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悪徳の都 新着
1946年、酒浸りの日々を送っていた元海兵隊専任曹長アール・スワガーは硫黄島の戦功により名誉勲章を授与された。式の後、彼の前に二人の男が現れる。野心満々のガーラント郡検察官フレッド・ベッカーと伝説的な英雄である元FBIエージェントのD・A・パーカーだった。二人はギャングの牛耳る歓楽の街ホットスプリングスの浄化をもくろみ、その為に摘発部隊の編成を計画していた。彼らはその隊員を軍隊並に鍛え上げる役をアールに依頼してきたのだ。彼は承知する。だが、妻からは子供が出来たことを知らされた。
悪徳の都(上)
05/02まで通常734円
税込 477 円 4ptワンステップ購入とは ワンステップ購入とは
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紙の本悪徳の都 上
2001/06/14 11:47
迫力
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:さむ - この投稿者のレビュー一覧を見る
「極大射程」に始まる、ボブ・リー・スワガー四部作を完結させたハンターが、次に取り組んだのは、父アールの物語だった。「ブラックライト」「ダーティ・ホワイト・ボーイズ」で扱った時代から、さらに遡り、歴史上に残る事件である<ホット・スプリングスの暴動>の真っ只中に、不屈のヒーローを放り込んだのである。「狩りのとき」でも、ベトナム戦争の泥沼を容赦なく描いたが、本作では、第二次世界大戦後のアメリカの腐敗と混沌を、実在の人物を交えつつ活写し、現代史の裏面に切り込む歴史小説としての厚みを増している。もちろん、ハンターの十八番である銃撃戦も相変わらずの迫力で、エンターテインメントとしても超強力である。
紙の本悪徳の都 上
2010/09/28 23:02
最近、ぜひ読みたいと惹かれる新刊が出てこない。そうなると通勤電車で退屈をもてあますことになる。なにせ乗車時間片道1時間半なのだ。ひとそれぞれだが時間つぶしには最適なジャンルがある。いまさら携帯電話のゲームに夢中になる厚かましさはない。ゲームなら小説のゲーム。私にとってのそれは理屈抜きでスピード感を味わえる冒険活劇小説である。
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:よっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
1999年から2000年にかけてスティーヴン・ハンターの『ブラックライト』『極大射程』『狩りのとき』『魔弾』。当時刊行するたびにベストセラーになったボブ・スワッガーシリーズがあって私も続けざまに楽しませていただいた。当時としては、これまでにはないスタイルのハードバイオレンスだという記憶が残る。ただシリーズものにつきもののマンネリ化で、度重なればいい加減にうんざりするのもでてくる。2001年、そんなタイミングで買って未読のままにあった『悪徳の都』を本棚の奥から引っ張り出してきた。
「1946年、酒浸りの日々を送っていた元海兵隊先任曹長アール・スワッガー(ボブ・スワッガーの父)硫黄島の戦功により名誉勲章を授与された」
戦功の勲章というのは大量の殺人者が受賞するものだ。彼はさんざ狂的なジャップを殺しまくったということ。戦争が生きがいの男にとって平和は耐え切れず、かといって世捨て人にもなりきれず悶々としていたということである。このあたりはシルベスタ・スタローンのランボー的人格そのままである。
「ガーランド郡検察官ベーカーと伝説的英雄である元FBIエージェントのパーカーはギャングが牛耳る歓楽の町ホットスプリングズの浄化をもくろみ、摘発部隊の編成を計画。彼らはその隊員たちを軍隊並みに鍛え上げる役をアールに依頼してきたのだった。」
妊娠中の奥さんの懇願もなんのその、待ってましたと、アールはこの任務に没頭する。優秀だが実戦経験のない若者たちの前で目の覚めるガンプレイを披露するあたりから物語は疾走しはじめる。
「陰の帝王オウニー・マドックスはこの摘発部隊の急襲を受け大打撃を被る。彼は怒りに燃え凄腕の武装強盗団一味を呼び寄せ復讐戦を挑んだ。両者、知略、謀略の限りを尽くしての銃撃戦が展開される。」
警察の摘発行為ではなく、これは部隊同士の戦争行為である。なにしろ実力伯仲なのだから両者の知略、謀略と凄まじい戦闘行為が見せ場である。殺る前に殺るである。銃器所有礼賛がアメリカ世論の多数を占めるというから著者はそれを助長する立場であろう。重火器の仕様に詳しくない私であるがその筋のマニアなら垂涎のディテールにワクワクするだろう。
悪い奴は強くなければならない。善玉ヒーローは絶体絶命に陥らねばならない。これが冒険活劇の鉄則である。
そしてアールの部隊は敵の奸計にはまり全滅する。新鋭の武器を奪われ満身創痍で孤立したアールはただ一人で重装備の敵に最後の戦いを挑むのである。
理屈を言えばいろいろあるでしょう。
たとえばいかにもアメリカンヒーローでその鼻持ちならぬ悪臭はプンプンしている。
だが当初の読書目的にはピッタリの作品であった。
ただし先に述べたシリーズの中では出来がよくない部類だから、これから読まれる方には『ブラックライト』『極大射程』『狩りのとき』をお勧めします。