電子書籍
ワセダ大学小説教室
著者 三田誠広
ワセダ大学で小説作法を教授している芥川賞作家・三田誠広が、小説家をめざすあなたに小説の書き方をいちから伝授する。小説とおとぎ話の区別から説き起し、書き方の基礎の基礎を押さえ具体的な注意事項を与えた末に、小説がスラスラ書ける黄金の秘訣まで授ける。文芸誌の新人賞作家を輩出したこの「講義録」を読んで、あなたもすぐにペンを執ろう。シリーズ第1弾。
ワセダ大学小説教室 天気の好い日は小説を書こう
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2002/01/30 15:32
読み物としても面白い小説指南書。
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:凛珠 - この投稿者のレビュー一覧を見る
三田誠広氏の小説は読んだことがないのだが、氏の言う小説作法が信頼のおけるものだということは、充分すぎる程わかった。志賀直哉やドストエフスキーなど、多くの作家・作品を取り上げて説明している為、読書の参考にもなる。尤も、三田氏は純文学作家である為か、エンターテインメント作品についてはあまり触れられていない。しかし、作品としての資質は異なっていても、小説の書き方という技術的な観点から言えば、両者の間にはそれ程大きな違いは無いのだろう。小説の書き方については、自分の考えと三田氏の考えが一致している点が多く、個人的に嬉しかった。
思わず笑えるような表現も多用されており、特に小説家を目指しているわけではない人でも、楽しく読めるに違いない。
2021/04/27 20:54
そこそこ量があるけど、読みやすい
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:TORA - この投稿者のレビュー一覧を見る
小説家のひとが
早稲田大学で、小説講義したものを
まとめ、本にしたものだそうです。
講義形式ということで
学生に話しかけているような場面が
たびたびあり、まるで本当に授業の場にいるみたいでした笑
さすが小説家、
小説のことをわかりやすく分解し
伝えてくれるので、読み物としても
興味深く読みました。面白かったです
2002/04/22 16:35
無から有は生じない。
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:凛珠 - この投稿者のレビュー一覧を見る
作家志望の人でも、本を読まない人がいるという。曰く、「他の人の作品を読むと影響を受ける」「他の人の真似をするのではなく、新しさを出したい」など。しかし、無から有は生じない。過去の名作などを読んで勉強するのは、作家になるためには必要不可欠。それくらいの意思が無ければ作家を目指すのもおこがましいというものだろう。個性を出すのは力がついてからだ。プロは自己満足ではなく、他人の満足の為に書かねばならないのだから。
……とでも言うべく、本書は書く為に書かれた文学史の本である。
2002/01/29 21:50
なるほど、小説家になるっていうのはこうするのか
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:茶羅 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本(ここで言う本とは一般的な本であって今書評を書いている『天気の好い日は小説を書こう』ではありません)は売れていないそうです。それなのに、本を書こうと思っている人、つまり小説家希望者は一杯いるようです。
そんな貴方の希望にお応えします、というのがこの本です。
三田誠広が書きました。彼は数年前から大学の文芸科で「小説創作」の演習を担当しているそうです。つまり本物です。本物の小説家でもあり、本物の小説家の卵達を指導しているのです。彼が自分の講義の中で大学生相手に話ししたことがこの本なのです。
この本を読んだからといって小説家になれるわけではありません。もちろん、小説家を志望している人は読んだ方がいいに決まっています。じゃ、何のために読むのかというと、この本を読むと小説が楽しめるのです。成る程、こうやって書いているのかということがわかります。作家の手の内がわかります。要するに小説の奥行きが広がるのです。
乱読傾向の読書家の皆様はこの本を読んでから小説を読むと、またひと味違った小説に出会えます。是非、ご一読を。
2002/03/06 00:27
ワセダ大学小説教室・第2弾
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:凛珠 - この投稿者のレビュー一覧を見る
第1弾「天気の好い日は小説を書こう」は、三田氏曰く「小説の書き方の基礎の基礎の基礎」であったが、第2弾の本書は「基礎の基礎」。ワンランクアップしたわけだ。
前回の小説指南は「接続詞を使うな」「手垢にまみれた表現を使うな」等、実践的で分かり易いものだったが、本書は前回と比べると少しばかり難解になり、文学の構造や実存といったところにまで話は及ぶ。
「そんなことより、手っ取り早くデビュー出来るような小説の書き方を教えてくれ」と言う向きもあるかもしれないが、そうした心構えではプロを目指すことは出来ないのだろう。このシリーズの魅力は小説の書き方だけではなく、読み方にまで話が及んでいるところなのだ。それでいて文章は読み易く、面白い。
2003/01/28 23:27
「単なるバカ」にはまずお薦め、でも「ヘンタイ」には…
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:アキノ - この投稿者のレビュー一覧を見る
初めに断っておくと、ここで言う「ヘンタイ」は小説を書く人で「単なるバカ」は書かない人のことである。筆者は冒頭でそういう区分けをしているので、その流儀に従ってここでも同じように(一応かぎカッコつきで)呼ぶことにした。
基本的にこれは「ヘンタイ」用に書かれているが、「単なるバカ」にも十分にお薦めだ。「単なるバカ」は文学がとっつきにくくて理解しがたいものと思っているかもしれない。僕もそう思っていて、その理由は僕が高校の現代国語の授業で判明した。僕は大学時代を含めて、16年(浪人も含めると17年間!)も教育を受けてきたのだけれど、悲しいかなほとんどの授業で何をしていたのか覚えていない。そんな中で唯一、いまでも強い衝撃を思い出せる授業がある。高校のときに現代国語でやった『舞姫』の授業だ。小学校から国語の授業というのは、漢字と文法を覚える以外は何のためにやっているのかさっぱりわからないものだった。だが、『舞姫』の授業は違った。歴史的背景の把握から始まり(そのこと自体が驚きだった)、『舞姫』が書かれた意義まで解説しきったその授業は、「これが『舞姫』に関するもっとも新しい解釈です」という格好のよい締めで終わった。僕はそのとき初めて、文学がもつ深さと面白さに触れたのだ。しかし、同時に他の文学を読んでわかるにはどうもかなり教養が必要だということもわかってしまったのである。めんどくさがりの僕には、これは避けるに十二分すぎる理由だった。僕の文学に対する理解は、それっきり深まらなかった。
だが、実はもうひとつ文学を楽しんで読む方法があった。『舞姫』がわかったのは、先生の導きがあったからだ。だったら、あらかじめ、どこが面白いのか解説してもらえばよいのである。本書はドストエフスキーの大作『罪と罰』を小説の書き方の題材としてとりあげ、どこがどんな風に面白いのかわかりやすく、詳しく解説している。『罪と罰』を読んでつまらなかった人も、まだ読んでいない人も、これを読めば楽しめるようになるはずだ。そんなわけで、この本は「単なるバカ」で文学がいまいち楽しめない人、つまり大多数の「単なるバカ」にも十分お薦めなのである。
では、「ヘンタイ」にはどうなのだろう。僕もたくわんのヘタ程度の「ヘンタイ」の端くれなので「ヘンタイ」の悩みもある程度わかっているつもりだ。その経験から考えると、「ヘンタイ」初心者または「ヘンタイ」志願者にはあまりお薦めしない。なぜなら、初めのうちはまず「書くこと」が重要だからである。書く前からこれを読むと、考えすぎて書けなくなる可能性が高い。どうしても何か指針が欲しい人は、幸いにしてこの前の講義録『天気の良い日は小説を書こう』がある。それだけを読んでとにかく書いてみることが大事だ。その上で何本か書いてみて壁にぶつかった人には、非常に示唆に富んだ内容になっている。
つまり、この本は大多数の「単なるバカ」と悩める「ヘンタイ」にお薦めな本なのである。