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7件
テンプル騎士団
著者 佐藤賢一
12世紀初頭に誕生した「テンプル騎士団」は、もともとエルサレム巡礼に向かう人々の保護のために設立された。しかしその後、軍事力、政治力、経済力すべてを持ち合わせた超国家組織に変貌を遂げる。彼らは、後世に影響を与えた数々の画期的な制度(管区、支部といった巨大ネットワークを張り巡らせる組織作り、指揮命令系統の明確な自前の常備軍、銀行業の始まりともいわれる財務管理システムなど)を形成した。西洋歴史小説の第一人者が、その成立過程から悲劇的結末までの200年にわたる興亡を鮮やかに描き出す。 【目次】はじめに/第一部 テンプル騎士団事件――前編/第二部 テンプル騎士団とは何か/第三部 テンプル騎士団事件――後編/おわりに/参考文献
テンプル騎士団
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テンプル騎士団
2018/09/03 23:26
騎士団であり修道会でありながら、銀行でもあり税務署でもあり…
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:6EQUJ5 - この投稿者のレビュー一覧を見る
フリーメーソンリーやイルミナティあるいはシオン修道会のように都市伝説的な雰囲気が加味されて語られることも多いテンプル騎士団について、コンパクトにまとめた一冊です。
目次は、
「はじめに」
第一部 テンプル騎士団事件(前編 )
第二部 テンプル騎士団とは何か
-第1章 テンプル騎士団は始まる
-第2章 テンプル騎士団は戦う
-第3章 テンプル騎士団は持つ
-第4章 テンプル騎士団は貸す
-第5章 テンプル騎士団は嫌われる
第三部 テンプル騎士団事件(後編 )
「おわりに」
という構成になっており、テンプル騎士団の崩壊を告げる事件の前編から始まり、テンプル騎士団の誕生から隆盛をまとめた章を挟んで、再びその終末を語る形となっています。
後半になるにつれ、佐藤賢一さんの筆もノッてきた感じ。「おわりに」も推測の域は出ない話ながら面白く読みました。
確かに、強大かつ複合的な権力と圧倒的な富を持ちながら、あっけなく滅んだテンプル騎士団。興味深い存在です。
一読をオススメします。
テンプル騎士団
2023/06/24 15:01
歴史小説家が記すテンプル騎士団
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トマト - この投稿者のレビュー一覧を見る
これは、小説ではなくテンプル騎士団についての学術書です。
分かりやすく、テンプル騎士団の始まりや十字軍の終わりに際してのその後などが書かれています。カトリックの生存をかけての大航海進出に騎士団のノウハウが生かされているとは驚きでした。
テンプル騎士団
2021/10/09 22:19
時代を捉えた合理的な組織だった
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:第一楽章 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ダヴィンチ・コードでも重要な意味を持つ”テンプル騎士団”について、史料に基づいてその謎のベールに包まれた集団の真の姿を描き出した一冊。
”テンプル騎士団”は、十字軍によってキリスト教側が奪還した聖地エルサレムに詣でる巡礼者の保護を目的に1119〜1120年に設立されましたが、修道士と騎士の両側面を持つ時点で、設立当時から類を見ない団体でした。
次第に、政治力、経済力、軍事力の面で力を持った超国家的組織に成長し、各地に管区と支部を置くネットワークを構成します。それは教皇直属でどの国家からも制約を受けず、今でいう銀行業を通して富を蓄え、中世で初めての常備軍というものでした。
しかしながら、あまりに大きな力を持った結果、それを恐れる者たちが現れます。1307年10月13日の金曜日、フランス王フィリップ4世はフランス国内のテンプル騎士団の管区と支部を一斉に摘発し騎士たちを逮捕し、これをきっかけにテンプル騎士団は消滅します。
設立から200年弱、まるで彗星のように歴史を駆け抜けました。だからこそ、多くの謎を残し(と人々が感じ)、多くの伝説が生まれ、まだ地下で生き残っている(それがフリーメイソンであるとか)といった話がまことしやかに語られるのでしょう。
ですが、史料が示す姿には何も神秘的なものはなく、独自性と時代の要請がかけ合わさった結果として生まれた、空前絶後の集団だったと見るべきでしょう。非常に丁寧に調査されている結果が、新書のボリュームでコンパクトにまとめられていて、とても贅沢な本です。佐藤賢一氏は、西洋史を描かせたら抜群だと思います。