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電子書籍

さみしさのレシピ

著者 著:一穂ミチ,イラスト:北上れん

フードスタイリストの卵・知明は、ある雨の日、叔母の夫だという男・慈雨からの電話で叔母の死を知らされる。 墓参り代わりに家を訪ねると、そこで出会った慈雨は、華やかだった叔母とは対照的に、もの憂い翳りを宿していた。 同棲中の彼女に裏切られた知明は、慈雨宅に居候することに。生活を共にするうち、慈雨に心惹かれ始める知明だが…? ふたりぼっちのレイニー・ロマンス、オール書き下ろしで登場。

さみしさのレシピ

税込 616 5pt

さみしさのレシピ

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みんなのレビュー5件

みんなの評価3.7

評価内訳

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  • 星 2 (1件)
  • 星 1 (0件)

紙の本さみしさのレシピ

2010/11/07 21:01

La solitude ne diminue pas

15人中、14人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:はぴえだ - この投稿者のレビュー一覧を見る

あまり言い方はよろしくないが、非常におとなっぽい印象の作品。
この作者の文章は瑞々しさが特徴なのだが、今回は何と言うかアンニュイさをまとっていて、えもいわれぬ雰囲気があった。
具体的に述べてみると、けだるげで、どこか突き放した感じ。
さみしさ、憂鬱さ、雨。微妙な関係、距離。
淡々とした中に、激しさを抱えていて、冷たいように見えて、実は温かさを通り越して熱さがあったりする。
こころを燃やして傷ついていた状態から、ゆっくりと再生していく様が描き出されている。

BLというと、基本的にエンターテイメント的な文章の書き方であったり、ハーレクイン的な文章の書き方が主流のような気がするのだが、一穂さんの文体というのは、主流とは少し違って、なんとなく純文学的な匂いがするのだ。
今作品では、それがより濃く見られ、はっとさせられる文章があちらこちらにちりばめられている。それらは決してきらきらしているものではないのだが、心に突き刺さり、胸を打つのだ。絵空事ではなく、現実的に。

誰しもふと寂しさを感じる瞬間があるし、ひとはみなそれを抱えて生きている。事情はひとそれぞれで、いろんな形がある。
それを肯定的に描いたのが、この作品なのではないかと、私は思うのだ。

まるで違うふたり。けれど実は、どこか似ているふたり。
さみしさが消えることはないのかもしれない。だからこそ、寄り添って生きるのだ。
すこしでもさみしさがうすれるように。ふたりでしあわせになれるように。
お互いのしあわせを願って。

静かで、しっとりとした、けれども熱をもった、レイニー・ロマンス。
BLだからといって、侮るなかれ。こころを揺さぶられる一冊である。

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電子書籍さみしさのレシピ

2018/07/13 21:53

ひとりぼっちのさみしさ

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:あかり - この投稿者のレビュー一覧を見る

結構好き嫌いが分かれる作品みたいですが、私は大好きです。登場人物のさみしい気持ちの描き方に共感できるからかな。一人で生きることのさみしさが丁寧に描かれていると思います。
 一人で生きていくこと、たとえいくら仲のいい友達がいたって、多分家族と呼べるような存在がいないで生きることは結構さみしい。さみしいことは全く悪いことじゃないけど、それに多分四六時中さみしい気持ちを感じ続けて生きていくわけじゃないけど、時々自分が一人で生きていくことのどうしようもない切なさを感じざるを得ないことはある。ネタバレになっちゃうので言えませんが、作品の後半で出てくるセリフがすごく好きです。
 安直にハッピーエンドに向かっていく話じゃないけど、切ない悲しい感じが味わいたい方にはぜひ!おすすめです。

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紙の本さみしさのレシピ

2022/03/04 05:44

さみしい人の話

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:やじやじ - この投稿者のレビュー一覧を見る

ネタバレあり

実はこのタイトルに最初ぐっときた。
「さびしい」でなくて「さみしい」
この作者さんの作品には時々文章のなかにもそういう言葉が現れて
ぐっと何かを掴まれる感じがする。
はっきりこれとかは言えないのだけれど。
一例でいうならば「しごく」の使いどころとか。
あえて文章にすると難しいのですが言葉の力を感じます。

この作品は雨の中でけぶる物語を読んでいるような気分でした。
慈雨という名前のせいばかりではないでしょう。
さみしい心を抱えていた人たちの絡まった話
慈雨は口は悪いですけど、すごいさみしい気持ちが伝わるし
きちんと愛情を感じて育ってこなかった知明もさみしかったんだろうなぁと。
生きている二人はこれから・・・があるけれど
ない実華子さんのさみしさに胸が痛みます。

今はいない実華子さんの存在感がはんぱない。
彼女をはさんでの知明(甥)と慈雨(夫)という関係が
非常にアンバランスで絶妙。
そこに元恋人たち(3人も!)も絶妙に絡んでくる
許せるのか許せないのかの問題ではないのだろうなぁと
恋人を踏みしだいてでも現実をとる(ずるい)人生もあるのだろうと。
(踏みしだかれた方はたまったもんではないけれど)

慈雨の両親のことは理解できる(できるってだけですけど)
でも知明の両親のことはやっぱり理解できないまま終わってしまった。
母の妹に対する激昂は体面を傷つけられたからでしょうが
自分の子供へのその情のなさはどこからくるのか・・・。
でも知明が「自分が何もできない時に育ててくれたこと」を
忘れないでおこうと思う気持ちはさらに酷く切ないです。

そんなさみしい人がしあわぜになるための物語でした。

☆4.5

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電子書籍さみしさのレシピ

2019/01/27 22:20

比較すると

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:かなぶん - この投稿者のレビュー一覧を見る

とても面白く読めたのですが、私が好きな一穂先生作品と比べると、
下かな~となり、☆2です。
好きな作家さんには過度な期待をしてしまいますね・・・

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紙の本さみしさのレシピ

2018/08/31 23:27

繊細なお話

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:沢田 - この投稿者のレビュー一覧を見る

なぜか雨の時期になると読みたくなる。受けの名前が慈雨だからか、クライマックスで雨が降っているからか…。
家庭環境で「さびしい」二人がだんだんと心を近づけていくのが一穂さん独特の繊細な文章でつづられていて、読んでいてとても心地いいです。
慈雨の「ちあきはいいこなの」から始まる実華子の言葉をなぞるところが涙を誘いますね。
皐月、咲彦のキャラ造詣もよく、不愉快な人物の出てこない好きな話の一つです。

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