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レンタル(不倫)
著者 姫野カオルコ
(うるさいっ。バイブが悩むな!)こう言ってのけられたら、どんなに世界は理路整然とするだろう。だが、ボンジュール・トリステス、まぶたを閉じる。「私は……レンタルでじゅうぶんなの」〈本文より〉いまだに処女の30女、力石理気子(美人)にロマンスが訪れた。はたしてみごと「セックスをしていただける」か? ぬるいフェミニズムと甘いナルシシズムにパワーボムを食らわす、闘魂のハイパー文学!
レンタル(不倫)
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紙の本不倫
2001/10/11 19:48
最も孤独な人間
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:水原紫苑 - この投稿者のレビュー一覧を見る
おお、凄いぞ姫野カオルコ、よくぞやってくれたものだ。読みながら何度も独り言を言い、我慢できなくなると友だちに電話で知らせた。しかし、さすがに男女二人の友だちは姫野カオルコの凄さを既に知っていた。私だけが遅れていたのだ。「週刊新潮」に女性が持ち回りで書くコラムがあって、以前姫野カオルコが書いていた時はいつも、その孤独な精神性の高さを感じ、彼女の作品を読みたいと願っていたのではあったが。
『不倫(レンタル)』は、今の日本に生きているおそらくは最も孤独な人間の物語だ。武道を幼い頃から修め、ボンドガールのような美貌をもちながら三十過ぎまで処女であり、「叔父なる人」の介護を負担しているポルノ作家、力石理気子。愛も恋もできあいのどんな幻想も理気子には用のないものだ。ただ、「風邪をひかない男」と楽しいセックスをすること、それだけを望んで、理気子は神様にも耐えられない生を生きているのだ。(水原紫苑/歌人 2001.3.13)
紙の本不倫
2001/09/23 02:25
彼女に読んでもらいたい小説
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Daniel - この投稿者のレビュー一覧を見る
アカルサが印象的な一冊でした。表面的には、不倫の恋愛小説なのですが、あっけらかんとしたアカルサではない、主人公が生きる知恵として身につけたアカルサが印象的な一冊でした。
生きる知恵として身につけるアカルサとは、現実を生きる大人のパワーとしてのアカルサです。薄倖を気取ったヒロインでは生きていけません。いえ、そんなことはありあませんね。薄倖を気取ったヒロインでありながらも生きていける人はいらっしゃいます。でも、アカルサを身につける人は違います。気取っていても誰もご飯を炊いてくれないし、掃除もしてくれない。働いて現金収入を得なければ、家賃が払えない。家族に病人が出れば世話をしなければならない。そんな人は、薄倖を気取らずに、みんな明るく日常を過ごされています。
僕がこの一冊を読んで強烈に思ったのは、そんなふうに日常を明るく生きる彼女にお勧めしたいということです。
この小説の印象的なシーンに、病院での主人公と看護婦との会話があります。お互いのいたわり合いと心づかいに胸打たれるシーンです。実際に介護を経験した人の話を聞くと、肉体的にも、精神的にも大変な様子です。看護や介護に限らず、世間の荒波にもまれ、張り切っている女性は大変そうです。僕がこの小説をお薦めしたいのは、そんな彼女です。自分探しの旅に出るなどもってのほかな日常に追われつつ、空虚の意味を知っており、コミカルになるかもしれなくても、自分の内面を直視し、努力せんとする彼女です。
彼女に、その生い立ちとアカルサを身につけるしかない現実をお伺いしたとき、僕は自分を振り返って、家族も、休日の用事もなく、サラリーマンとしてのナイントゥーファイブしか背負っているもののない、自分の軽さに唖然としたものです。彼女には「何一つ不自由の無い自分の身の上に感謝するばかりです。」としか言えなかったのを思い出します。
だから、今は、彼女にこの小説を推薦します。見かけ上、コミカルな不倫の恋愛小説として楽しく読める、この小説は、貴女のようなアカルサを持つに至った女性へ捧げるために書かれたものなのです。
彼女に読んでもらいたい小説でした。
紙の本不倫
2001/05/20 00:33
不倫(レンタル)
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:tomtom - この投稿者のレビュー一覧を見る
男ってヤツはどうしてこんなにバカでどうしようもないんだろう。しかも自他ともに認める「イイ男」ってヤツほど曲者!
主人公の力石理気子は辛口の同性にこそ「最高だよ!この女」と思わせる。女ながらオットコ前というかユニークというか滅多にない魅力的なヒロイン。でもこんなイイ女の良さをわかる男ってほんとうに少ないんだ。
婦人科の病気で入院している時に読みました。ものすごく笑えてパワフルなのに同時にすごく悲しい話です。
自分と重なる点も多くあって身近に思えたのも評価につながったけど、下手な純愛小説より表現もすぐれてるし真摯な小説です。