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3件
誰が奥寺翔を殺したのか?
1995年――ある男子生徒が殺された。生徒の名前は「奥寺翔」。不良達が幅を利かせる小さな田舎町に転入してきた優等生の奥寺は、不良達に痛めつけられながらも自分の目的達成のために異常な行動をとり始める。不穏な空気が町を包み始める中、奥寺は誰に何の為に殺されたのか――。
誰が奥寺翔を殺したのか?(4)
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2024/10/24 21:26
奥寺は誰にどう殺されるのか!?
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ワシ - この投稿者のレビュー一覧を見る
美麗なタッチで様々なジャンルを不毛なギャグに落とし込んできた河田原作と行徒作画のコンビが、唐突にヤンキー漫画に手を出してきた。
場合によっては人物が軒並みボケているのにツッコミ不在という地獄のような状況も作り出してきたのに、本作ではそういったものは鳴りを潜め一見すると綺麗な絵のヤンキー漫画に仕上がっている。
今までもミツルギにおける中二階堂や、民子が拾ってきたRE:悔Mや、狂気をはらんだ人物はいた。だが彼らは自身を客観視できてしまうのでどうしても志半ばで心が折れてしまうから、その狂い方もそれなりだったように思うけれど、そんなギャグ展開を取り払ったら本作の奥寺のようになるのかもしれない。
己の信じた道をひたすら進み、その純粋さとエネルギーは凄まじいものがある。立ち塞がる者は苛烈な制裁を受けることになるし、殺すことも躊躇していないように見える。
奥寺は純粋そのものだから怖い、そして笑えない。ギャグを取り払った河田原作は何を描こうとしているのか…。
2025/03/29 21:40
ピカピカ・ポマードヘッド
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投稿者:ワシ - この投稿者のレビュー一覧を見る
のっけからなんの事だと思われるかもしれないが、表紙を飾るのは大木君の髪型は『ピコピコ中学生伝説』で登場するもほんの数ページしか描かれなかった弐号機のK型装備のようにも思われる。
単に外観のキャラクターデザインを流用したのみで、中身はカルロスでないと思う。ただ、エグいのを喰らってもニヒルな微笑みを絶やさなかったり、意外に共通点は多いかもしれない…。
女を助けるのに理由は要らねぇ!と城場を焚きつけたりと、熱くて男気があって喧嘩っ早いだけではない見所満点のいい男だ。
廃工場での乱闘、その後の足取りが掴めない「怨京鬼」の西ノ宮兄弟。高校や地域社会にとってみると、表面的にはかつてなかった平穏が訪れ、正統的なヤンキー漫画の治安ではあるのだけれど。
冒頭の予告通り、奥寺が殺害されることは決まっている。残り時間はわずか。
2024/05/06 17:46
怨京鬼(おんぎょうき)
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投稿者:ワシ - この投稿者のレビュー一覧を見る
復学した水原達の恐怖支配が始まる一方で、奥寺の影響を受けて丸茂や大木や本来の学生に戻ろうとする者も増えてくる。怠惰な高校生活の果てに、有り余るエネルギーのはけ口を求めていたくらいで、本来曲がった事をする人間ではないことが垣間見える。
それでも城場の迷いは消えず、水原に受けた過去の恩を帳消しにしていいか、もっとも水原らがろくな事をしていないのも自覚しているので切っ掛けがあれば足を洗いたいと考えているのが分かる。顔は美形なのに喧嘩ばかりで切り傷こさえてたらいいことないよね…。
「怨京鬼」のような俗に言う暴走族、独立愚連隊、半グレ、いまいち捉えどころのない集団は首都圏でもいくつか存在が確認できている。暴走族を名乗りながらも実際には単車を駆らず、ヤクザ紛いの動きをするような事も多く、カラーギャングなんてのもこの時期に存在した。
ステッカーを高額で売り付けて忠誠を誓わせたり、イベント的な催しに参加を迫りチケットを買わせたり、誰が考えつくのかは分からないがヤクザがケツ持ちをしているのも当たり前だった。
まだ怨京鬼の本体が顔を出しておらず、水原は自校生徒からの上納をシノギにできると考えているようだ。水原と反目する和久田や森岡や、奥寺と共にこの窮地をどう脱するかが次官以降の見所になりそうだ。
それにしても水原の人を舐め腐った表情といい、アドレナリン全開で瞳孔が縮小してしまっている大木といい、本当に人の顔貌を描くのがうまい。ピコピコ中学生伝説ではミサトはじめ大人の目が何度も濁る場面があったけれども、技法の確かさがギャグだけでなく暴力シーンにも活かされているのが分かる。
掲載誌の休刊という難事はあったけれども、無事に移籍連載を果たし、その一方で、なぜ本作が売れないのか?とは思ってしまう。読者層にも漫画の価値を見てくれる眼がなくなってしまったのではないか?とちょっと怖いことも考えてしまった。