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花と火の帝(講談社文庫)
  • みんなの評価 5つ星のうち 3.7 4件

電子書籍

花と火の帝

著者 隆慶一郎

後水尾天皇は16歳の若さで即位するが、徳川幕府の圧力で2代将軍秀忠の娘、和子(まさこ)を皇后とすることを余儀なくされる。「鬼の子孫」八瀬童子の流れをくむ岩介ら“天皇の隠密”とともに、帝は権力に屈せず、自由を求めて、幕府の強大な権力と闘う決意をする……著者の絶筆となった、構想宏大な伝奇ロマン大作。

花と火の帝(上)

700 (税込)

花と火の帝(上)

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みんなのレビュー4件

みんなの評価3.7

評価内訳

  • 星 5 (0件)
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  • 星 3 (1件)
  • 星 2 (0件)
  • 星 1 (0件)

紙の本花と火の帝 下

2015/09/13 10:48

壮大な隆慶一郎伝奇ロマン、未完にしてここに完結

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Otto - この投稿者のレビュー一覧を見る

隆慶一郎氏の絶筆となった本作。

もう氏の美しい作品が新しく生み出されることがないと
思うと寂しい限りです。

大人も楽しめる伝奇ロマンというジャンルを切り開いた
氏の功績に思いを馳せつつ名残惜しく読み終えました。

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紙の本花と火の帝 上

2015/09/13 10:39

隆慶一郎節の真骨頂

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Otto - この投稿者のレビュー一覧を見る

隆慶一郎最晩年の作品ですから、その見事な文体に
ただただ引き込まれるように読み進めます。
未完の佳作ですが、是非下巻ともどもお読みいただ
きたい一作です。

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紙の本花と火の帝 上

2001/09/03 04:51

大人向けドラゴンボール?

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ストラ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 この本については後水尾天皇や八瀬童子の描写、朝鮮に呪術研修の本部を求める世界史的視野など、時代小説として興味深い要素がふんだんに盛り込まれているが、ここで言いたいのは全体の構成についてのたった一つのことだけだ。
 これは非常によくできた、大人向けのドラゴンボールではないか、と思うのだ。主人公の八瀬童子・岩介が次々にやって来る敵と、体術と呪術を駆使して闘うのがこの物語の縦糸なのだが、猿飛佐助に始まって、兵左衛門、東伯、真人と、毎度毎度、今度の敵はいままでとは比べものにならないほど強力だ、という文句が繰り返される。この競り上げのような闘いの連鎖は『ドラゴンボール』その他の格闘マンガの魅力を生み出してきたものだ。
 そのうえ、闘いの後、相手が岩介と和解し、味方になるというところまでそっくりである。そういえば『一夢庵風流記』が『花の慶次』になったように、著者の作品はマンガと親近性が強い。
 話を戻すと、最後に出てくるのは、一切の理性をもたないクモ男(フリーザとかセルのようなもの?)なのだが、残念ながらこの闘いの結末は知らされていない。作者の急逝によって未完なのである。物語の横糸である、武力を捨て、文化芸術の道を歩くことに決めた上皇の描写とあわせて、たいへん惜しまれる。

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紙の本花と火の帝 上

2008/05/09 00:45

歴史の伏流を多層的に取り出してみせた活劇

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:SlowBird - この投稿者のレビュー一覧を見る

未完に終わっているのが実に惜しい作品。江戸時代初期の後水尾天皇・上皇にスポットを当てたところがイカしてる。これを読んでも、このヒト、特に政治的に何したわけでもなさそうなのだが、一応は後醍醐天皇の親政を理想にしていたにしても徳川の強大な武力の前には実現不可能なのは明白。実は特筆すべきは、当時の文化人・芸能人サロンをこさえて、パトロン的な存在として芸能の振興に寄与したんです。
順序としては、徳川幕藩体制の確立とともに、大阪の役やらいろいろ経て、天皇の影響力にも徐々に制限が加えられていき、武家にできないが天皇に出来ることとして文化的な求心力を求めるというのが本作の展開。そしてその天皇を支えるのが「天皇の隠密」であり、力関係においては苦境にありながら、幕府に対抗して様々に活躍する。この全体の背景、歴史観には、細野網彦による庶民と天皇の結びつきについての考察があるのだが、そこで示唆される「天皇制の持つ魔術的な力」とでも言うべきものを、「天皇の持つ魔術の力」と読み替えてしまっているだろうところが痛快だ。田舎侍どもには感じられない、しかし民衆は知っている。隠密の超人的な能力も、巨力の支流に過ぎないのだ。
なんのかんの言って、天皇が日本の歴史の大きな柱であったことには違いないだろう。それは民衆の心を共振させる装置でもあった。その柱、そして民衆を支えるためだから、隠密達は苦しい戦いにも赴くことが出来る。それが郷愁だとしても、滅び行くものの美しさだとしても、胸を打つ。
そうして徳川方は、柳生一族を始めとして、次々と工作員を送り込んでくる。その妖しさは段々エスカレートし、世界的な広がりを持つようになってくる。ちょっとこれが延々と続きすぎて食傷気味になり、いよいよ後水尾の新しい構想が動き出すか、というところでちょん切れてる。うーん、これからいいところなんだよぉ。ここまでで上下2巻なのも長過ぎかもしれない。とにかく作者が没されたのは残念無念です。脇役的な登場人物も、猿飛佐助などいい具合にケレンだし、天皇の味方となる関白や、家康の身辺の動きなど、うまく史実と架空の設定を繋ぎ合わせている(のだと思う、たぶん)。河原者の描写なぞも、今後の伏線として十分に働くはずだったろうと予想する。日本人の情念の依り所と、新しい歴史観に、関西的視点もうまく組み合わせて、賑やかで心地よい空間を作り出していたのだが。

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