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若者殺しの時代(講談社現代新書)
  • みんなの評価 5つ星のうち 4.6 4件

電子書籍

若者殺しの時代

著者 堀井憲一郎 (著)

ずんずん調査のホリイ博士が80年代と対峙。クリスマス・ファシズムの勃興、回転ベッドの衰退、浮遊する月9ドラマ、宮崎勤事件、バブル絶頂期の「一杯のかけそば」騒動……あの時なにが葬られたのか? (講談社現代新書)

若者殺しの時代

648 (税込)

若者殺しの時代

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評価内訳

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紙の本若者殺しの時代

2006/05/05 10:22

優れた昭和−平成史

8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:BM1 - この投稿者のレビュー一覧を見る

昭和の終わりから現在に至るまでの(日本の)時代の流れがすっきり眺められる。鮮やかな切り口で、時代の変わり目を捉える視点が秀逸。「今考えると1980年代が時代の大きな曲がり角だった」という趣旨。
目を引くタイトルだが、「殺し」というほどショッキングな内容ではない。
週間文春連載の「ホリイのずんずん調査」を下敷きに再構成されているそうだ。
よく読み返すと、「言いたいこと」と「調査結果」がよくなじんでいる章と、そうでもない章があると思う。
「漫研の証言とサブカルチャー」は、貴重な調査結果で、なくては成り立たない。けど、「ディズニーランドのアトラクション数の変遷」は、調査結果がなくても章が成立するんでないの?という感じ。
というのはあるが、総じてうまく時代を切り取っていて、整理されている。最後のほうの次の文章なんて、こんな捉え方ができるのは、本当にすごいと思う。
「『ニート』と名づけられた時点で、(社会に)すでに捕まってしまっている」
個人的な意見だけど、橋本治がやりたかった仕事ではないか。

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紙の本若者殺しの時代

2007/02/10 10:50

そういえばオレ,未だに浦安のディズニーランドに行ったことないんだよなぁ

8人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:SnakeHole - この投稿者のレビュー一覧を見る

 いしいひさいちが描かなくなったあと,週刊文春で最も面白いページ(つうか,オレは最近これと「タンマ君」を立ち読みして済ませる。他の,つまんなすぎ)である「ホリイのずんずん調査」の堀井憲一郎が,その膨大な調査資料を駆使……はしてないな,調査資料の一部を使って(笑),若者……というか,かつて社会が一人前に扱っていなかった若い人を,こと消費の局面においてだけ一人前扱い,要は馬鹿をカモにして金を取るようになったここ四半世紀の社会の変化をあぶり出して見せる,といった趣向の読み物である。
 総論は各自買って読んでもらうとして(こんな地に足のついた解りやすいちゃんとした論考が税別700円で読めるのは安いよ,政治家がゴーストライターに書かせた選挙ビラまがい本なんかに金を払うよりよっぽど有意義である),オレはこの本を読んで初めて,80年代後半から90年代前半のいわゆるバブル期に,オレ自身がちっともバブリーぢゃなかった理由がようやくわかった。
 世の中を挙げて若者を消費の主役に煽り立てていたあの時代,そのための最も大きな武器はテレビだったんだが,それはオレ(ほんとは「オレ達」と書きたいが一応勘弁しといてやる)がほとんどテレビを観ずにパソコンの画面に向かってたのだ。ナルホド,そうだったのか。そういえばオレ,未だに浦安のディズニーランドに行ったことないんだよなぁ。

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紙の本若者殺しの時代

2007/11/04 00:34

なかなか面白い本だが結論部分ですべっているぜ、ホリイ君

8人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:塩津計 - この投稿者のレビュー一覧を見る

ホリイ氏は週刊文春連載の「ホリイのずんずん調査」で知られる。本書はこの調査を下敷きにし、学生アルバイトを交えて座談会を行い、その模様を録音したテープを起こして出版しようとしたが(養老 孟司『バカの壁』 はこのやり方で作られた本でベストセラーになったのを受けての柳下に二匹目のどじょうを狙う戦略。実際にやってみると、それでは全く本にはならず、結局一から書き直しせざるをえなかったそうな)。随所に鋭い分析が光るものの、基本的には成城の大家壮一文庫に行って1970年代に遡って「アンアン」「ノンノ」以下の女性向け雑誌全部、「ポパイ」「ホットドッグプレス」以下の男性向け雑誌全部に目を通してみたり(この結果、ホリイ氏は何時からクリスマスが恋人達のものになったかとか、バレンタインデーにチョコを恋人にプレゼントするのは何時から始まったかとか、ディズニーランドが恋人達の聖地になったかとか調べあてるのだが)、はたまた80年だから90年代に流行ったトレンディドラマをバイトも動員して全部見たり(その結果、ドラマで携帯電話を最初に使用したのが石田純一であるとか、その時の携帯電話がベトナム戦争で使用した無線機と同じくらい巨大だったとかを探り当てたり)するのである。妻はホリイ氏に対し「世の中には役に立つ調査もあるけれど、これは調べても役に立たない調査の典型ね」「要するにこの人ヒマなんじゃないの」と手厳しいが、それでもやっぱり「光る」指摘が随所にある。例えば、朝の連ドラの視聴率低下が日本社会党の支持率低下と対を成していて、その原因は「戦争の記憶の風化=それだけ日本が豊かになった」ことにあるという指摘や、戦争の記憶が風化するにつれ、あたかも戦後の日本が敗戦から立ち上がり奇跡の経済成長を成し遂げて繁栄することをあたかも予見しているがごときSFチックな反戦主義者がドラマに登場するようになるという強引な筋立てが目立つようになってシラケ度が高まるという指摘、全共闘世代は端から見ると「巨人の星」の星飛雄馬そのものなのに、なぜか連中は巨人の星が大嫌いで「あしたのジョー」を気取るクセがあるとか、「東京ラブストーリー」の赤名リカ登場後、日本のOLが妙に強気な「恋愛に妥協しないオンナ」になって、その結果日本女性の非婚率が急上昇したとかいう指摘、あるいは「全共闘世代が何時までも大人になろうとせず、若者ぶっている」結果、その下の世代が割りを食わされしわ寄せを受けているという指摘には思わず「ごもっとも」と何度も膝を打ってしまうような鋭さを含んでいる。一方で、「亡国のイージス」を読んで手首が痛くなった経験に端を発し「最近のミステリーは、どうして重たいのか」という疑問を晴らすために1983年に遡って主だったミステリー全部の重さを量って平均値をはじき出し、ミステリーが分厚く重くなった分水嶺の年とワープロの普及に密接な関係があるという「どうでもいいこと」に膨大な手間とヒマをかけて調査してしまうようなところもある。いただけないのは結論でホリイ氏は日本は老年壮年が既得権を手放さずそのしわ寄せを全部若者に押し付ける社会に成り下がり、どうころんでも、この先日本に住む若者にはいいことは無いから、「若者よ、日本から逃げろ」などとアラヌ煽動に走るのである。また現在、日本は待ったなしでグローバルな競争に直面せざるを得なくなり、冷戦時代に築かれた「国土の均衡ある発展路線」と、それに背中合わせの「安全保障アメリカ丸投げの国家ぶら下がり健康法」から脱却し、待ったなしで日本に突きつけられた「経済のグローバル化の挑戦」に正面から向き合わなければならないのに、それについても「僕達は近代国家が嫌いだ」などとあさっての意見を吐いて「鎖国・保守回帰」を促すのである。たかだか10年不況で、ちょっと若者の就業機会が削られたからといって、何をとちくるっているんだ、あまえるのもいい加減にしろといいたい。今の日本みたいな幸せな国から逃げて、一体どこへいこうというのか。フランスの若年の失業率はいまだに25%を超えている。今の日本が若者殺しの時代なら欧州はこの30年ずっと若者を殺し続けてきたとも言える。少し頭を冷やせ、ホリイ!と言いたいですなあ。超大国と言われる国は「不況」を何度も経験している。ツバイクの「昨日の世界」、あるいはアレン「オンリーイエスタデイ」でも読んでホリイ君が今一度視野を広げられんことを期待する。

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紙の本若者殺しの時代

2006/05/04 22:25

時代のターニングポイント

11人中、11人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:yokohamaXy - この投稿者のレビュー一覧を見る

いつも堀井さんの着眼点に脱帽する。定量データを逆手に取り、ランキングという味付けの定性分析が面白い。
この本は、80年代から90年代に私たちが どうも落ち着かない暮らし を営んでいた背景を見事に解き明かしてくれる。1985年が戦後の曲がり角であると考えている私とって、かなり確信を得た一冊だ。
特に最終章は、かなり筆者のトーンが変わる。恐らくほぼ全体を書き終えてから、一気に思いを吐露したのではないか。かなりラジカルだ。かなり飛躍しているが、若者ではない私にも、再起の勇気を与えてくれる。
若者より これから定年を迎える諸先輩にぜひ 呼んでもらいたい一冊である。この時代、一番働き盛りを過ごした【殺人者】であるからだ。

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