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電子書籍

深夜特急 完結

著者 沢木耕太郎

インドのデリーからイギリスのロンドンまで、乗合いバスで行ってみたい――。ある日そう思い立った26歳の〈私〉は、仕事をすべて投げ出して旅に出た。途中立ち寄った香港では、街の熱気に酔い痴れて、思わぬ長居をしてしまう。マカオでは、「大小(タイスウ)」というサイコロ博奕に魅せられ、あわや……。一年以上にわたるユーラシア放浪の旅が今、幕を開けた。いざ、遠路二万キロ彼方のロンドンへ! 山口文憲氏との対談「出発の年齢」を収録。「あの旅をめぐるエッセイI 孤寒」が新たに追加された【増補新版】。※本電子書籍は、令和二年七月発行の新潮文庫(新版)を底本としています。

深夜特急1―香港・マカオ―(新潮文庫)【増補新版】

税込 605 5pt

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評価内訳

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「飛光飛光 勧爾一杯酒――飛光よ、飛光よ、汝に一杯の酒をすすめん 李賀」

7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:玉造猫 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 本を読むとは、ときに不思議な体験だ。いまさらわたしが書評を書くなどおこがましい『深夜特急』。でもやはり書きたい。
 著者は二十六歳のとき一年かけて、そのときしかできない旅をし、十年後に『深夜特急』を二巻書き、その六年後に三巻目を書いた。さらに十六年たってその旅とその三巻の本に関する本『深夜特急ノート』を書いた。わたしはどの本も出版後すぐ読んだ。
 最近「初の短編小説集!」と帯に書いた著者の新刊『あなたがいる場所』を読んだあと、思いだして『深夜特急ノート』を本棚から出してきた。当然のなりゆきと言おうか、そのまま引き続き『深夜特急』を初めから終わりまで読むことになった。前は図書館のハードカバーで三冊借りたのだったが、今度は文庫で六冊買って読んだ。
 前は読み過ごしていたところに目がとまった。付箋を貼り、行に線を引き、読み終わってからまたその頁に戻った。
  
 飛光飛光 勧爾一杯酒

 文庫で5「トルコ・ギリシャ・地中海」篇、第十五章「絹と酒」。書簡体で書かれた章の中で、二十六歳の「僕」がギリシャのパトラスという町から船に乗り、イタリアのブリンディジに渡ろうとしている。青い地中海、空も陸さえも青い。「僕」は旅で出会った若者たちのことを思いだし、「彼らがその道の途中で見たいものがあるとすれば、仏塔でもモスクでもなく、恐らくそれは自分自身であるはず」だと思う。そして「取り返しのつかない刻がすぎてしまったのではないかという痛切な思いが胸をかすめ」、「僕を空虚にし不安にさせている喪失感の実態が、初めて見えてきたような気が」する。甲板で酒を飲んでいた「僕」は「泡立つ海に黄金色の液体を注ぎ込んだ」。
 ここで李賀の詩が出てくる。「飛光よ、飛光よ、汝に一杯の酒をすすめん。その時、僕もまた、過ぎ去っていく刻へ一杯の酒をすすめようとしていたのかもしれません」 
 
 五冊目まで読んでくる間、頭から抜け落ちていたが、李賀は実は一冊目、第一章でちゃんと登場していたのだった。Tシャツ三枚靴下三足といった持ち物のなかに本は三冊、西南アジアの歴史の本と星座の概説書と、読める本といえば中国詩人選集の李賀の巻だけ、として出てくる。
 李賀という詩人について、わたしは、昔『深夜特急』を読んだときはもちろん今回再読したときも、名前さえ知らなかった。それで読み落としていたのだ。
 ここへ来て初めて一行だけ李賀の詩に触れ、とりあえずネットで検索してこの詩を全部読んだ。詩集を読むのは改めてのことにしても、李賀がどういう詩人か、だいたいのところを知った。
 その目で読み直すと、『深夜特急ノート』には、持っていく本になぜ李賀を選んだかについての言及があった。 二十七歳で夭折に近い死に方をした、「長安に男児あり 二十にして心すでに朽ちたり」という詩がポール・ニザン「ぼくは二十歳だった。それがひとの一生でいちばん美しい年齢だなどとだれにも言わせまい」と共鳴しあって記憶に残った、と言っている。

 わたしは唸った。著者は最初に李賀の名前だけをさりげなく出しておき、終章近くで詩人の神髄に触れる一行を置く、しかしこれもさりげなく。
 しかも最初と最後が書かれた間には六年もの時間がたっていたのだ。  

 若いとき読んだ『深夜特急』はひたすらおもしろく、わたしはこんな風にしてひとり旅をしたいと思ったものだ、もちろんできはしなかったけれど。今老齢になっても、香港のところを読めば、もしかしたら香港だったら行けるかもしれないと思い、パリのところを読めば、それなりの旅行ならパリだって不可能ではないかも知れない、と性懲りもなく夢想している。
 だがそういうことと別のところで、年を取って再び読んだこの本は、わたしのお腹の深いところに響いた。

 飛光よ、飛光よ、汝に一杯の酒をすすめん。

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紙の本深夜特急 1 香港・マカオ

2012/06/04 16:36

バックパッカーのバイブル

4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ぽかぽか - この投稿者のレビュー一覧を見る

この本を読んでバックパッカーに憧れ、実際に世界を旅した人は少なくないだろう。冒頭の香港を訪れた時に感じた町の熱気と興奮が、時間と共に薄れ、後半になるにつれて薄い毎日が倦怠感と共にだらだら過ぎていくあたりは、実際にバックパッカーの経験ある人なら誰しも感じるところ。掛け値なしに面白いです。

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紙の本深夜特急 1 香港・マカオ

2002/04/26 11:04

さあ香港へ

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:くも - この投稿者のレビュー一覧を見る

 26歳にして初めて国境を越えた著者がその魅力に取り付かれた世界が香港だった。その例えようもない熱気に毎日うなされるようにひたすら見て、食べて、聞いてまわった。マカオでギャンブルにはまり、あわやという場面には思わずハラハラさせられた。
 本書を読んで是非とも香港をこの目で見てみたい思いに駆られたが、先日それを実現した。本書で著者が体験した香港ははるか昔のことだが、それでも香港独特の熱気やエネルギーはそれほど変わっていないのではないか。香港の街並みをぶらつきながら当時の著者の心境を思い、想像を膨らませた。

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紙の本深夜特急 1 香港・マカオ

2002/07/30 00:47

読んでから人生が変わった

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ヒロト - この投稿者のレビュー一覧を見る

会社を辞めた沢木は、ほどなくルポライターを始めるが、初めて出版した本の印税すべてを持って、インドからロンドンまで、陸路で、それも乗合バスに乗っての旅に出かける事を決心する。
1巻では、インドまでの途中に寄った、香港・マカオでの生活、2巻では、タイから、マレー半島・シンガポールへの旅の様子、3巻では、インドからネパールでのたびの様子が書かれている。4巻以降は、本来の旅の目的であった、インドのデリーから、ロンドンまで、バスに揺られながら、旅をし、現地の人と交流していく様子が書かれている。旅を続けるうちに沢木は、現地の人と同じ視点で、文化と生活を吸収していく。アジアの素朴でかつ、強烈なパワーを読み取ることができる作品である。

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紙の本深夜特急 1 香港・マカオ

2001/12/06 01:48

ある日突然一人旅に出かけたくなってしまう

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:紗斗実 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 インドのデリーからイギリスのロンドンまでバスを乗り継いで行ってみよう。その計画の前哨戦のような、香港滞在編である。出発地点はデリーだったはずなのだが、飛行機のチケットの関係上、途中寄り道ができることがわかり、まずはいまにも落ちそうなオンボロ飛行機にて香港へ旅立つ。
 地図もなく、当然ホテルの予約などもしていない著者は、偶然「黄金宮殿」という宿屋に滞在することになる。そのきらびやかな名前に反して、シャワーは満足に出ない、特大のゴキブリがカサカサいっているようなところだ。だが、その安さとうさんくささを気に入った著者は、ここに何週間もいつづける。
 その間の、マカオでのカジノにはまるくだりが面白い。読んでるこちらまで熱くなってしまう。あわや一文無しか、というところまで落ち込んでしまったり、パターンをつかんで勝ちまくったり。
 彼は旅先で面白いことを見つける天才だ、と思う。その天才が遭遇して見出した出来事が満載の一冊。これを読むと、ぶらりと一人旅に出かけたくなる。

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映画のように愛して

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る

沢木耕太郎さんの文庫版『深夜特急』第5巻は
 この旅の目的のひとつでもある役割を果たす
 トルコの旅を描いた第13章「使者として」、
 そこからギリシャで過ごす第14章「客人志願」、
 そして地中海からの手紙形式で綴られた第15章「絹と酒」から
 構成されている。

 文庫版第5巻と第6巻からなる単行本「第三便」は
 1992年10月に刊行されている。
 単行本「第一便」および「第二便」が出たのが1986年5月だから、
 「第三便」の出版まで実に6年の歳月がかかったことになる。
 「第二便」の帯には「第三便は今秋(つまり1986年)刊行予定」とあるから
 出版社としては、かなり想定外だったに違いない。
 その理由について、沢木さんは多くを語っていない。
 「この六年が、この「第三便」には必要だったのだという気さえする。」とだけ。

 読者としても、この6年はやはり長い時間だった。
 私がこの『深夜特急』の「第一便」を読んだのが三十代のはじめ。
 だから、「第三便」が出ると耳にした時、どんなにうれしかったことか。
 実際それを本屋さんで手にした喜びを今は思い出すことはないが、
 きっと頬ずりしたのではないだろうか。

 「デリーからロンドンまで、2万キロの道のりを乗り合いバスで旅する」、
 それがこの長い旅の目的だったが、
 実は沢木さんにはもうひとつの目的があった。
 それはトルコ・アンカラで女性にあって美術展のカタログを渡すこと。
 沢木さんはただ頼まれた「使者」に過ぎないのだが、
 どうして沢木さんの旅にはこんな短かい恋愛小説のような挿話が似合うのだろう。
 それを大いに膨らませるのではなく、
 ひとつの風景として描いていることこそが、
 『深夜特急』の魅力といえる。

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紙の本深夜特急 新版 1 香港・マカオ

2020/12/04 07:27

旅の始まり

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:あかぴ - この投稿者のレビュー一覧を見る

決断力ありすぎでしょ。
入社当日、しかも会社にたどり着く前にやっぱ辞めよって思って旅に出ちゃうなんて。
自分には絶対にできないことだからものすごくうらやましい。

しかもバックパッカー的な貧乏旅。
私も学生時代、一人旅をしたことはあってもここまでの旅はしたことないですね。
憧れます。

旅の始まり。香港・マカオ編ということで。
カジノで足踏みしすぎでしょ。本当にロンドンまで行く気あるんすか、たどり着かなくてもまぁいっか的な発言まで出てくる始末…でも沢木さんの行動力、そして独特な文章、時代背景なんかもとても興味深い。
私も読みながら旅に同行させてもらっている気分になります。

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紙の本深夜特急 1 香港・マカオ

2019/02/03 22:09

怪しげな雰囲気のする香港、マカオ

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

深夜特急は私の好きな本の一つだが、中でもこの「香港・マカオ篇」が一番好きだ。あの香港、マカオの気だるい雰囲気、怪しげな賭博、読んでいるだけで、また香港に行きたくなる

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紙の本深夜特急 1 香港・マカオ

2017/04/26 08:13

羨ましい・・・

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:よこりんくん - この投稿者のレビュー一覧を見る

こんな旅、してみたい。
まるで自分が旅の渦中にいるみたい。
贅沢旅行記よりもずっと面白く、異国文化の勉強にもなる。

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著者の旅から35年以上経つのだろうが、今読んでも色褪せない、輝く旅の記録である

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:大阪の北国ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る

いよいよ旅の最終地点ロンドンへ・・・の筈が、その前に大迂回してスペイン・ポルトガルへ。もう何時でも日本に向かえる場所にいながら、敢えて旅を終わらせるつもりのない著者の気持ちが伺える。当時、若者の思考を表すコトバとしてモラトリアム人間などというのが流行ったが、そのような心持ちだったのだろうか。
リスボンのレストラン街で、見知らぬ しかし親切な男に声を掛けられ海の幸とビールをご馳走になり、そして実質 旅のゴールとなるサグレスという町を知る。そしてそこにはあたたかいファミリーが旅の終わりを演出してくれる。
その後、パリに向かい、ロンドンでの幕切れへと進んでいくが、やはりこの旅の精神的終点はポルトガルで構わないと思った。
6巻を読み終えて、著者と一緒に旅した心地よい疲労感が残った。

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紙の本深夜特急 1 香港・マカオ

2016/10/02 12:57

普段の電車で読むなら、肩の凝らないこんな本がおススメです。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:大阪の北国ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る

単なる行き場を失った若者の放浪随想記などと解すべき書ではない。大げさに明治期の哲学者の名を挙げ、それに匹敵するというつもりはないが、この本を表面的にだけ読んで「旅は自分でするしかない」などと著者に失礼なレビューを書いている人はよく考えた方がよい。冒頭のデリーや続く香港での目的のない旅の「目的」についての気持ちの動き、マカオでの賭博である法則に気づいた後に展開される著者と胴元との精神戦など、凡人では書けない描写が生き生きと活写される。
エンターテイメントとしても楽しめる極上の一冊である。

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恐れずに。しかし、気をつけて。

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る

とうとうここまで来た、そんな感じ。
 はじまりがあれば、終わりはある。
 沢木耕太郎さんの長い旅行記もこの文庫版『深夜特急』第6巻が最終巻。
 第13章「使者として」と一対をなすような
 つまりそこで描かれた妻ある男性の愛人に対して、
 ここではその妻の姿を描く第16章「ローマの休日」、 
 ポルトガルの岬でついに「旅の終り」をつかまえることになる第17章「果ての岬」、
 そして旅の終わりとなるパリからロンドンの行程を描く
 第18章「飛光よ、飛光よ」で構成されている。

 この巻の沢木さんは
 いかに旅を終えようかと模索し、悩む。
 それだけでなく、旅の意義と向き合うことになる。
 それは、自分自身との対話といっていい。
 この旅で得たものもあれば、喪ったものもある。
 それこそが年を重ねるということだろう。
 そもそもこの旅行記に『深夜特急』とつけたのは、
 刑務所から脱獄することの隠語「ミッドナイト・エクスプレス」からだが、
 当時26歳だった沢木さんは
 何から脱獄しようとしたのだろうか。
 そして、旅を終えたあと、
 沢木さんは自由を得たのだろうか、それとも
 ふたたび収監されたのだろうか。

 1992年9月に綴った「あとがき」で
 沢木さんは最後にこう記した。
 「恐れずに。しかし、気をつけて。」と。
 すでに70代後半にさしかかった沢木さんは
 今ならこう言うそうだ。
 「気をつけて。だけど、恐れずに。」と。

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紙の本深夜特急 新版 4 シルクロード

2023/06/09 06:50

年をとったら年寄りらしくせよ。

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る

沢木耕太郎さんの文庫版『深夜特急』第4巻は、
 いよいよシルクロードの旅が始まる。
 第10章「峠を越える」ではパキスタンのバスの凄まじい運転を体験し、
 続く第11章「柘榴と葡萄」はアフガニスタンのカブールで過ごした
 ヒッピー宿での暮らし、
 そして第12章「ペルシャの風」ではイランで自身の旅を見つめ直す姿が
 描かれている。

 沢木さんの『深夜特急』の旅は
 いつも意気揚々としているわけではない。
 時に自分の行動にげんなりし、疲れきりぐったりすることもある。
 そんな中、第12章のカブールの街角で見かけた
 アリとフォアマンのヘビー級の試合。
 調べるとこの試合が行われたのが1974年10月30日。
 この時、沢木さんのイランの街角の電気店のテレビの前にいた。
 私はどこにいたのだろう。
 長い旅のささやかなシーンではあるが、
 その試合が奇跡的なアリの逆転勝利ということもあって
 とても鮮やかに描かれている。
 沢木さんの作品の魅力はこういう一滴の水のような清涼さといえる。

 そして、この巻の最後に
 沢木さんはこんな言葉を引用し、書き留める。
 「若いうちは若者らしく、年をとったら年寄りらしくせよ。」
 その言葉に引きずられながらもあらがう、
 ここにはそんな青年の姿がある。

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あの頃巷にヒッピーたちがたくさんいた

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る

沢木耕太郎さんの文庫版『深夜特急』第3巻は、
 インド・カルカッタの喧噪を描いた第7章「神の子らの家」と、
 冷たい雨に閉じ込められたカトマンズでの時間を
 手紙を綴るようにして書かれた第8章「雨が私を眠らせる」、
 そして、ふたたびインドに戻って死者の火葬を見ることになる
 第9章「死の匂い」で構成されている。

 あれは私が映画に夢中になり始めた頃であったが
 「カトマンズの恋人」という映画を観たことがある。
 調べると1969年公開のフランス映画で、
 当時人気のあったルノー・ヴェルレーが主演している。
 ヒッピーと呼ばれた若者が大勢カトマンズを目指していた時代で
 映画もそういう若者を描いていたと記憶する。
 沢木耕太郎さんが旅行記『深夜特急』のもととなる
 ユーラシアへの長い旅に出たのが1973年だから、
 まさにその頃のインドやカトマンズにはヒッピーや
 貧しい旅行をする若者たちがたくさんいたのだろう。
 だから、『深夜特急』の中には、
 そんな若者の姿がたくさん描かれている。
 しかも、彼らはけっして溌剌としている訳ではない。
 ある者は疲れ暗い眼をし、ある者はただじっと蹲っている。
 彼らの姿は反面沢木さんの姿でもあったのだろう。

 『深夜特急』はそんな若者の姿を赤裸々に描いていて
 だからこそいつまでも読み継がれる「青春の一冊」になっているように思える。

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何故、沢木さんは旅に出たのか

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る

沢木耕太郎さんの文庫版『深夜特急』第2巻は、
 マカオでの博打生活に危うさを感じた沢木さんが、
 マレー半島からシンガポールへとめぐる旅を描く。
 第4章「メナムから」、第5章「娼婦たちと野郎ども」、
 そしてシンガポール篇である第6章「海の向こうに」で
 構成されている。

  中でも面白いのは、やはりペナンの娼婦の館に滞在した日々だろう。
 香港での「黄金宮殿」という華麗な名前の貧乏宿もそうだが、
 沢木さんのこの旅は貧乏旅行ではあるが、
 あまりにも危険と背中合わせといっていい。
 もしかしたら、命の危険があるかもしれないそんな暮らしぶりに飛び込んでいく姿が
 ある意味若さの代名詞のようでもあって、
 そのあたりがこの長い旅行記が今でも人気のある所以だろう。

 この2巻でもっとも重要なのが、
 おそらく第6章だろう。
 そこには沢木さんがこの旅に出た思いが綴られているからだ。
 当時沢木さんはジャーナリストとして自分の場所を固めつつあった。
 それでも、26歳の彼はそれを捨てることになる。
 「多分、私は回避したかったのだ。(中略)何かが固定してしまうことを恐れたのだ」
 沢木さんのように思うことが誰しもある。
 しかし、沢木さんのように旅立つことはできない。
 だから、『深夜特急』はいつまでも蜃気楼のようにある。
 追っても追っても捕まえられない憧れといっていい。
 さあ、もっと先を目指そう。

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