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ファースト・プライオリティー(角川文庫)
  • みんなの評価 5つ星のうち 5 3件

電子書籍

ファースト・プライオリティー

著者 著者:山本 文緒

31歳、31通りの人生。変わりばえのない日々の中で、自分にとって一番大事なものを意識する一瞬。恋だけでも家庭だけでも、仕事だけでもない、はじめて気付くゆずれないことの大きさ。珠玉の掌編小説集。

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評価内訳

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紙の本ファースト・プライオリティー

2006/05/17 20:26

31歳の女性が登場する31のお話。内容はどれもほろ苦いものばかり。でもそれが心に響きます。とにかく、「今」を感じます

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

《出版社の小冊子に4年に亘って連載された短編を集めた作品集。31の小さな世界。31歳の女性が数多く登場する現代の断片集》
最近、新刊を見かけませんが、山本文緒の小説が好きです。いわゆる涙を流すような感動は無いのですが、今の自分の生き方でもいいんだ、こういう人生もあるんだと肯くことができるのです。この本には、そういう様々な人生が31も詰まっているのですから、少なくとも二つや三つは共感できるものがあるはずです。
31篇と、ともかく数が多いので、全部を紹介することは不可能です。統一されたテーマがあるとしても、私には「現代」ということばが明滅するとしか言いようがありません。基本的には仕事をしている女性の話が中心で、それも31歳の女性が多いことに読んでいて気付きます。作品の数も含め、なにか意図があるのかもしれませんが、山本は本の中で直接触れることはありません。
どれも10ページ前後の作品で、さらりと終わるので、強烈な印象を与えるものが少ない、というのも特徴です。その中で個人的に印象に残ったものをあげるておきましょう。
マイペースで仕事をこなしてきた31歳の私。周囲がうるさくなれば職場で平然と耳栓をするキャリア女性の心の内「偏屈」。同棲していた彼とも別れ、家に帰るのも面倒くさくなり、マイカーが住処となってしまった女性の日々「車」。息子が可愛くて可愛くて仕方が無い母親が向き合う真実「息子」。
週末になると旅に出かける31歳の公務員。決して貧しくは無い彼女が旅先でであったもの「旅」。女性のギタリストであるがために向き合わなければならなかったもの「バンド」。31歳の会社員であった私に友人が転職をすすめてきた。誘いに乗った自分の愚かさから一つの決心が「冒険」。
これ以外にも面白いものはたくさんあります。いや、面白くないものは一つも無いと断言できます。どれも、切れ味を見せるというよりは、しみじみとほろ苦さを感じさせます。ミステリやホラー、コントじみた落とし噺ふうなものは、全くありません。この後、彼女や彼はどうなるんだろう、そんな想いを抱かせたまま終わる作品ばかりです。
中でも派遣社員の本当の姿、心の内、本当の人間づきあいなどといったものを垣間見せる「カラオケ」と、キャリア女性が思い切ってマンションを買う「お城」は、現代女性ならば思わず肯いてしまう人が多いのではないでしょうか。最後に「三十一歳」「小説」という二編で終わるのも印象的です。
個人的には、そろそろ山本の長編が読みたいところですが、贅沢は言わないでおきましょう。この本であれば、思いついたときに、ぱっと開いた所を読む、或いは一度読んだものでも、もう一度、いや何度で読んでみる。それでも楽しめる話ばかり。これはもっと騒がれてもいい作品ではないでしょうか。

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紙の本ファースト・プライオリティー

2006/01/08 04:31

あなたのファースト・プライオリティは何ですか?

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:オレンジマリー - この投稿者のレビュー一覧を見る

 読みたい、読みたいと本書が刊行されて以来思い続け、なんとなくこんな時期にまで延期になってしまっていた。大好きな山本文緒、ということで、楽しめる確信があった。また小気味いい文体で、さっくりとした印象の本なのだろう、と思っていた。そして、やっぱり予想通り、とても軽快な、それでいて時折重みがのしかかり、最後はスパッと終わっている短編が連なった一冊だった。
 本書に登場する主要な女性はみんな、31歳である。
 31歳、ファースト・プライオリティは一体何なんだろう?
 結婚、仕事、恋愛、家庭、夢…挙げてみたら限がない。十人十色で、人それぞれ一番大切な、優先したいものがあるのだ。
 山本文緒の文章で驚かされるのは、一般的に「ちょっとおかしい人」をあたかも自然に、無理なく描いているところだ。例えばストーカー。ストーカーされて恐怖心を抱いている側ではなく、ストーカーしている側の視点で、気がつくと相手が自分を「恐れている」という表現の仕方が非常に巧みなのだ。本書の中でも、自分の息子に対する愛情が深く、一見とても幸福な家庭に思えるが、実はその息子はそういう母親の感情や言動に嫌気が差していた、という覆りが面白い。でも考えてみたらそういうことってよく起こることで、無意識に誰かに不快感を与えているっていうのは本当に恐ろしいことだな、としみじみと思っていた。
 読んでみると、自分と被る女性がいると思う。全てが一致するわけではないけれど、そういう性質を自分が持っていると気づくかもしれない。想像上の登場人物などではなく、きっと人間が普通に持っている性質の一部がちゃんと登場人物に生きている。
 リアリティが確かに在って、とても身近に感じるのが著者の小説の特徴と言えると思う。手の届きそうな、そんなストーリーだ。
 山本文緒の小説を手にして気がついたことなんてざらにある。ああ、だからあの時あんな事が起きたんだ、なんて不意に得心がいったりしてしまう。そういう楽しさがあるから、読まずにはいられない。

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紙の本ファースト・プライオリティー

2017/08/31 18:52

十人十色

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:nami - この投稿者のレビュー一覧を見る

山本さんの短編が好きで購入しました。
本作も、色々な考え方があるのだなと心がほっこりした反面、少し淋しさを覚えたりもしました。

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