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精神科にできること 脳の医学、心の治療(講談社現代新書)
  • みんなの評価 5つ星のうち 3.5 1件

電子書籍

精神科にできること 脳の医学、心の治療

著者 著:野村総一郎

治る患者と治らない患者、なぜ差が出るか? 効きめの高い新薬が認可され、検査機器も発達し、精神科の治療は著しく様変わりしている。各疾病のケーススタディから医者と付きあうコツまで、やさしく解説する。(講談社現代新書)

精神科にできること 脳の医学、心の治療

648 (税込)

精神科にできること 脳の医学、心の治療

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みんなのレビュー1件

みんなの評価3.5

評価内訳

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孤独こそ様々な心身症状を生む培地

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:MtVictory - この投稿者のレビュー一覧を見る

 著者は医科大の精神科の先生。現在の日本の精神医学の弱み、限界、将来について語っている。第1章では精神障害、心の病気にまつわる過去から現在に至るまでの歴史や、現在の精神医学の状況などを説明。第2章、第3章では精神障害、心の病気の分類や、それぞれの症状や治療方法などを解説している。
 第4章では現在の日本の精神医学の問題・課題を取り上げ、提言もしている。それらを挙げると以下のようになる:
・精神障害者に対する偏見が彼らを支えにくくしている。人々の真の理解が必要
・医療費の伸びを抑えようとする政府は精神医療は医療費ではなく福祉予算として別に考えるべき(福祉的な面にお金がかかる)
・精神科の看板では偏見があって掛かりにくい(入りにくい)
・精神科の極端に安い医療費。これでは細やかで手作りの医療は実現できない。精神科医を雇う金がない病院は少人数で対応するしかない。過労死寸前。
・医者の実力差。心療内科医には精神科の、精神科医には内科の訓練が必要。バランスのよい研修システムが必要
・病院選び。病院の質を外から評価する方法
 脳科学の進化についても述べられているが、第2章によれば「正常者と言われる人の脳機能にも実は多くの歪みがある」そうで、どこまでが正常で異常かという判断は不可能なようだ。それよりも精神科医にとっては、患者の悩みを解決し、職場や家庭、地域への適応力をどうやって増すかに関心がある、ということだ。だから実は多くの人は異常を抱えていながらも本人は気付いていないだけで、それなりに適応できていると考えれば、ちょっとしたことで適応できなくなる危険・心配があるのと同時に、いつでも復帰もできるのではないかという期待も持てる。
 「普通の人」の定義が曖昧なように、人間は人それぞれであり、そういう違いのある人が社会を構成して、それなりに生活できているのを考えれば、ちょっとこの人は変だな、と思っても自分も変なところがある、とお互いを許せるし、その原因が脳機能のちょっとした歪みだと思えば、お互い様、それも大した問題でないことに気付く。しかし問題が大きくなったときは精神科の出番であり、早期発見・早期治療が大切になる。また周囲の人間も偏見を持たず、正しく病気を理解して、本人が復帰できるように支えていく必要がある。

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