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生身の暴力論
著者 久田将義
人はなぜ暴力を振るうのか。人を殺すと眠くなるというのはどういうことなのか。暴力団、関東連合、ヤクザ、暴走族……アウトローたちの取材を重ねてきた著者ならではの暴力論。新時代の暴力としてネット上での言葉の暴力や動画公開が増えている現状、「1980年代型殺人事件」としての「川崎市中学生殺人事件」など、さまざまな角度から、今そこにあるリアルな「暴力」について論ずる。(講談社現代新書)
生身の暴力論
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紙の本生身の暴力論
2015/10/11 18:13
暴力について考えるのはしんどい、けど。
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投稿者:朝に道を聞かば夕に死すとも。かなり。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
プロフィールを見て「怖い人なのかしら?」って思っていたが、文体を読む限りはそうでもなさそうだったので、とりあえずホッとした。
ネット上では皮膚感覚としての暴力性は感じにくいが、かつてジェイコブスが触れた「統治の倫理」を思われる空間が特に政治臭の強いコミュニティには見て取れる。
私たちはそれを「バカだな」とか言いつつ、野次馬としてそれを消費していることに気づく。強さとは何か?において筆者は「何かあった時、一人で動ける人間は強い」とする。
「仁義なき戦い」の「追われる者より追う者の方が強い」っていう論理を持つ人がこの世の中にはいる。
本書では、人間の悪の部分の描写が息づいている。凶悪事件が発生したら、個人の問題に矮小化したり、犯人と共通項が多いと、秋葉原事件のように「社会の問題なのかしら?」って考え、「理知的にわかりやすい解答」を我々は求めがちである。
暴力の衝動に駆られる弾の入った状態の人は大勢いる。筆者は自己の体験や、直近の事例をあげ、その背景や原因、対策を考える。
私たちが感情にまかせて悪い事をしたとする。そこに原因を求められても、うまく答えられない。社会のせい(外的要因)、自分のせい(内的要因)、いろいろあるだろう。
原因は一つではなく、さまざまな因子に濃淡がある。単純な理解は、被害者を二重に苦しめる。「だからこそ」という思いがひょっとしたら筆者にあったのではないだろうか?
リアルな身体性を伴わない暴力を排除した今、何が起こっているのか?を知りたい人にはおススメです。