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日本文化私観
著者 坂口安吾 (著)
戦前・戦中・戦後、昭和22年はじめまでの安吾全エッセイから坂口安吾の文学、人生観を最も深く、強く語ったもの、例えば「FARCEに就て」「牧野さんの死」「茶番に寄せて」「日本文化私観」「青春論」「堕落論」「恋愛論」等々、22篇収録。“精神の巨人”坂口安吾の反骨精神横溢する選エッセイ集。
日本文化私観
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2002/05/23 20:08
日本的な美とは?
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投稿者:ぽん太 - この投稿者のレビュー一覧を見る
『日本文化私観』では、一般的に「日本的」であること、「日本の美」と言われるものに対してなぐり込みをかけるような勢いをもって安吾は否定にかかる。そんなものは日本的でも何でもないのだと。確かに一般的に日本的と言われるものに茶道・能・短歌など多くの伝統が挙げられるが、一体どれだけの日本人がそれに実質を感じているだろうか。我々は現に日本人であり、日本人である限りそんなものは必要ではないのだ。「全ては実質の問題だ。」能がなくなろうが短歌がなくなろうが、日本人であることの誇りを失わない限り、日本の実質的伝統は失われない。構造としては乱暴であるが、明確に理論づけられた安吾の主張は、雰囲気ばかりを大切にして「実質」を見失いがちな我々をハッとさせるようなものである。いさぎ良く勢いのある安吾節は読んでいて爽快でさえある。