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誰かが嘘をついている
著者 カレン・M・マクマナス,服部京子
放課後の理科室で、5人の高校生がルール違反の罰として教師に作文を書かされていた。そのなかの1人、サイモンが突然苦しみだし、病院搬送後に死亡してしまう。死因はアレルギーのアナフィラキシーショックで、警察は事件性があると判断した。サイモンは生徒たちのゴシップを暴露するアプリを運営しており、現場にいた4人の生徒は全員が彼のアレルギーを知っていたうえ、さまざまな秘密を握られていたのだった。4人は一人称で、順繰りに事件について語っていく。いったい、誰が何を隠しているのか。巧みな構成が光る必読の謎解きミステリ!/解説=若林踏
誰かが嘘をついている
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紙の本誰かが噓をついている
2020/08/30 22:19
YAミステリの王道
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:pinpoko - この投稿者のレビュー一覧を見る
アメリカのサンディエゴ近郊の街の高校を舞台にした青春ミステリ。
密室的状況下で、生徒の一人がアナフィキラシーショックで死亡し、その場にいた4人の高校生が被害者に秘密を握られていたことから、犯人として疑われてしまう。
導入部はとてもスムーズで、ここで即退場となる被害者生徒のひねくれた性格がその言動にはっきり表れている。これじゃ誰に殺されても仕方ないと思わせる。
最初、高校が舞台で各容疑者生徒の視点で物語が語られるという設定のため、何かこの年頃にありがちな自意識過剰なモノローグなのかと思っていたら、さほどでもなく結構素直で、自分のイメージを守るための言動や周りの期待に抗いきれず、心ならずも不正なことに手を染めてしまう・・・などといったとても等身大の青春群像劇なので、すっかり気も楽になって読み進められた。
ほんとにこの年頃は、狭い社会の中の自分の価値というものにとかくがんじがらめになってしまうもの。世界は広く、過ちは誰もが犯すものでそこから何を学び次につなげるかは自分次第なのだと声を大にして言ってあげたい。若いころの失敗をより多く経験した人のほうが人間的に豊かになること請け合いだ。時代だっていつまでも同じ価値観じゃいられない。
ただその狭いなかでの劣等感から自由になれないと、かなりつらいことになるんだろうな。今作はそのダークな部分を犯人側の生徒だけに担当させたけど、主役4人にも、もう少し嫉妬心や嫌な面を割り振ってもよかったかもと思う。各人の語りにさらに深みが増しただろう。
紙の本誰かが噓をついている
2019/05/27 07:11
結末で尻すぼみ
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投稿者:トッツアン - この投稿者のレビュー一覧を見る
楽しく読むことは出来た。高校生による青春小説的なところもあり、登場人物による独白による進行も趣向が凝っていて、読み進めるうちに引き込まれた。ただ、最後の結末(犯人)には、すこしがっかりした。
概ね楽しく読めたし、まぁ時間を無駄にしたとは思っていない。
紙の本誰かが噓をついている
2019/03/25 20:30
後味のよい本です
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:BUTTER - この投稿者のレビュー一覧を見る
それぞれのキャラが個性的で
青春時代を思い出しながら読めました。
謎解きとは関係のないところ(関係あるのかな?)で
意外などんでん返しなどもあって、楽しめました。
前向きな気持ちでページを閉じられる終わり方もよかったです。
紙の本誰かが噓をついている
2019/03/10 04:13
<青春小説と謎解きミステリの見事な融合>という宣伝文句通り!
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かしこん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ある高校にて、携帯電話持ち込み禁止の授業に携帯電話を持ってきたと5人の生徒が放課後の理科室に呼び出される。教師からその場で作文を書くようにとペナルティを課されるが、没収された携帯電話はそれぞれのものではなかった。この5人は意図的に集められたのか?
理科室の水道から水を飲んだ生徒の一人、サイモンが突然苦しみだす。彼はピーナッツアレルギーだがその日はエピペンを所持しておらず、保健室にもエピペンの控えはなく、救急車で搬送中にサイモンはアナフィラキシーショックで死亡。容疑は他の4人の生徒、優等生のブロンウィン、野球チームの有力選手クーパー、ヤクの売人をしたことで保護観察中のネイト、フットボールの花形選手の恋人アディに向けられる。実はサイモンは<アバウト・ザット>というネットの掲示板で学校中の人の秘密をイニシャルで暴露して楽しんでおり、サイモンに高校生活を破滅させられた人は数知れず、かなり憎まれていた・・・という話。
と、事件に出くわしてからその後の展開を、4人が交代して語りを務める、という構成。
なんとなく、『新ビヴァリーヒルズ高校白書』みたい! 若者の青春群像とネットの介在という時代感が。
ここはそこまでハイソな高校というわけではないけれど、結構裕福な家庭からまったく裕福ではない家庭まで登場人物の家庭環境は様々で、スクールカーストというものを否応なく考えさせられる。かっこいい彼氏がいれば勝ち組? 成績がよくても真面目過ぎてお堅い彼女は疎まれ気味?、とか。でも最初はステロタイプっぽく見えてた4人が、次第にそれぞれ秘密を抱えているのが明らかになっていくにつれて読者の見る目も変わってしまうし、言わないけど更に何かを隠しているのでは・・・と疑心暗鬼になっていく感じが若々しくて大変よい。
ミステリ的にとてもフェアなので、「む、その描写(表現)、意味があるか?」とすれっからし読者には感じられてしまい・・・犯人はなんとなくわかってしまうのですが、わかっても高校生たちはどう選択をしどう進んでいくのかが気になって最後まで集中力は切れない。いつしか高校生たちになんとなくの共感めいたものを覚えてしまうように(安易に大人に助けを求めず、同世代だけでどうにかしようという心意気もよかった)。
さて・・・振り返ってみて、この話は日本の高校にそのまま置き換えらえるかと考えてみたら・・・多分無理なような気がする。
でも彼らが映画『リング』や『バトル・ロワイヤル』をスマホで観ているのかと思うと、とても奇妙な気持ちになる。ネットは彼らの生活を息苦しくさせているけれど、確実に世界の多文化を身近なものにしてもいるから。
電子書籍誰かが嘘をついている
2021/10/26 06:20
タイトルが、うまい
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
このタイトルに引かれ読み始めた人は多いと思います。それと、四人の一人称の書き方で進むストーリー展開。これ、良いですね……読みやすいです。ただ、ラストは……
紙の本誰かが噓をついている
2019/04/14 19:53
交差する4人の思い
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投稿者:J・P・フリーマン - この投稿者のレビュー一覧を見る
容疑者と見なされる4人の独白で進む物語。しかし、状況的にこの4人が必ず犯人とは限らないことから、「4人のうちの誰かが犯人」or「犯人はほかにいる」という構図が頭に思い浮かんだ。文章に読ませる力があるので、犯人を推理しつつ次々にページをめくっていきました。が、真相はミステリがおもしろくなくなる悪手を詰め込んだものだったのが残念。ミステリより青春小説に重きを置きたかったのかな。