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日本の領土問題 北方四島、竹島、尖閣諸島(角川oneテーマ21)
  • みんなの評価 5つ星のうち 4 2件

電子書籍

日本の領土問題 北方四島、竹島、尖閣諸島

著者 著者:保阪 正康,著者:東郷 和彦

北方四島、竹島、尖閣諸島。出口が見えない三つの領土問題は解決可能なのか?昭和史と外交交渉の専門家二人が、具体的かつ実行可能な解決策を大胆に提示する。

日本の領土問題 北方四島、竹島、尖閣諸島

税込 836 7pt

日本の領土問題 北方四島、竹島、尖閣諸島

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国益の視点から考える領土問題 - 北方四島・竹島・尖閣諸島

12人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:としりん - この投稿者のレビュー一覧を見る

 保阪正康氏と東郷和彦氏との共著であるが、内容的には東郷和彦氏による論評が中心である。
 元外交官の東郷和彦氏は、数年前に『歴史と外交-靖国・アジア・東京裁判』(講談社現代新書)という高レベルな論考を発表している。歴史がらみの外交案件について、適切に解決する方策を思索した好著だ。
 本書はいわば、「歴史と外交・領土編」とも言える内容である。北方四島・竹島・尖閣諸島それぞれの問題について、領土問題の常識にとらわれずに解決法を模索するものである。
 東郷和彦氏といえば、外交官としての現役時代から北方領土問題のエキスパートだ。
 ここにきて北方領土問題は、ロシア大統領の国後島訪問など、全く対話の糸口さえ見つけられない状態に陥ってしまっている。
 東郷氏の論評を読み進むうち、かつて北岡伸一氏が読売新聞に発表した論考を思い出した。

 2009年5月31日、読売新聞の「国益とは何か」と題する論考である。少し長くなるが、重要なところのみを紹介したい。
 北岡伸一氏はこう記す。「上辺だけの表面的な利益を追求するのではなく、よく考え抜いて、どこに本当の国益があるか、発見しなければならない。利益1の追求に、100のコストがかかるようなものは適切な政策ではないだろう。」
 さらに、「実現に100年もかかるようなものも、適切な政策ではないというべきだ。最近(2009年)、谷内正太郎・前外務次官が北方領土に関して3.5島返還という案に言及して厳しい批判を浴びた。前次官、現政府代表という立場や、タイミングについては問題があるかもしれないが、最終的な案としては、それほど悪いものだとは思えない。」
「日本では、100%を主張して決裂すると褒められ、80%の案で妥協すると批判されることが多い。しかし、決裂の結果、60%も取れなくなることが少なくない。国益上は、拙劣なやりかたというほかない。」
(2009年5月31日、読売新聞「地球を読む」北岡伸一筆より)

 北方領土問題は、日本側は公式には四島一括返還という100%を主張し続けてきて、半世紀を経ても成果はゼロというのが現実である。最近、急速に四島のロシア化に拍車がかかっているところからは、成果ゼロどころかマイナス!といっていいかもしれない。
 今や四島どころか、歯舞・色丹の2島に限っても、日本に返ってくるなど夢のまた夢、と思うのは評者だけか。
 時間をかければかけるほど、実行支配している側の既成事実化が進み、返還を求めることが困難になる。当然のことである。
 さらに、注意しなければならないのは、尖閣諸島の問題である。尖閣問題も、今後、日中間のパワーバランスの変化によって、日本側に不利になる可能性がある。

 北方四島も竹島も、もちろん尖閣諸島も、領有権の正当性は間違いなく日本側にあると思う。
 正当性があるのだから、譲歩することなく100%を主張するべき、というのも理屈の上では当然である。
 ただ、国際社会での係争案件は必ずしも正当性のある方が勝利するとは限らない。また、正当性を主張し続けることが必ずしも国益に合致するとも限らない。
 我々は、領有権の正当性に拘るあまり、国益の視点を閑却していないだろうか。

 いつだったか、朝日新聞は竹島問題について、「いっそ竹島を韓国に譲り渡してしまったら、と夢想する」などという論評を掲載したことがある。
 これなどは日本側の全面的な譲歩であり、これでは国益に合致するとは到底言えない。
 100%を求め続けるのでなく、もちろん全面譲歩でもない。
 日本にとっての国益がどこにあるか、それを整理し、少しでも国益に合致するような解決を模索する。
 本書での、東郷和彦氏の指針について、読者も今一度、曇りのない眼で考えてみることは重要だろう。
 とにかく、時間は無制限にあるわけではない。時間をかければかけるほど日本側に不利になる。これが現実なのだから。

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日本の領土問題

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:まぁ君 - この投稿者のレビュー一覧を見る

北方四島・竹島・尖閣諸島でいったい何が起きているのかという問題について、単なる領土主権の問題か、または政治問題・歴史問題なのか?
元外交官が語るリアリティのある話の中から、戦前戦後史を回想しつつ、これら領土問題を再認識する良い機会を与えてくれる、また、今後のロシア・中国・韓国との外交政策に関する筋道にも触れ、単純な議論ではないものの、今後の日本の有様について考える機会をも与えてくれる一冊である。

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