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34件
風の歌を聴け
著者 村上春樹
「あらゆるものは通り過ぎる。誰にもそれを捉えることはできない。僕たちはそんな風に生きている」1970年8月、帰省した海辺の街。大学生の〈僕〉は、行きつけのバーで地元の友人〈鼠〉と語り明かし、女の子と知り合い、そして夏の終わりを迎える。過ぎ去りつつある青春の残照を鋭敏にとらえ群像新人賞を受賞した、村上春樹のデビュー作にして「初期三部作」第一作。
風の歌を聴け
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風の歌を聴け
2008/04/29 12:34
優しさは、ときに人を傷つけてしまう。
14人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ろでむ - この投稿者のレビュー一覧を見る
完璧な文章などといったものは存在しない。
完璧な絶望が存在しないようにね。
これほど引き込まれる出だしに出会ったことはない。
村上春樹氏の処女作「風の歌を聴け」の第一文だ。
あらすじは、ウィキペディア でも参照してもらえればよい。
僕が語ることでもない。
僕と、この小説の主人公「僕」は、似ている部分が多いなと感じた。
相手を否定しないという点だ。
ただ、この小説でも描かれているように、
相手を否定しない=相手を受け入れる
のとは意味合いが異なる。
優しさは、ときには武器になる。
相手を傷つけてしまう。
”優しさ”という道具は、扱うのが難しい。
道具とは得てしてそういうものだということが、わかる一冊だろう。
≪以下抜粋≫
・正直になろうとすればするほど、正確な言葉は闇の奥深くへと
沈みこんでいく。
・もしあなたが芸術や文学を求めているのならギリシャ人の書いた
ものを読めばいい
・「何故そう思うの?」「うーん」
答えなどなかった。
・「ねぇ、私っていくつに見える?」
「28。」
「嘘つきねぇ。」
「26。」
女は笑った。
・優れた知性とは二つの対立する概念を同時に抱きながら、
その機能を充分に発揮していくことができる。
・「・・・ねぇ、いろんな嫌な目にあったわ。」
「わかるよ」
・「冷たいワインと暖かい心」
・「何故いつも訊ねられるまで何も言わないの?」
・彼女は彼女にとってふさわしいだけの美人ではなかった
・巨大さってのは時々ね、物事の本質を全く別のものに変えちまう。
風の歌を聴け
2008/05/29 20:53
遠い青春、青春の遠さ
10人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:けんいち - この投稿者のレビュー一覧を見る
もはや村上春樹も、中年といってよい年になってしまったけれど、当たり前といえばそうなのだけれど、小説は年をとらない。だから、『風の歌を聴け』は、いつまでもあの時の「青春」をたたえて、そこに、ある。
とはいえ、書かれたその時から、『風の歌を聴け』に描かれた青春は、小説としては新しいものであったにせよ、そのモチーフは、節度ある感傷として遠いものであった。
だから、今や、『風の歌を聴け』がそのままあっても、われわれが時を経てきてしまった以上、それは遠い青春であるばかりでなく、青春の遠さをもあらわし、ますます魅力的な小説に洗練されてきたように思えてくる。
風の歌を聴け
2017/05/01 13:23
村上春樹初期作品について
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:にゃんこ鍋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
一時村上作品にハマっていたが、最近は読んでない。スミマセンッ(笑)特に初期頃の作品この「風の歌を聴け」や「1973年のピンボール」、「ノルウェイの森」、「ダンス・ダンス・ダンス」等が好きで、今でも時々つまみ読みをしても新鮮な気持ちで読むことができる。
冒頭の「完璧な文章などといったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね。」
この言葉がお気に入りですネ。カッコイイね~(^_-)-☆