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労働時間革命
著者 小室淑恵
今や労働時間削減は経営戦略。8カ月間で残業時間が半減。利益も前年比162%にアップした会社も。稼ぐ力を強化したい経営者必読の書! 5年ほど前、著者はある建設系の企業の労使共催の講演会で「働き方改革」をテーマに話をしたところ、質疑応答の時間になると、思いがけないほど強い口調でこう言われた。「うちの会社は今まで、お客様が前日の夜にオーダーしてきても、翌朝までには仕上げるという夜討ち朝駆けで対応することでお客様から選ばれ、現在の売り上げを維持してきた。ワーク・ライフバランスなんていうことを真に受けて実行して、お客様が離れていって業績が落ちたら、あなたは補償してくれるのか?」著者は、問いかける形で次のように応対した。「もしも、お客様が御社の夜討ち朝駆けで対応してくれるということに""だけ""価値を置いて依頼してくれていたのであれば、確かにオーダーは来なくなるでしょう。でも、お客様が御社を選んでいる理由は""技術力の高さ""だと私は思います。むしろ、その技術力をもっと研鑽して他社に圧倒的な差をつけることで、付加価値勝負の仕事で稼がなくて大丈夫でしょうか? 次々に技術者が育っていくような環境を作れているのでしょうか?」この講演会をきっかけに、著者はこの会社のコンサルティングを手がけることになった。3年半後、取り組み前には6億円だった利益がなんと40億円に伸び、売上高そのものも16%増えた。つまり、長時間労働は「勝つための手段なのだから働き方を変えるなど無理」ではなく、長時間労働は「負けている原因なのだから、今すぐ変えないと永遠に勝てない」のだ。本書では、長時間労働を見直したことで、飛躍的に業績を上げた企業の事例とノウハウを紹介。
労働時間革命
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2018/07/20 09:29
よい事例はどんどん紹介されるべき
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投稿者:tomoaki - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本での「働き方革命」でもっとも重視されるべきなのは、勤務時間の短縮と、賃金・給与アップを同時に実現することだ。
日本企業の多くは賃金・給与の目的が、仕事・業務に対してというより、従業員の時間を拘束することに対してあるのが実態だ。だから、従業員が工夫して業務を効率化し空いた時間に、平気で別の業務を追加したりする。本来なら、同じ時間で別の業務ができるようになったのなら、その従業員の付加価値が上がったものとして、賃金・給与があがるべきだろう。それなのに、給与水準は変わらぬまま、仕事量だけが増えていく。
これでは作業の効率化へのインセンティブなど生まれるはずもない。
「日本(人)の生産性が低い」とはよく指摘されていることだが、この点について従業員側の努力ばかりが取りざたされるのが不思議でしょうがない。賃金があがらず、仕事量が増えているのであれば生産性は上がっているといえるはずなのに。
ここ数年、企業が毎年増やしている「内部留保」を従業員の賃金・給与に還元すれば、それだけで「生産性」は改善するのではないか。
そういったマクロの提言を期待できる著者ではないが、企業の個別事例をどんどん紹介してほしい。