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電子書籍

ゲド戦記

著者 アーシュラ・K.ル=グウィン作,清水真砂子訳

大魔法使いオジオンに,才能を見出された少年ゲド.自分に並はずれた能力がそなわっていることを知ると,魔法の力にさらに磨きをかけようと,魔法の学院に入る.得意になった彼は禁じられた呪文を唱え,自らの〈影〉を呼び出してしまい,〈影〉との果てしない戦いに引き込まれていくことになる.大賢人ゲドの若き日の物語.

影との戦い ゲド戦記1

税込 792 7pt

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みんなのレビュー19件

みんなの評価4.3

評価内訳

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紙の本ゲド戦記 1 影との戦い

2009/07/09 20:47

このお話をファンタジーっていうくくりで評価してしまったから、いけなかったんだと思います。トールキンの『指輪』はファンタジーでいいけれど、『ゲド』は違う。なんていうか分類を拒否するような話ではないか、そんな気がしてなりません。読み返して良かった一冊。

15人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

私の中でゲド戦記の評価は高くありません。読んだのがいつのことだったか、トールキンの指輪物語はもう30年以上前に読んでいましたが、ゲド戦記はもっとあと。娘が幼稚園に行っている頃に読み、その後、続巻が出版されるたびに読んできたものの、正直、一度として感心したことはありませんでした。それはル=グウィンのSFにも言えて、どうもピンときません。

ル=グウィンは、ともかく難しい。おまけに登場人物に魅力がありません。さらにいえば夢がない。総じて暗い、としか言いようがない。正直、これを「指輪」にならぶファンタジーの傑作、という人の気持ちが分かりませんでした。私にとって、文学というのは苦しむためのものではなく、あくまで楽しむためのもの、なにが『ゲド戦記』よ!とまあ、思ったわけです。

それは最近書かれた『ギフト』三部作でも基本的には変わりません。ただし、『ゲド戦記』と違って私は『ギフト』三部作を楽しんだんです。感情移入しやすい人物が登場するわけではありません。話にしても楽しい終り方をするわけでもない。陰湿なイジメ、嫉妬、レイプだってある。でも、話の展開が気になってドンドン読める。自分が年をとったせいもあるのかもしれません。

そんなとき少年文庫版で、『ゲド戦記』が出るということを知りました。私は書評を書くために内容を確認することはあっても、それ以外はよほどのことがない限り本を読み返すということがありません。時間がない。一度読んだことを忘れての再読は別にして、純粋に再読、再々読をした本といえば20冊あるかどうか。

脱線ついでに書いておけば、多分一番回数が多いのが小栗虫太郎『黒死館殺人事件』、次が横溝正史『本陣殺人事件』『蝶々殺人事件』『獄門島』『八墓村』、半村良『石の血脈』、藤沢周平『用心棒月影抄』、江戸川乱歩の短篇、筒井康隆の諸作とまあ、ミステリ主体で純文学なんてすべて一過性。無論、読み直したいなあとは思います。でも、今を追いかけるほうが忙しい。

でも、です。面白くなければ途中で止めればいい。幸い、次女は『ゲド戦記』の4巻以降は読んでいても、肝心の本編3冊を読んでいません。浪人中の身でもあるし、まだ本格的な受験勉強が始っていない。私が読まなくても、彼女が読むかもしれない。一応、『ギフト』三部作は楽しんだようだし、アニメにもなったんだからきっと読むだろう、って。

幸いなことに私は『ゲド戦記』の内容を全く覚えていません。本も持ちやすそうな版型だし、キレイな本で読み直すっていうのもありかな? そんな気持ちで読み始めたのです。そして以前と同様、難しく、登場人物に感情移入できず、ワクワクするような気持ちになることはなかったものの、だから面白くない、のではなく「それでも面白い」と思いました。

詳細は今後、6冊の評を通じて書いていくことになりますが、これは「指輪」とは全く違った意味でファンタジー(この分類が正しいか疑問ですが)の傑作であることを確信しました。でも、これを子どもが読んで楽しむというのはないだろうなあ、中学生でも無理かもしれなくて本当は社会人にならないと、理解はできないんだろうなあ、と思いました。

カバー後の言葉は

アースシーのゴント島に生
まれた少年ゲドは、自分に
並はずれた力がそなわって
いるのを知り、真の魔法を
学ぶためロークの学院に入
る。進歩は早かった。得意
になったゲドは、禁じられ
た魔法で、自らの〈影〉を呼
び出してしまう。

●中学以上

です。内容はこれだけにして、気になるのは、訳者あとがきで、清水が続巻である『2 こわれた腕輪』『さいはての島へ』の筋を書いてしまっていること。これは以前読んだ時は気にならなかったけれど、こうしてあらためて読めばネタバレだろう、私だってこういうことを書評で書いたら出版社から削除指示がであるのに(実際に、全然ネタバレでもないのにタイトルにクレームがあって書評自体を削除しているものもあります)、岩波のこの寛容ぶりはなんだ?なんて思います。

それ以上気になるのが、少年文庫版によせての

ゲドに真の名前を授けた大賢人の通称オジオンの表記です。ogionは作中でもふれられているように、モミの木になる松かさの実をいい、カタカナ表記ではオギオンとすべきところでした。それを訳者の私は日本語版の初版を出すときに誤って表記、まちがいに気づいたときにはすでにオジオンは、その魅力的な人物像のゆえもあって、日本の大勢の読者の方々に迎え入れられており、私は訂正の機会を逸しました。ようやくお詫びがかなったのは二〇〇四年五月に出版された『ゲド戦記外伝』の「訳者あとがき」においてです。この少年文庫発刊はオギオンに改める絶好の機会だったかもしれません。けれど迷ったあげく、オジオンを踏襲することにいたしました。すでに人格をもって歩き出しているオジオンを亡き者にすることができなかったからです。この本で初めてオジオンに出会われる方には誤りを強いることになりますが「オジオン」を受け容れてやっていただけたらと願っております。

です。巻の編成は作者の要望によって今回改めている、それについては何のためらいもないのに、人の名前も誤りを訂正しないというのは、このゲド戦記そのものの精神を否定することではないのでしょうか。名前を知ることはそのものを知ることであり、名前を明かすことは己を相手に差し出すといってもいい重要なことです。

それを過去への執着から、放置する。それを許してしまう岩波の姿勢にも疑問を感じますが、「初めてオジオンに出会われる方には誤りを強いる」と言って恥じない訳者には、疑問を超えた怒りを覚えます。この本を読んでそだった子供たちが、海外の人とこの本について語り ogion にふれた時、なにが起こるか考えたことがあるでしょうか。

多くの子どもは、今回の本で初めて『ゲド戦記』に触れます。それを考えて欲しい。間違っているけれど親しんでいるから直さない、過去の間違ったものを次世代に押し付ける無神経さと傲慢。正直に告白しましたから許しては、あくまで過去のこと。それは構いません。でもごり押しはいけません。語感としてもオジンのようなオジオンには疑問を感じます。

それにしても、ゲドの傲慢なことといったら、どうでしょう。若さゆえ、と許すにはあまりに彼の言動は愚かで思慮に欠けます。そういう点では、まだ新作『ギフト』三部作の登場人物たちのほうが大人というか、地に足がついている気がしてなりません。こういうゲドの設定が、このゲド戦記のあり方を変えていくのですが、それは作者も読者にもこの時点では想像もできなかったわけで、文学が生き物であるということがよくわかります。

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紙の本ゲド戦記 5 ドラゴンフライ

2009/09/09 19:49

本編とは切り離して読める中短編集です。どれも重いテーマを扱っていますが、話そのものはファンタジー風で、本編よりは手軽です。何度でも読み返せる点が魅力かも・・・

7人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

以前、『ゲド戦記外伝』としてでていたものを、作品の発表時期から判断して、本編に組み込み今まで第5巻であった『アースシーの風』と順番を入れ替え、あらたに第5巻にしたものです。先に結論を書いてしまいますが、『アースシーの風』を読み終わると今回の選択が失敗であったことが良くわかります。

むしろ巻番号を外して、単純に外伝としていつ読んでもいい、極論をいえば最初に読んでも構わない、なんて思います。今回の少年文庫版での判断としては、「オギオン」となるべきものを過去の経緯から「オジオン」のままとしたことと、この第5巻への組み込みは、単に翻訳者一個人のメンツや思いつきでなされたもので、『ゲド戦記』にとっては不幸な選択だったと言えます。

ちなみに、特に表題作は「『アースシーの風』と深いかかわりがあり、先に書かれたこちらを読むと理解が早い」といった解説をしているネット書店もあるようですが、理解を早くするだけならば解説書やアニメをみたり、最終巻から読めばいいので、そういう説明は読書を楽しむものにとって一顧だにする価値のないものです。出版文化の発信者としてもっと考えた文を書いて欲しかった・・・

で、作品は本編とは独立したものなので、手軽に読めるといったメリットがあります。ただし、この本を入口にして『ゲド戦記』の世界に入っていこうというのは、難しいかもしれません。本編5巻『影との戦い』『こわれた腕環』『さいはての島へ』『帰還』『アースシーの風』の世界は、時間、空間が大きく変わるものでかなりの読書経験がないと途中で挫折すると思います。

内容紹介は、カバー後の案内を借りれば

ある少女が、自分の持つ力
をつきとめるため、大賢人
不在の魔法の学院ロークを
訪れる。表題作を含む、ア
ースシー世界を鮮やかに映
し出す五つの物語と、作者
自身による詳細な解説を収
録する。

『ゲド戦記外伝』を改題
●中学生以上

とあっさりとしたものです。目次に従って5篇をもう少しこまかく紹介すれば

・カワウソ:ハブナーの港の造船所で働く船大工の息子がみせた力は、海賊と魔法使いの目を惹き、魔実をかけられ魔法使いのために王を探す手伝いをすることになるが・・・

・ダークローズとダイヤモンド:金持ちの商人の息子ダイヤモンドは魔法使いの娘ローズと仲良し。あるひ、息子のもつ魔法の力を認めた父親は子供を魔法使いのもとに預けるが・・・

・地の骨:魔法使いダルスのもとに現れた少年は、彼のもとで学びたいという。それがダルスと一級の職人ダンマリとの出会いだった。忙しいダルスはなぜかダンマリが気に入って・・・

・湿原で:酒飲みの弟と暮らすメグミのもとに現れたみすぼらしい身なりの美しい男オタクは、この地方の病気に罹った動物をなおしたいと言って、彼女の家に宿泊をするが・・・

・ドラゴンフライ:没落した地主アイリアの娘ドラゴンフライは酒びたりの父親の反対を押し切り密かに魔女から名前を付けてもらい、その後ゾウゲという男に出会う・・・

となり、さらにこの本の目玉ともいえるアースシーの世界観について、文化や歴史、伝説などの、作者による「アースシー解説」、訳者あとがき、少年文庫版によせてがつきます。カバー画はデイビット・ワイヤットです。

どの話も密度が濃く、テーマ性が強いものなので甲乙つけがたいのですが、私は「湿原で」が好きです。ある意味、もっとも神話的というか、奥が深い気がします。次は「地の骨」と「ドラゴンフライ」。本編の理解を助ける上では後者に軍配をあげますが、話としてはオーソドックスな前者、いい勝負でしょう。

それと「アースシー解説」ですが、いろいろ組み替えるなら、これこそ本編の最終巻である『アースシーの風』の巻末につけたほうが親切ではなかったのかと思います。それと地図です。巻頭に地図は分かるのですが、この解説をよく理解するためにも、ここに再掲したほうが良かったのではないでしょうか。あるいは地図だけは別紙にしていつでも見ることができるようにするとか。

それと、表題作「ドラゴンフライ」は、このお話が日本で2004年に初めて訳出され『ゲド戦記外伝』として出た時は、「トンボ」というタイトルでした。別の話ではありませんので、一応、断っておきます。

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紙の本ゲド戦記 2 こわれた腕環

2009/08/06 19:20

一巻とは打って変わって、この巻では舞台が地下になります。そして、ゲドとならんでシリーズの核となるあらたな人物が登場します。また、展開はゆっくりとなり神話の影が濃密になります。

6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

少年文庫版が出たのを機に、再読を始めたゲド戦記、第2巻のカバー後の案内は

ゲドが〈影〉と戦ってから数
年後、アースシーの世界で
は、島々の間に争いが絶え
ない。ゲドは、平和をもた
らす力をもつエレス・アク
ベの腕環を求めて、アチュ
アンの墓所へおもむき、暗
黒の地下迷宮を守る大巫女
の少女アルハと出会う。

●中学以上

です。第一巻『影との戦い』に比べると、全体は極めて地味です。動きは殆どない、といってもいいくらいで、それが後半になってやっと動く、そういうものです。これは神話世界に由来を持つ話で、よくル=グウィンについて文化人類学に造詣が深い、といわれますが、それがストレートに出たのがこの巻といっていいでしょう。

そして、この巻を期に全体の主役がゲドからアルハ、というかテナーになっていくらしいのですが、それはあくまで予感に過ぎません。私は全6巻を過去に読んではいますが、前はポツポツと時間をおいて読んでいたので、そういう構造的な変化をうまく把握できていませんでした。

この巻でいえば、確かにゲドの影は薄くなります。だって、彼が登場するのは話が半分ほど進んでからなんです。だから、ごく当たり前に第一巻の延長としてこの話を読んだ人は、ゲドの名前が見える第6章になるまでは首をひねることでしょう。とはいえ、壁画の間でのアルハと囚われの男との会話に漂う緊張感に、男と女、大人と子供、文明と未開とといった新たな物語要素の展開を感じて思わず先を読み進んでしまう、そういうお話です。

それにしても、アルハがゲドに寄せる思いというのが、単なる恋愛感情ではない、すくなくともこの巻では、自分がなぜこの男を殺さず生かしておこうとするのか、というのが判然としないまま物語が展開するというのが、いかにもリアルです。そこらが、そういう話をあっさりと男女関係にしてしまう俗なファンタジーと一線を画しているところと言えそうです。

それとエレス・アクベの腕環です。このシリーズだけではなく、ル=グウィンの多くの著作に言えることですが、彼女はとことん説明をしてしまう、ということがありません。なぜ、こういう話になったのか、といった基本的なところを案外あっさりと書きます。正直、私などはこの腕環の由来をきちんと書ける自信がありません。

むしろ、ル=グウィンはそれをよしとしているところがあります。ですから、最後まで読んで腑に落ちるかというと、必ずしもそうではありません。なぜ? どうして? そういう気持ちを抱かせる、読者が自分で考え自分たちの手でいく通りもの話を編み上げるのを待っている、そういう感すらあります。そこが『指輪物語』とが大きく異なりますし、私が安易にゲド戦記より指輪のほうを高く評価してしまった所以でもあります。

今回は少年文庫になって続けて読むことができるので、全部読み終わったときには、テナーの扱いも含めて、もっと別の理解と評価ができるのではと期待しています。正統的な解釈は訳者の清水真砂子が、あとがきで詳細に書いていますので、読んでみてください。ただし、あとがきは少年文庫版用に書き直された部分は少なくて、旧版のものがメインです。

清水が予感したテナーが中心になっていくという話の流れのありかたと、原作の出版当時アメリカで起きた女性運動が関係しているというのは、以前から言われていることですが、少年文庫の対象読者である少年少女には、少し情報不足の感がします。折角の少年文庫版なのですから、この作品が書かれた時代も含め、もっと丁寧に説明してほしいと思います。

ちなみに、神話のなかでも神殿や迷宮、地下道が好きな私にとって、今回のお話の舞台はまさにうってつけのものでした。子供もこういう場所が好きなんです。胎内回帰願望というのは絶対にある、私はそう思いますし、今回もそれを確信しました。そういう方には、話はまったく違うのですが、久生十蘭『地底獣国』や横溝正史『八つ墓村』をお薦めしておきます。

最後に、参考としてこの巻の目次を写しておきます。

プロローグ
1 喰らわれし者
2 石垣
3 囚われの者たち
4 夢と物語
5 地下のあかり
6 捕われた男
7 大宝庫
8 名まえ
9 エレス・アクベの腕環
10 闇の怒り
11 西方の山
12 航海
訳者あとがき
  少年文庫版によせて

  さし絵 ゲイル・ギャラティ

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紙の本ゲド戦記 4 帰還

2009/08/18 19:44

作品が社会の反映であることはファンタジーでも変わることはありません。そしてこの作品が生まれた背景にはフェミニズムの運動があった。でも、私が感心するのはそれが今までの話と溶け合って自然で大きな流れになっていることです。

5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

1972年に三巻で完結したと言われていた『ゲド戦記』ですが、1990年に突然続巻としてこの本が出ました。そのとき、初めて私はこのシリーズを読み始めたのですが、これがさらに2001年出版の『アースシーの風』『ドラゴンフライ』に繋がって行くとは著者以外の誰も予想していなかったのではないでしょうか。

私もその一人で、これで終ったと思い、そうであればやはり完成度としてトールキン『指輪物語』には敵わないなあ、と結論付けました。今回の少年文庫版での読み直しは、最終巻まで通して読むことでその第一印象が正しかったかどうかを検証するためのものです。早速カバー後の案内文ですが

ゴント島で一人暮らすテナー
は、魔法の力を使い果た
したゲドと再会する。大や
けどを負った少女も加わっ
た共同生活がはじまり、そ
れぞれの過去がこだましあ
う。やがて三人は、領主の
館をめぐる陰謀に巻き込ま
れるが……。

●中学生以上

となっていて、カバー画・地図はマーガレット・チョドス=アーヴィンが担当しています。

この巻ではテルー(テハヌー)という少女が重要です。ゴハの暮らす村の近くの川原で野宿していた宿無したちが姿を消した時、半分焚き火の中に放り込まれ、目も頬も火に焼かれ、ケロイドになってしまった子どもです。火傷については繰りかえし記述されますが、レイプもされたとも書かれています。彼女の年齢はあまりはっきり書かれることはありませんが、幼児に対する性的虐待が米国で日常化していたことの反映でしょう。

最近では、日本でも幼児ポルノが規制される動きがあって、理解されやすい状況になっていますが、1990年に出たときはル=グウィンの表現の仕方もあって案外あっさりと読み過ごしてしまったかもしれません。ただ、彼女の存在と、求心力を失ったロークの賢人会議の様子は、既刊でも明るいとはいえなかった話全体に影を落とします。

『こわれた腕環』では少女だったアルハは、ル・アルビの大魔法使いオジオンの養女になり、その後、中谷で農園をやっていたヒウチイシのもとに嫁ぎ、ゴハとなってヒバナとリンゴの二児をもうけました。その夫も今は亡く、子ども二人も既に家をでているので、彼女は農園の主となって一人暮らしをしています。テルーを引き取って育てることになりのがゴハことテナーです。

そして、テナーは、己の死を予感した養父であるオジオンによってゴント呼ばれます。ハイタカの帰りを待っていたオジオンは、しかし自分の弟子が戻ってくる前に亡くなり、テナーによって埋葬され死後、アイハルと呼ばれようになります。そんなところに病を得たハイタカが帰ってきます。

オジオンの弟子で、ナナカマドの杖を持って、西に向かって行き、セリダーから竜のカレシンの背に乗って戻って来たロークの大賢人ハイタカことゲドは、病を得ていましたが、テナーとコケばばの看護で、元気になります。しかし、彼は自分の魔法使いとしての力は失せたいいます。

自分は魔法使いでもなんでもないというゲドの言葉を受けて、ロークでは新しい大賢人を選ぶ会議が開かれ、そのメンバーである呼び出しの長トリオンの変わりも決めることになりますが、ゲドという中心を失った会議は、何一つ合意に達しません。候補の名前すらあがらない会議で、突然様式の長が誰もわからないカルガド語で言いったのが『ゴントの女』の一言です。

一方、ゲドを死の世界から生の世界に連れ帰ったエンラッドのアレンことレバンネンは、秋の終りに戴冠式を控えていて、その式の折には友である大賢人から冠を授けていただきたい、とゲドを招待するために、自らゴントを尋ね、テナーに出会います。テハヌーを執拗に付け狙う男たち。

その間にも、世界から魔法の力は失われ、混沌が蔓延し、女性は女であるという、それだけで男たちから軽蔑され虐げられる。海には海賊たちが横行し、王の船団と争いを繰り広げていきます。この世界でゲドは、テナーは、テハヌーは、そしてレバンネンはどのような役割を担っているのでしょう。ゲドの帰還は、この世界に再び秩序をもたらすことになるのでしょうか。

最後に、目次を写しておきます。

1 できごと
2 ハヤブサの巣へ
3 オジオン
4 カレシン
5 好転
6 悪化
7 ネズミ
8 タカ
9 ことばを探す
10 イルカ号
11 わが家
12 冬
13 賢人
14 テハヌー
  訳者あとがき
  少年文庫版によせて

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紙の本ゲド戦記 3 さいはての島へ

2009/08/11 19:05

今だからこそ言えるんですが、確かにこの巻でお話は終わっていませんよね。それでも著者以外はみんなこれで完結したと思っていた。『指輪物語』と比べれば、そこでの差は大きかった。でも、話が大きくなるのはこれからなんです・・・

5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

岩波少年文庫に入ったのを機に読み返し始めた『ゲド戦記』の第三巻です。あの、つまらないことなんですが「岩波少年文庫」っていう名前って、女性たちから苦情はないんでしょうか? 「少年」である必要はないですよね。私は「看護婦」を「看護士」に呼びかえることは不自然だと思っていますが(「看護婦」「看護夫」でいいじゃないですか)、この「少年文庫」についてはカツンときます。ま、フェミニズムと密接な関係をもった『ゲド戦記』だからこそ余計思うんですが・・・

カバー後の案内は、

ゲドのもとに、ある国の王
子が知らせをもってきた。
魔法の力が衰え、人々は無
気力になり、死の訪れを待
っているようだという。い
ったい何者のしわざか。ゲ
ドと王子は敵を求めて旅立
つが、その正体はわからな
い。ゲドは覚悟を決める。
 
●中学以上

となっていて、さし絵はゲイル・ギャラティです。話の背景は、訳者あとがきに要領よくまとめてあります。テナーとゲドの働きで、エレス・アクベの腕環がひとつにつながって以来平和の続いていたアースシーのあちこちに災いの兆しが見え始め、悪い知らせがつぎつぎと賢人の島ロークにも入ってきます。また、ハブナーの玉座はすでに八百年もからのままで、人々はアースシー全土を統治する真の王たるにふさわしい王の出現を待ち焦がれている、そういう背景があります。

この巻では、再びゲドが話の中心に戻って来ます。ただし、もっとも魅力的な登場人物は、といえばアレンでしょう。本名をレバンネンといい、エンラッドとエンレイド諸島を治めるモレド家の一人息子で、将来の後継者です。モレド家はアースシーで最も古い家で、豊かさにおいてもその国に優るものはないといわれています。

父・エンラッド公は、現在の自分たちの世界の秩序の乱れのようなものは、自分たちの住む世界でなにか邪なものが活動を始めた証拠だとにらみ、賢人方の知恵を借りるため、息子のアレンをロークに派遣します。未来の王と、「はてみ丸」という船をあやつり、竜と言葉を交わす魔法使い中の魔法使いハイタカの二人が、邪なものの手から世界を正しい状態の戻そうとすることを通じて、人間の限りない欲望を描く話です。ちなみにアレンは後の巻で成長した勇姿を見せてくれます。

読んでいて、これで本当に終るんだろうか、って思いました。なんていうか最後になって急に終ったというか。それと、ともかく暗いです。全体のトーンがたまらなく昏い。ハリー・ポッターの映画も画面がどんどん暗くなって行きますが、同じ。じつはこれ、『ゲド戦記』全巻だけじゃあなく、最新の『ギフト』三部作にも共通するのですが、これってル=グウィンのデフォルトなんでしょうか。

それとテナーは何処に行ったんだ?って思います。訳者の清水は、少年文庫版の第二巻『こわれた腕環 ゲド戦記〈2〉』のあとがきで、この話の主人公がゲドからテナーに変わっていくことを予感した、と書いていますし、私もそう思いましたが、この巻を読めば、その予想の外れ具合に愕然とした、とも正直に書くべきではないか、と思います。

清水はこの物語が三部で終ると考えていたわけです。とすれば、テナーがこの『さいはての島へ』には全く登場しないどころか気配も見せないことに驚き、その時点で「主人公がテナーに変わる」と言った己の不明を恥じてもおかしくないでしょう。いや、そこで反省しないとすれば、むしろこの話は終っていない、むしろテナーの話が書き継がれると予想すべきです。

しかし、清水はその時点でこの話は終ったと考えていたそうです。であれば、やはり「テナーの話になるかと思いましたが、そうならずに完結を迎えました、予想外です」くらいは書いていい。それをしないというのは、結局、長い時間をおいて四~六へと話が続いたという結果の反映でしかありません。自分が予想もしていなかったル=グウィンの執筆で救われたとはいえ、それをあたかも分かっていたかのような文章には疑問を抱いてしまいます。

話し全体を覆う暗さ、三部作がどこか完結した感を抱かせず、読後がスッキリしないこと、それらから昔の私は『ゲド戦記』はトールキン『指輪物語』に及ばない、と決め込みました。それはこの巻までに限れば、今もあまり変わらない評価です。とはいえ、その差は圧倒的なものではなくなりました。

むしろ、私にとってこの二作は同じファンタジーという言葉で括ることが不可能なほどに違うものなのです。現実世界の投影という点でははるかにル=グウィンの作品がリアルです。神話世界の取り込み方でもル=グウィンのほうに、古代に遡る時間のスケール、民族を超えた汎世界という点でもル=グウィン。ただし、魅力的な人物の創造、ストーリーテラーとしての力ではトールキンではないでしょうか。

いずれにしても、そういう比較があまり意味を持たない、人間の本質に迫る作品であることは確かです。一応、目次からタイトルだけを写しておきます。

1 ななかまど
2 ロークの長たち
3 ホート・タウン
4 魔法の灯
5 海原の夢
6 ローバネリー
7 狂人
8 外海の子ら
9 オーム・エンバー
10 竜の道
11 セリダー
12 黄泉の国で
13 苦しみの石
  訳者あとがき
  少年文庫版によせて 清水真砂子

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紙の本ゲド戦記 6 アースシーの風

2009/09/14 22:34

これぞ壮大なエンディングです。二度目に全巻を通して読んで、やっとゲド戦記の持つ現代性(女性の問題、差別やいじめ)を再認識しました。読み終わって、カタルシスは覚えませんが、深く人間というものを考え直したくなる、そういう本です。

7人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

少年文庫版で大きく変わったのは、それまで第五巻として扱われていた『アースシーの風』が第六巻、最終巻となり、外伝で第六巻として扱われていた『ドラゴンフライ』が第五巻になったことです。その根拠は清水の文章ではあまりはっきりしませんが、『ドラゴンフライ』に収められている五つの話の発表が、『アースシーの風』以前であったことによるようです。

私は、『ドラゴンフライ』の評でも書きましたが、ゲド戦記の第四巻『帰還』の話はそのままこの『アースシーの風』に繋がってきます。ただ作品の発表時期から巻の順番を変えてしまうのは不自然以外のなにものでもありません。むしろ、本編は『アースシーの風』の第五巻で完結し、外伝『ドラゴンフライ』は別巻扱いのほうが正しいのではないでしょうか。

閑話休題、さっそくカバー後の内容紹介を見てみましょう。
         *
故郷で暮らすゲドのもとを、
まじない師のハンノキが訪
れ、奇妙な夢の話をする。
そのころ、ふたたび竜が暴
れ出し、アースシーにかつ
てない緊張が走る。世界を
救うのは誰か。レバンネン
王は、テハヌーたちとロー
クへ向かった――。

●中学以上
         *
となっています。ゲドのところに訪れたハンノキは、タオン生まれの修繕屋です。カバーに「まじない師」とあるのは、話にはなじまないのではないでしょうか。彼は、妻ユリを出産のとき、子供とともに亡くしていますが、以来妻のことを思い続けていいます。そして、ユリが逝って二カ月後、夢を見るようになるのですが、それがこの物語の核です。その夢というのは

「丘の頂から斜面にそって、ちょうど牧草地を仕切るような低い石垣がつらなっていて、ユリはその石垣のむこうの少し低いところに立っていました。そこは闇が濃いようでした。」

妻がの呼ぶ声に丘の斜面に立っていたハンノキは、ユリはもうこの世にはいない、だからこれは夢のなかの出来事だということもわかっていたものの、嬉しくて彼女のほうに近寄っていくのです。

「わたしはユリのいるところに行こうとしましたが、石垣を越えることができませんでした。脚が動かなかったのです。それでユリをことらに引っぱろうとしました。ユリも来たがったのです。来ようと思えば来られそうに見えました。でも、石垣がわたしたちをへだてていて、どうしてもそれを越えることができませんでした。そうとわかるとユリはこちらに上体をのばして、わたしの唇にキスし、わたしの名前を呼び、『あたしを自由にして!』と言いました。」

この夢を繰り返し見るようになったハンノキは、その夢の謎を解こうとロークに向かいますが、その夢の話を聞いた様式の長は、それこそ以前、ハイタカがレバンネンとともに越えていった石垣だと確信し、彼をゴントに暮らす元の大賢人のもとに向かわせるのです。そこでハンノキは、夢こそ見続けるものの心休まる日々を送ります。しかし、彼の夢にこの世界の危機を感じたゲドは、今は王となったレバンネンのもとにハンノキを向かわせるのです。

ハンノキを客人として丁重に迎えた若き王は、彼の夢の話を聞き心を悩ませます。しかし、彼の王国にも別の危機が迫っていました。カルガドの王たることを宣言した将軍ソルは、テナーがもたらした腕環の本来の所有者はカルガド人だと考え、それを取り戻すために自分の姫をレバンネンのもとに寄こし、婚儀を迫るのです。そしてもう一つの脅威、竜たちが・・・

テナー、娘のテハヌー、様式の長、呼び出しの長、カレシン、アイリアンといった懐かしい人々や生き物が登場し、壮大なエンディングに向かっていきます。

最後は、あっさりデータ篇。

もくじ

1 緑色の水差し
2 王宮
3 竜会議
4 イルカ号
5 再結集
  訳者あとがき
  少年文庫版によせて

カバー画 デイビッド・ワイヤット


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紙の本ゲド戦記 6 アースシーの風

2024/02/22 11:34

光が差す

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投稿者:もそ - この投稿者のレビュー一覧を見る

死者が呼びかけてくる。
そんなことになったら、おびえるのが普通だ。
主人公のハンノキは闇の中でおびえてる私たちと一緒だ。
彼はゲドに救いを求める。
だがゲドにはもう魔法の力はない。ただの老人だ。
二人にできることはただ一つ、
共にその闇に向かって歩きだすこと。

これは壮大なファンタジーの姿を借りた、
心の治癒の物語なのかもしれない。
光が差したとき、新たな生が始まる。

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紙の本ゲド戦記 5 ドラゴンフライ

2020/10/25 23:40

かつてのようにゲド戦記外伝であったほうがいいと思うが...。

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投稿者:タオミチル - この投稿者のレビュー一覧を見る

作者のル=グウィンが想像上の世界であるはずのアースーシーからみつけてきた短編集+作者自身による解説という構成。その解説に「実在しない歴史をさぐるには、物語っていって、何が起こるか、見きわめるしかない。これは、現実の世界の歴史家がすることとたいして違わないのではないかと思う。」とあった。
アースーシーの話は、著者の完全な虚構だが、それにこれほどのリアリティを出すには、虚構であってもその時代に何があって、それによってどんなことが起こったか...それを深く深くさぐる必要があったのだなと腑に落ちる。
ちなみにかつては『ゲド戦記外伝』として出ていたものが、いつのまにか、第5巻だった『アースーシーの風』と入れ替えて、こちらが5巻になっていた。かつて全巻を読んだものとしては、ちょっと座りが悪い気がする。なんでこんな変更をしたんだろう?

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紙の本ゲド戦記 4 帰還

2020/07/11 22:34

ゲド戦記にこめた作者のひとつの「解」を思う

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投稿者:タオミチル - この投稿者のレビュー一覧を見る

思春期に読んだ本を、大人になって再読。ゲド戦記も一作目から読み始めいよいよ4作目。ただし本作は、初読です。第3巻の出版から16年のときを経て初版は1993年。私はもうすでにすっかり大人の年齢で、ファンタジーを楽しむ余裕も無かったころにいつの間にか出版されていました。
この巻は他と比べて圧倒的に俗っぽくもあるという意味でユニークな印象。大人になってこの巻まできちんと読めてよかったとも思う。
これまでのテーマが生と死、悪と善、光と影...のような、他のファンタジーと共通したものが選ばれていますが、本作のテーマには、「性」が取り上げられている、そして「差別」も。それをファンタジー仕立てにする難しさと価値を考えます。
英雄だったゲドは魔法の力を奪われた弱弱しいオトコで、2巻で闇の国の大巫女だったテナーは、普通のおばさんとして登場します。しかし、これほど大地に足を着けた話、「性」をとりまくゆがみと「差別」への希望ある答えをはっきり提示してくれる物語はそうないだろうとも思いました。

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紙の本ゲド戦記 3 さいはての島へ

2020/07/01 22:48

作家のル・グヴィンから課題を与えられたような読後感

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投稿者:タオミチル - この投稿者のレビュー一覧を見る

思春期に読んだ本を、大人になって再読。ゲド戦記の三作目は、今の地球上の様子とかなり近い話。
「限りない富だとか、絶対の安全だとか、不死だとか、ただ生きたいと思うだけ以上のものを求めるようになったら、そのとき、人間の願望は欲望に変わり、そして、もしも知識がその欲望と手を結んだらそのときこそ邪悪なるものが立ち上がり、この世の均衡はゆるぎ破滅へと大きく傾いてゆくのだ」と壮年に差し掛かったゲドは語りますが、これこそ、まさに今の世界の話そのもの?と思う。
ファンタジー世界では、ゲドという偉大な魔法使いが壊れつつある世界をもとにもどすという決着をみたが、そのエンディングが、リアル世界に生きる身としては、すこし羨ましい。
それとともに、作者から大きな課題を投げかけられた気分でもありました。

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紙の本ゲド戦記 2 こわれた腕環

2020/06/26 23:17

子供の頃に読んだ本の再読は楽しい。

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:タオミチル - この投稿者のレビュー一覧を見る

シリーズ1作目のイメージから一転。舞台は地下深い闇の中だ。
主人公は、本当の名を奪われ、権威ある大巫女として暮らす身となるが、見方を変えれば死の世界に囚われている少女。大筋では、その少女に青年ゲドが本当の名前「テナー」を見つけて返し、外の自由な世界へ連れ出すという話である。
初読はまだ小学生の高学年だった記憶。主人公が、自らが囚われた世界から自由になろうとしたとき、「自由の困難さに気づき」躊躇したりというのも、小学5・6年生とかのこどもに通じただろうか?そのころの自分に聞いてみたいと思う。ともかく、示唆に富み非常に聡明なお話。オトナになって再読できてちょっと良かったかなと思う。

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紙の本ゲド戦記 1 影との戦い

2020/06/25 22:45

大人になって再読すべき本でした。

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投稿者:タオミチル - この投稿者のレビュー一覧を見る

思春期に読んだ本を、大人になってから再読するのはかなり楽しい。この本もそういう再読。
物語は、能力はあるが若さゆえに人間としてのバランスを欠いた少年の自分探しの大海原の旅。邪悪な影として描かれているものは、もう一人の自分で、それを探し、追いかけ、自らの中に吸収するといういきなり深い内容だった。
一度目に読んだ子供の私は、その意味なんてまったく理解していなかったはずだ。(と思う。厳密にいうと詳しく覚えていないのだが。)読者対象は、“小学6年、中学生以上”とある。この中学生以上の“以上”は「オトナも読めよ」ということなんだろうな。この際、シリーズの最後まで読んでみようと思う。

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電子書籍影との戦い ゲド戦記1

2017/01/09 22:16

男なら

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投稿者:カンダダ - この投稿者のレビュー一覧を見る

宮崎アニメでも映画化したゲド戦記。でもこの本は主人公ゲドの幼少期から竜王になるまでの物語。でも、たんなる子ども向けの物語でなく少年時代の苦い思い出、男の友情、竜との対決など、男なら一度はくぐる道が描かれていて、人生の書といえます。最近は師匠である老魔術師の心情に共感します。
そんな書籍が電子化され、いつでも読める幸せな時代になったものです。

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電子書籍影との戦い ゲド戦記1

2024/02/23 11:01

こころの戦い

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投稿者:もそ - この投稿者のレビュー一覧を見る

ファンタジーという言葉からほど遠い、神話のような硬い語り口。
でも読み終えたとき、この本ほど深く心を動かす物語もない。

ただまっしぐらに生きている少年ゲドが、
真の自立した人間へとなっていく旅。

ときに冗長で、時に重苦しく、
戦いと言いながら、派手な場面があるわけでもない。
まさにこれって人生そのものではないだろうか。
だからこそ読む価値のある本なのである。

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紙の本ゲド戦記 6 アースシーの風

2020/10/26 15:15

アースーシーの旅はここで終焉なのだが...。

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投稿者:タオミチル - この投稿者のレビュー一覧を見る

物語は、竜と人間は昔同じ生き物だったという話。あるとき、竜は翼と自由と火と風を選び、人間はあらゆる手の技とそれが生み出したもの=富を所有する権利、水と大地を選んだのだという。竜の自由は時間を超えて飛び回る自由で、それを選ばなかった人間には永遠の命にも見える自由でもあった。
矛盾することであろうとも何でも欲する醜い人間の姿が物語りに透けて見え、世界に悪しき波紋を呼んだ...。そんな風に読めるのですが、じゃあどんな話?と実は、読後もこころの中で堂々巡りです。
本書と『ドラゴンフライ』は、21世紀に入ってから描かれた物語で、実はこの2作は初読。この2冊の存在を知って、かつて読んだゲド戦記シリーズに一作目から再読し始めたのだが、特に本書を私は物語として俯瞰してみることが難しかった。
作者のル=グウィンがこの話を書き上げたとき、もう74歳。だから、生きることや世界への疑問に対し答が出たことも多かっただろうし、見えてきていたこともたくさんあったのではないかと。それに比して、まだ迷える渦中の私。また時間をおいて再読が必要だと思う。個人的にはそんな風に読み込んでみたいのが、このゲド戦記のシリーズ。

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