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2009/04/12 17:53
印籠
12人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ヤタガラス - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者は、「法令遵守」「偽装」「隠蔽」「改ざん」「捏造」という言葉が水戸黄門の印籠となって物事が単純化され、前記言葉によって思考停止状態となり、本質が見失われ、一面的な評価となっていることを指摘している。
不二家の問題が紹介されているが、当時私自身は、この程度のことでなぜこれだけ騒ぐのか理解できなかったが、印籠となる言葉を大きく表示してマスメディアの一方的な非難に原因の一端があったのである。その意味で、第6章「思考停止するマスメディア」は、必読の項目と言える。情報を受取る側も、報道を全面的に受入れるのではなく、検証しながら見聞きすることが大事であることを教えてくれた。
著者は、報道が歪むのは、マスメディアが自らの報道に対し、虚偽性を認めることで不利益が生じるシステム、自主的に報道内容を検証して積極的に誤りを認めることが評価されないシステムに大きな原因があるという。
しかし、新聞を見ていると、「法令遵守」「偽装」「隠蔽」「改ざん」「捏造」は、大きな見出しでデカデカとやるが、訂正記事となるとほとんど見えない程度しか出さない。デカデカというまでは必要ないにしても、マスメディアの誤りを認めたくない「態度」という「体質」が問題である。たしかに仕組みも重要であることは異論のないところだが、本質は体質にあるというべきである。
いずれにしても、事件の本質が見え、日本の針路を誤らないためにも考えさせられる良書であることは間違いない。
2009/03/14 10:09
盲目的な規則「遵守」をせまる社会とそこからうみだされる問題の指摘
5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Kana - この投稿者のレビュー一覧を見る
「思考停止」をタイトルにふくむ本が 6 冊はあるが,その意味はさまざまである.この本では法令をはじめとするさまざまな規則をその本来の目的などかんがえずに盲目的に「遵守」しようとすることをさしている.最初にとりあげられている食の「偽装」,「隠蔽」の問題においては,実質的には問題がないにもかかわらず規則を「遵守」していなかった食品企業をマスコミがバッシングし,そのために食品企業のほうもむだをだしても厳格に規則を「遵守」せざるをえなくなっている.著者はさらに,同様の問題が他の業界についても,また司法や行政についても指摘している.
著者はこうした問題の解決策もしめそうとしているが,それは抽象的だったり,すぐに実現できないものだったりしている.問題がおおきいだけに,容易に解決策がしめせるものではないということだろう.それは読者にあたえられた課題である.
2019/07/27 14:42
遵守
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:きりん - この投稿者のレビュー一覧を見る
企業自体に確固とした信念がなくなってしまったのも、相次ぐ不祥事の一因ではあるのでしょう。「法令遵守」に疑問点を感じる方に。