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日本の伝統精神
著者 安岡正篤
今日の日本国家や政治家、そして国民のあり方に満足する者は何人いるであろうか。まさに日本の進むべき道は暗中模索の状態にある。本書は、東洋学の泰斗が、戦後、高度成長期の物質文化先行のもとに置き去りにされた精神文化を今一度喚起させるべく、日本の伝統精神が如実にあらわれていた時代・思想・理念をあげ、日本の進むべき道を説き明かす。幕末明治の志士たちを筆頭に、道徳教育が庶民にまで行き渡り、大業がなされた『明治維新』や「和を以て貴しと為す」といった聖徳太子の『十七条の憲法』など、自主・自律の心が老若男女に培われていた古き良き時代を顧み、日本国家と国民に東洋の思想と叡智こそが現在において最も必要とされることをわかりやすくといている。過去の歴史・伝統を無視し、表面的繁栄の中没落の道を進んでいる日本国家と国民に一筋の光と希望を与え、活路を見い出す。透徹した人間観・文明観に根ざした珠玉の講話集。
日本の伝統精神
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2003/07/17 21:33
感受性鋭く、日本の現状に危機意識を持ち、憂えている
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投稿者:萬寿生 - この投稿者のレビュー一覧を見る
安岡正篤は戦前から戦後にかけて、政財界の師父といわれてきた人である。識見と教養はたいしたものであるらしい。陽明学を主とした東洋思想、哲学を研究実践してきた人とのこと。現代の日本人に欠けている分野の、知識と教養を兼ね備えているようだ。この人の著書をよんだことを契機に、興味をもった日本と中国の思想家とその著作も多い。学校教育では、西洋の思想家のことを学ぶことは多いが、東洋特に日本の伝統的思想家については、忘れ去られている。国際社会において国際人と成るためには、自国の伝統を学んでおく必要がある。その基盤がないと、欧米人と対等にわたりあうことは困難であろう。西洋の思想については、相手が本家本物なのだから。
そういった期待で読んでみたのだが、今回は読みたいと思うような文献には、言及されていなかった。感受性鋭く、日本の現状に危機意識を持ち、憂えているのは理解できる。一方、右翼的な内容には違和感も持った。