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嫉妬論~民主社会に渦巻く情念を解剖する~
著者 山本圭
嫉妬感情にまつわる物語には事欠かない。古典から現代劇まで、あるいは子どものおとぎ話から落語まで、この感情は人間のおろかさと不合理を演出し、物語に一筋縄ではいかない深みを与えることで、登場人物にとっても思わぬ方向へと彼らを誘う。それにしても、私たちはなぜこうも嫉妬に狂うのだろう。この情念は嫉妬の相手のみならず、嫉妬者自身をも破滅させるというのに――。(「プロローグ」より)政治思想の観点から考察。
嫉妬論~民主社会に渦巻く情念を解剖する~
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嫉妬論 民主社会に渦巻く情念を解剖する
2024/04/26 20:15
人は何故、嫉妬するのか。
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:おじゃもんくん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「嫉妬論」である。
人が持つ、昔から続くモノである。
人を妬むとか言う物語は、古今東西で良く聞くが。
何故起きるか等々、その詳しいメカニズムがわからない。
本書では、大昔からインターネットの発達した現在まで嫉妬について分析。
プラトンやら、フランシス・ベーコンやら、ニーチェやらフロイトやら。
色々な方の文献の、嫉妬に関する部分を引用して解説が続く。
「ルサンチマン」や「シャーデンフロイデ」を比較検討して、本書では「嫉妬」と別物と仮定。
君主制度の時よりも、現在の民主主義社会の方が嫉妬が起きやすい事。
また、嫉妬は一度起こると自然に消滅しない事。
自分と同等か、少し下の暮らしの生活者に対して起こる事。
嫉妬に狂うと、自分がどれだけの犠牲を払っても行動する事。
現在は、インターネットのSNSの書き込みに対しての嫉妬が主流。
ある意味、顔も知らない名前も知らない人にも嫉妬が起こる。
民主主義で「平等」を叫ぶ中にも、嫉妬の為に全体の生活低下を望む罠が隠れている事。
また嫉妬を他人に知られたくない為、偽装工作を行う事。
等々・・・・・。
なかなか多方面から見た嫉妬、人間臭い行動ですねぇ。
民主主義の「水平化」の先も、あんまし明るくない様ですね。
勉強になった一冊でした。