パルムの僧院
イタリアの大貴族デル・ドンゴ家の次男ファブリスは“幸福の追求”に生命を賭ける情熱的な青年である。ナポレオンを崇敬してウァテルローの戦場に駆けつけ、恋のために殺人を犯して投獄され、獄中で牢獄の長官の娘クレリア・コンチと激しい恋におちる……。小公国の専制君主制度とその裏に展開される政治的陰謀を克明に描き、痛烈な諷刺的批判を加えるリアリズム文学の傑作である。
パルムの僧院(下)(新潮文庫)
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パルムの僧院 改版 下
2022/01/31 20:17
パルムの僧院
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:雄ヤギ - この投稿者のレビュー一覧を見る
下巻ではファブリスの活躍よりも保護者である公爵夫人とモスカ伯爵による宮殿での政治的対立や陰謀が描かれる。ファブリスはつまらない恋愛から殺人を犯すが、正当防衛を陰謀により証明できなくなり、獄中で監獄司令官の娘との恋愛に励む。
パルムの僧院 改版 下
2021/08/22 09:44
物語の醍醐味
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投稿者:H2A - この投稿者のレビュー一覧を見る
下巻に入ると宮廷内の陰謀が激しさを増し、そこで汚されたジーナは復讐を果たす(スタンダールらしいやり方で)。一方でモスカは権謀術数を駆使しながら政争に明け暮れるが、最終的に権力を得て公国に善政を敷く。ファブリスは終盤でようやくクレリアとの想いを遂げるが、パルムの僧院で短い生涯を終えることが明かされて物語は終わる。情景描写もそうだが、作者の文章はひと筆書き。有名な庭園の場面も言葉少なく、イメージ喚起させる。物語った後の人物たちの生き方を語っても実にあっさりしているが、かえって作品世界が現実と対置して際立ってくる気もする。結びの句はふさわしく、この小説が語る対象は「少数の幸せな者たちへ」なのだ。
パルムの僧院 改版 下
2019/02/28 23:04
大岡昇平氏が翻訳してます
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「赤と黒」がジュリアン・ソレルの立身出世を描いた作品(といっても、その立身出世の目論見は果たせなかったが)とすれば、このパルムの僧院はファブリスという青年を一応は主人公とはしているが、パルム公国というイタリアの小国に住む貴族たちをグランドホテル形式に描いた作品と言えるだろう。読み始めは、このファブリスという青年(登場時は少年)に感情移入できず、ジュリアンがんばれと読んでいた赤と黒のことを懐かしくさえ思っていたのだが、下巻でファブリスが収監されるところぐらいからがぜん面白くなってくる。訳は大岡昇平氏のものなので、やや古臭い表現が鼻につくところもあったりするが、全体的にはすてきな格調高い翻訳になっていると思う