと言い寄られていた会社の上司につい身を任せてしまう。三年間の禁欲生活から女に目覚めた美佐子は、さらにその後、浩之とも妖しい雰囲気に…。
貞淑だった未亡人が快楽に溺れていくさまを、注目の新鋭が鮮烈に描ききった禁惑エロスの傑作!
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紙の本蜜会濡れる未亡人 書き下ろし長編官能小説
2012/08/19 21:26
現代的未亡人の心と体の葛藤と質量ともに優れた官能が織り成す魅惑の不倫ドラマ
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投稿者:DSK - この投稿者のレビュー一覧を見る
作者のデビュー作。実に良く出来た作品である。32歳の都会的なキャリアウーマンで未亡人という設定を巧みに活かし、同情や憐憫といった周囲の目に対抗するようなプライドの高さと見栄っ張りな側面を持ちつつ寂しさも湛えた女性像を創造している。これが、ふとしたきっかけからオンナの欲望を抉り出されていく展開が秀逸。妹の婚約者と許されない関係を結んでしまう不倫の背徳感がこれを後押しする。文章もしっかりしており、伏線を絡めたストーリー展開も安定した本作が本当にデビュー作なのかと疑ってしまう出来映えと言いたい。
他にも会社の上司やかつての同級生といった男達が出てくる官能描写は思いのほか凌辱的。力ずくではないが、ちょっとした油断や心の空閨を突かれて思わず体を許してしまったところを責め込まれ、悶え狂ってしまうような情交が大半を占める。容姿も性格も良好でテクニックも備えた上司の、その完璧過ぎるところが逆に少々鼻についたり、勘違いを含みながらも身勝手に振る舞う同級生だったり、最初こそヒロインからのちょっとした誘惑(本作では数少ない誘惑シーン)から始まったものの、それに過剰反応して関係をその後も迫る一人善がりな婚約者だったりと、悪人ではないのだが、真っ当な誘惑作品では登場しないタイプの男ばかりが出てくる。場面も多く、官能成分はすこぶる濃い。何よりイイ女に様々な男が群がるいやらしさが表現されている。
責め込まれて困惑しつつも疼く体と得られた快感から溺れていく流れに高い官能美があり、それでいて『ラブロマン文庫』の要件を満たす結末にもなっているドラマが綴られているので、悪党どもが寄ってたかるようなダークで無慈悲な凌辱作品は敬遠するが、1人の主人公(往々にして少年)を奪い合い、甘えさせてばかりの誘惑作品にはやや食傷気味という諸兄におすすめしたい。