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ゲーデルの哲学 不完全性定理と神の存在論(講談社現代新書)
  • みんなの評価 5つ星のうち 4.4 4件

電子書籍

ゲーデルの哲学 不完全性定理と神の存在論

著者 著:高橋昌一郎

不完性定理を証明した天才の全体像とは。人間の理性に限界があることを示したゲーデルは、後年、神の存在を論理的に証明してみせた。孤高の人が到達した哲学的境地とはどのようなものか、初めて明かす。(講談社現代新書)

ゲーデルの哲学 不完全性定理と神の存在論

648 (税込)

ゲーデルの哲学 不完全性定理と神の存在論

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評価内訳

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ゲーデルという人物

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:simplegg - この投稿者のレビュー一覧を見る

本書は,ゲーデルの生き方,考え方そのものを考察する本である.
ゲーデルの生涯,ゲーデルの残した多くの文献を丁寧に読み解き,積み重ねることでその人物に迫っている.ちなみにクルト・ゲーデルは,20世紀最高の知性といわれるジョン・フォイ・ノイマンをして天才と言わしめた人物である.

ゲーデルの不完全性定理を紹介する本は多い中,ゲーデル自身について書かれた本は極めて少ない.ゲーデルという人物が広く社会に出て活躍したというよりは,内に多くを抱える人物だったことが,
それを困難にしているのだろう.

ゲーデルは天才であり,多くの天才同様奇人であった.例えば,ゲーデルはアメリカの市民権を取得する際の口答試験にむけて,アメリカの憲法を一からすべて勉強した.そしてその過程で,この憲法を持つアメリカが合法的に独裁国家に移行する可能性を発見したと言っている.ここにからも,執拗なまでの生真面目さ,常に物事を追求する姿勢が垣間見え,常識を超えた人物像が浮かび上がってくる.

ゲーデルの人生を見ていると,もっとうまく生きられなかったのだろうかと少し悲しくなる.もちろん,そう思うこと自体,自分が凡人であることの証明になるのだろうが,それにしても精神に異常をきたし,死へと向かっていくゲーデルは痛々しい.物事を追求しすぎるゆえに生じる苦悩というのか.

こういう世界において成果が大きくクローズアップされるのは当然だが,時にその成果を生み出した人物について思いをめぐらせてみるのも大事なんだろうなと思う.とても直接的に自分の人生の参考になるものじゃないけど,当然読みながら自分の生き方も意識する機会にもなるし,間接的には何かしらの意味をもたらすだろうから.

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ゲーデルが「無門関」に出てきたらどうなるだろうか?

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:くにたち蟄居日記 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 ゲーデル関係を読むのは本書が初めてである。

 まず彼の不完全性理論に関しては 流石に 全くの素人であるので よくわかりましたとは到底言い難い。いや ほとんどよく解らなかったという方が正直なところだ。但し著者が「パズル」で説明しようとしているおかげで 雰囲気は感じた。おそらく 本書を初めて読んだものとしては そんなところで良いのだと思う。そこから先はまた自分で 今後どのように読んでいくのか、もしくは そもそも今後もゲーデルに関して読んでいくのかどうかも含めて自分で考えることなのだ。

 二点目として 哲学と数学の境界線に触れた点に大変興味を感じた。アインシュタインと ウィトゲンシュタインが 同じ地平線の上に出てきている「知」の世界を 遠くから眺めた思いである。そもそも 哲学とは 世の中の成り立ちを探究する学問だと定義するなら ある意味で当然のことなのかもしれない。

 最後にゲーデルが「神」を扱った点が面白かった。神を「論理」で実在の有無を考えていくという作業には 無類の興味と ある種の不毛を感じたからだ。
 ここで 僕が「不毛」と言う「不遜さ」はあると僕自身は思う。但し 現代の宗教を起因とする様々な人間の歪みを見るにつけて 「神」を論理的に考えていくことが どこまで意味があるのかが 僕には見えないからだ。
 たとえば ゲーデルが 「無門関」に登場したらどうなるのかを考えても楽しい。おそらくは一喝されるだけだろうから。但し もしかしたらゲーデルも「公案」には大いに興味も示すかもしれない。

 ということで 非常に興味深い読書にはなった。このような読まれ方をすることが著者の意図とは思えないのだが

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ゲーデル入門の最良の一冊

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:優樹O - この投稿者のレビュー一覧を見る

 自然科学において20世紀の大理論はたくさんあれどパラダイムの大変革といえる理論は数少ない。アインシュタインの相対性理論もその一つだが、そのアインシュタインの親友でありアイストテレス論理学以来の大発見をしたのはこのゲーデルである。

 人類史上アリストテレスと肩を並べる唯一の論理学者と言われるゲーデルは名だたる天才達に「自分を天才と呼ぶな。天才とはゲーデルのことだ」と言わしめたエピソードでも分かるようにズバ抜けた天才と言われている。

 しかし相対性理論の偉大さが証明から1世紀近く経っても一般に「まったく」理解されていないのと同様に彼の業績も誤解され矮小化されて「理解」されている。本書はそのような現状をふまえつつゲーデルの生い立ちから不完全性定理証明に至るまでの学問的背景、そして完全性定理の意味と意義が分かるように丁寧に説明されている。

 詳しい不完全性定理の内容は本書を読んで欲しいがこれを読んでつくづく思うのが物理や数学などの20世紀自然科学は19世紀前の「哲学」や「神学」の領域にどっぷり使った学問なんだと言うことだ。そして20世紀のの「哲学」や「神学」は自然科学に完全に置いていかれたんだと。「神」や「自分」の証明とかと同列に発展してるんだよなあ自然科学は。哲学者の皆さんもっと数学・物理を勉強しましょう。

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Sowhat?

2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:オリオン - この投稿者のレビュー一覧を見る

 「不完全性定理と神の証明」という副題に興味を覚えて読んでみた。著者によると、ゲーデルの「神の存在論的証明」(1970年)は次のように単純化できるという。

《神性Gは、肯定的性質である。ゲーデルの様相論理体系においては、任意の肯定的性質Pに対して、Pを持つ対象が少なくとも一つ存在する可能性が導かれる。したがって、神性Gを所有する対象xが少なくとも一つ存在する可能性がある。この結果に定理2[略]を適用すると、Gを所有する対象xが、少なくとも一つ必然的に存在する。さらに、定理1[略]と定義2[略]により、その対象xは、Gを唯一持つ対象である。ゆえに、唯一の神が存在する。》

 ──しかし、それが無矛盾であったとしても「So what?」。むしろ面白かったのは、第3章「不完全性定理の哲学的帰結」で述べられているゲーデルの「数学的実在論」の方だった。

 付記。高橋氏が本書第3章で紹介しているゲーデルのギブス講演(1951年)やカルナップ記念論文集に投稿する予定だった哲学的論文は、ロドリゲス−コンスエグラ編『ゲーデル未刊哲学論稿』(好田順治訳,青土社)に掲載されている。(本箱で眠ったまま。いつか読まねば。)

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