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永遠の島(角川文庫)
  • みんなの評価 5つ星のうち 3 1件

電子書籍

永遠の島

著者 著者:花村 萬月

日本海の中央に位置する好漁場匂島近海で多発する不可解な出来事。まるで“魔の三角地帯(バミューダ・トライアングル)”のように、船が、人が、跡形もなく消える。だが、何故かマスコミは沈黙を守っていた……。ZIIナナハン改を駆る長身の美女・洋子は、この事件に強く惹かれていた。理由はわからない。やがて父の伝から、この海域を調査している研究所を訪ねた後、洋子はひとり島を目指す。不能の天才学者、妻殺しの漁師、そして洋子。島に魅せられた様々な人間が禁断の扉を開ける時―。科学を背景に巧みな筆致で綴る現代の黙示録。萬月の新境地。

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永遠の島

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永遠の島

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紙の本永遠の島

2001/06/16 09:45

概念としての「神」を模索?

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:旅歌 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 萬月作品どれかの解説で読んだのだが、巷では評判がよろしくないらしい。確かに、暴力もセックスもたいして描かれていないし、強烈な個性的登場人物の血を吐くような痛みもない。これだけを読めば花村萬月という史上稀な作家の影も形も見えないのは事実かもしれない。萬月さんにはこんな作品を書いて欲しくない、という気持ちもわかる。

 でも、この作品は現在の萬月さんを知る上で絶対見逃せない作品だと思うのだ。作家本来の仕事は作品の中で新しい倫理を確立すること、とおっしゃる萬月さんは『ぢん・ぢん・ぢん』で既存の倫理をぶっこわした。でも、それは単なる前哨戦であり、本来の作業は芥川賞受賞作『ゲルマニウムの夜』から始まっている倫理の確立なのだと思う。
 『ゲルマニウムの夜』の感想でも書いたが、萬月さんの登場人物にはカリスマ性を帯びた人がかなりの確率で登場する。それらの人々は大なり小なり「絶対者」であり、周囲には殉教者が集っていた。が、いかに強烈なカリスマといえども所詮は人間なのだ。そのあたりに萬月さんはジレンマを感じていたのではないか? そこでひとつの概念として本作の「シマ」を登場させたのではないか。。言ってみればこれは実験作なのだ…。しかも「シマ」は子供で、成長している。不可解な現象の舞台となる大和堆は子供である「シマ」のおもちゃ…。これは神に翻弄される人間そのものじゃないか。おぼろげながらだが、萬月さんの神に対する感覚が見え隠れするような気がした。

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