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4件
見知らぬ人
著者 エリー・グリフィス(著) , 上條ひろみ(訳)
これは怪奇短編小説の見立て殺人なのか?──イギリスの中等学校タルガース校の旧館は、かつてヴィクトリア朝時代の作家ホランドの邸宅だった。クレアは同校の英語教師をしながら、ホランドを研究している。10 月のある日、クレアの親友である同僚が殺害されてしまう。遺体のそばには“地獄はからだ”という謎のメモが。それはホランドの怪奇短編に繰り返し出てくる文章だった。事件を解決する鍵は作中作に? 英国推理作家協会賞受賞のベテラン作家が満を持して発表し、アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長編賞受賞へと至った傑作ミステリ!/解説=大矢博子
見知らぬ人
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見知らぬ人
2023/01/01 09:52
良いです。
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:スッチー - この投稿者のレビュー一覧を見る
とても面白いです。興味のある方にはオススメです。とても良いです。とても素敵です。読みやすく、分かりやすくて良いです。
見知らぬ人
2021/11/20 00:06
効果的な視点転換と不穏な作中作。
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ゲイリーゲイリー - この投稿者のレビュー一覧を見る
英語教師のクレア・キャシディは、「見知らぬ人」という怪奇小説の作者であるR・M・ホランドの研究を行っている。
ある日同僚のエラが殺害され、現場には「見知らぬ人」から引用されたと思わしきメモが。
犯人は「見知らぬ人」と一体何の関係があるのか。
そこから物語は語り手が変わり、今まで見ていた事件はあくまでクレアの視点に過ぎないことを思い知らされる。
本作は3人の語り手により物語が進んでいく。
語り手を複数人登場させることによって、主観と客観の相違や私たちの持つ先入観が徐々に明らかになっていくも、容疑者は一向に絞られない。
これこそが本作の見どころ。
主観と客観を巧みに使い分けることにより、語り手当事者のみが知る事実と客観視した時に生じる疑惑とが見事に混在し、真相がどんどん遠ざかっていくのだ。
本作の帯には「この犯人は見抜けない」と書かれており、犯人当て小説として手に取る方も多いだろう。
もちろんそういった楽しみ方もできる作品ではあるのだが、中には途中で犯人が分かってしまう方もいるかもしれない。(私も3分の1ほど読んでいて犯人とその動機がなんとなく分かってしまった・・)
しかしそれでも本作を充分に楽しめたのは、ミステリーとしてフェアな姿勢と作品に付きまとう不穏さのおかげだ。
犯人が明らかになると冒頭からしっかりと伏線が張り巡らされていたことに気付く。
この一文はこのことを示していたのかと腑に落ちる瞬間はミステリーの醍醐味と言える。
そして何より作中作の「見知らぬ人」が持つゴシックホラーとしての不気味さ、不穏さが現実にも侵食していくかのような展開は見事。
フィクションとリアル、ホラーとミステリー、そして主観と客観の境界線が曖昧になっていき、一体何を信じればよいのか分からなくなっていく。
奇妙さと不穏さを内包しつつもミステリーとしてはどこまでもフェアな本作はMWAを受賞するなど非常に高い評価を受けており、続編が執筆されている。
この唯一無二な読後感を再び味わえる日が早くも待ち遠しい。
2023/09/19 00:18
作中作有り
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
死体に残されていたメモに、“地獄はからだ”。それはホランドの怪奇短編に繰り返し出てくる文章でした。事件を解決する鍵は作中作という……凝った作り。しかし、なんとなく、途中で犯人は、わかる読者が多いような?