電子書籍
本当は危ない『論語』
著者 加藤徹 (著)
『論語』はただのお説教本ではない。常識的な人生訓と過激な思想とが表裏一体となった、おそるべき書物である。その激しさは中国の歴史を支配し、日本の幕末に革命をもたらした――『論語』及び孔子にまつわる基本知識を踏まえながら、先入観なしに精読することで、優れた古典というだけではおさまりきらない、多面的で“危ない古典”『論語』の真髄を解き明かす。
本当は危ない『論語』
05/05まで通常628円
税込 349 円 3ptワンステップ購入とは ワンステップ購入とは
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電子書籍本当は危ない『論語』
2015/09/30 22:10
論語礼賛批判
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぬわいのら - この投稿者のレビュー一覧を見る
桐生操のミリオンセラー『本当は恐ろしいグリム童話』をもじったような題名に胡散臭さを感じる本だが、実際に胡散臭い内容も含まれる。
自己啓発ビジネス書などでやたらと持ち上げられ手放しで賛美される『論語』に対して、『論語』は危険思想の書と見ることもできるのだということを研究者としての著者の知識を土台として『論語』批判が繰り返されるのだが、これがあくまでも世間一般の『論語』賛美に対するアンチテーゼを前提として書かれているものだから牽強付会ともいうべき説も少なからず、大学教授が講義で箸休めとして時おり披露する眉唾ものの小ネタのような話も見られる。
もちろん『論語』は当初副読本のような扱いで正式な儒教経典にカウントされていなかったことなど『論語』を読むならば知っておいた方がよい基本的かつ客観的な事実も十分にカバーされているので、『論語』礼賛本しか読んでこなかった人の論語信仰に対する解毒剤としての有効性は期待できる。
よく読むとわかるが著者は無理をして『論語』や孔子の悪口を並べ立てている。これだけネガティブな面をあげつらってみてもけっして嫌うことのできない魅力が『論語』には備わっているのだろう。あくまで『論語』について”尽く書を信ずれば則ち書無きに如かず”のだということを教えてくれる本。