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享徳の乱 中世東国の「三十年戦争」
著者 峰岸 純夫
戦国時代は「応仁・文明の乱」より13年早く、関東から始まった――。 享徳3年(1454)、古河公方と上杉氏の対立に始まる仁義なき抗争。以降30年近くにわたる戦乱を著者は、「享徳の乱」と称すべきと学界に提唱した。本書はこの用語をメインタイトルとし、「戦国時代の開始=応仁の乱」という根強い「国民的常識」を正さんとする著者年来の宿願である。
享徳の乱 中世東国の「三十年戦争」
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2017/10/22 17:38
長期抗争
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Freiheit - この投稿者のレビュー一覧を見る
内乱によって足利氏と上杉氏による関東を二分する長期抗争となり、その実態は京都と関東の二大権力による抗争であることが分かる。今までの常識について楔を打つ本である。
2017/10/20 14:17
入門書に最適
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:匿名 - この投稿者のレビュー一覧を見る
高校教科書にも載るが、知名度が低く取っ付きづらい享徳の乱。それを中世史の大家が分かりやすく紹介したのが本書である。
文字の大きさや年表なども読みやすく考慮されており、入門書に最適。比較的初学者向けの内容なので、物足りなさを感じた方は参考文献へと進んでいくといいだろう。
前書きなどで度々触れられる『応仁の乱-戦国時代を生んだ大乱』と併せて読むのも良い。ちなみに、本書では乱の流れを紹介しながら特定の人物に注目するという『応仁の乱-戦国時代を生んだ大乱』と同様の手段が取られている。
マイナーな大乱への入門が、命名者自らの筆で誠実で手軽な一冊になったことを感謝したい。
2024/04/08 12:58
足利幕府・関東管領と鎌倉(古河)公方との争いの歴史
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:パミチ - この投稿者のレビュー一覧を見る
戦国時代の始まりは、一般的には応仁元年(1467年)に始まる「応仁・文明の乱」が画期とされることが多い。しかしながら著者は、「戦国時代は応仁・文明の乱より13年早く関東から始まった。」、「応仁・文明の乱は関東の大乱が波及して起きたものである。」と言う。その自説の根拠を詳しく説明しているのが本書である。日本史の授業では室町時代の関東の内乱については全くと言っていいほど学習する機会がない。本書を読むと室町時代は鎌倉(古河)公方対足利幕府・関東管領との争いの歴史であったことがよくわかる。北山文化・東山文化とは又違った室町時代が見えてくる。
2020/03/04 10:49
全く知らなかった享徳の乱
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:姫路ねこ研究所 - この投稿者のレビュー一覧を見る
応仁の乱と時を同じくして、鎌倉公方と関東管領が対立。関東を二分する大乱が繰り広げられた。それが享徳の乱。さて、その実態はいかに??
私の高校時代にはまったく習わなかったこの享徳の乱、当時の関東の事情も含めて、発生した背景も分かりやすく書いてくれている。鎌倉公方と関東管領という支配層だけでなく、新田岩松氏という国人衆も取り上げて当時の関東事情も合わせて説明している。
享徳の乱自体は出てくる人物像がよく見えないことや、乱が終わっても既存の価値は大きく変わらなかったことから、何というか、地味。しかし、鎌倉公方がこののち関東の一部の実効支配を果たし、戦国大名の奔りとなったことが本書でよくわかった。研究が進めば、もっと魅力ある分野になるかもしれない。
2017/10/14 19:52
前半部分までは最高、後半は副読本がほしい
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:読者 - この投稿者のレビュー一覧を見る
これまでなかなか無かった、関東室町時代の本。
大変分かりやすくまとめられており、また、文中の用語なども、要所要所に丁寧な解説が入る。
全く知られていない室町時代部分から、一般的に知られている戦国時代へと、どう繋がるのかまでをカバーしており、入門書としてとても良い。
気になるのは、中盤、都鄙和睦以降の内容が、近年発売されている他社の同時代の本と比べると、どうしても情報量が少なく、少し枯れた内容に思えてしまう。入門書ゆえの制約かもしれない。
この本を読んで興味の出た方は、副読本に戎光祥出版の中世武士選書の『長尾景仲』『上杉顕定』『上杉憲政』が良い気がする。