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笹野里子の事件簿
私立探偵だった夫が事故で死んで二年、残されたのは未払いの家賃とリボルバーと調査資料、そして苦い思い出だけ。失意の底から立ち直った笹野里子は、探偵事務所を再開する――。実業家の孫娘をめぐる陰謀、不思議な行動をとる美人女優の素行調査、ホステス殺しの真相、そして過去の夫の調査が呼び起こした殺人。四つの事件に里子は挑む。アドバイザーとして山浦歩(ふーちゃん)も登場する、『月夜の晩に火事がいて』と対をなす傑作。直木賞作家・芦原すなおが描く衝撃のハードボイルド・ミステリ『ハート・オブ・スティール』を改題。
雪のマズルカ
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紙の本雪のマズルカ
2006/03/07 22:35
日本の小説の中に、こんなにカッコイイ女探偵がいたなんて!
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:うっちー - この投稿者のレビュー一覧を見る
この探偵ときたら!クールでドライ、やることはしっかりやる、情け容赦なし、と、まぁ、実にカッコイイのである。心に秘めた熱いものを、大きな哀しさと虚無で覆い隠し、凄惨な事件にもしっかりと立ち向かう女探偵・笹野里子。イヤな予感がしながらも、何かにひかれるようにして、事件に選ばれてしまう里子なのだが、暗いばかりではないのも魅力。依頼人とのやりとりや会話は、潔く、客観的で、ユーモラスでさえある。そして、自ら言うのが「明朗会計のぼったくり探偵」。
お楽しみは他にもある。作者の別の小説「月夜の晩に火事がいて」のちょっと頼りない山浦歩探偵が、心許した同業者として登場したり、里子に惚れている遠藤警部との会話も愉快。起こる事件は、ひどく凄惨なのだが、こうした登場人物や会話が、里子の人物像に深みと魅力を与え、お話に惹きつけられるのだ。
強くて粋な女探偵だが、投げやりとも言える虚無感は、亡くなった夫が原因なのである。その夫の事故死をめぐっても、煩悶させられる。山浦歩もそうだが、突然、配偶者に先立たれた者の戸惑いと哀しみ、空しさを作者は、哀切なまでに描く。
夫の残した拳銃を、ここぞというときには、ぶっ放すハードボイルドさ。「どうしようもない男」と思いながらも、その夫の好きだったショパンのマズルカを口ずさむ…。こんないい女が主人公なんだもの、おもしろくないはずない!どんどん、続編を書いて、歳をとってますます魅力的になるだろう女探偵を描いて欲しいものだ。
電子書籍猫とアリス
2015/04/28 22:31
男以上に男前な女探偵、再び。
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:やきとり - この投稿者のレビュー一覧を見る
いつの間にか続編が出ていた女探偵モノ。本作も主人公里子の一人称で話が進むので、この本から読んだ方はヘタすると主人公の名前わからないまま終わってしまうのではと心配になる。(自分で自分の名前は言わないので。多分、作中に二回ぐらいしか名前が出てこない)
話は1話完結の連作短編5話ですが、どの話にもある男の影が見え隠れする。今回は里子を通して裏社会に生きる一人の哀しい男の生き様が描かれる。前作同様救われない話ばかりですが、忘れ形見のリボルバーを片手に単身危機に挑んで行く里子が相変わらずの男前。不条理な世の中に「こんなことがあっていいわけがない」と因果な性格で果敢に立ち向かう女探偵に惚れてしまうコト間違いナシ。やはり前作と同様この女探偵の長編が読んでみたいというのが正直な感想。映像化しても面白いかも、というかなりそう。
あと1話(表題作)だけ作者の他の探偵モノの主人公の山浦歩こと「ふーちゃん」との出会いを描いた過去話になっている。
紙の本猫とアリス
2015/12/17 17:07
読み応えはあまりないが、話の雰囲気は悪くない。
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:紗螺 - この投稿者のレビュー一覧を見る
女探偵が主人公の、半分ミステリ半分ハードボイルドのような感じの作品。格闘の場面が時々入るが、それはあまり興味がなかった。
主人公のキャラは、どこかとってつけたような不自然な感じがあるのが気になる(例えば、依頼人に妙なギャグ(?でもちっともおかしくない)のようなことを言ったりする、など)。
ストーリーとしては、ごく気楽に軽く読めば楽しめる感じ。現実的に考えてはいけない。
電子書籍雪のマズルカ
2012/12/27 14:11
女探偵のハードボイルドもの
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:LEGEND - この投稿者のレビュー一覧を見る
「ミミズクとオリーブ」が気に入って他の作品もと思って読んだのがこれだったので、ギャップにびっくり。夫を不慮の事故で亡くした主婦が、夫の仕事を引き継いで拳銃を隠しもって探偵業をする、最後は殺し屋と対決、という、何かちょっと昔のアメリカ映画とかでありそうだけど、日本じゃまずないでしょ、という感じの設定。でも根底の”人間の素”みたいなところは、「ミミズクとオリーブ」で持ち込まれる”事件”と同じテイストかも。